6月に開催された競泳のジャパンオープン、14年間破られなかった日本記録が更新された。
 女子400メートル個人メドレーで高橋美帆選手(日本体育大)が4分35秒69で優勝。2000年のシドニー五輪で田島寧子さんがマークした4分35秒96の日本記録を0秒27上回った。高橋は、この21日に開幕するパンパシフィック選手権(オーストラリア)と、9月のアジア大会(韓国)に日本代表として出場する。

 新記録を陰で支えたのが、山本化学工業の「ゼロポジション水着」だ。ゼロポジション水着には浮力を付加することで、体の「浮心」と「重心」を一致させる効果がある。これにより、泳ぐ際の体のバランスが向上し、まっすぐ速く進むフォームが自然と身につけられる。山本化学工業ではゼロポジション水着を初心者用のみならず、トップスイマーの練習用としても売り出してきた。

 ロンドン五輪前の2012年3月、高橋選手が所属する日体大の水泳部から、このゼロポジション水着について問い合わせがあった。早速、スタッフが日体大が合宿を張っていた米国アリゾナに飛び、ゼロポジション水着を持参。着用して練習した成果が出たのか、日体大からは高橋選手と堀畑裕也選手(男子400メートル個人メドレー)の2名が五輪代表に選ばれた。

「日体大の藤森(善弘)コーチからも“選手のタイム向上に顕著に効果が現れている”と認めていただき、以来、練習用水着として選手たちに使ってもらっています」と山本富造社長は話す。今回のジャパンオープンで男子200メートル平泳ぎを制した小関也朱篤選手(ミキハウス)もゼロポジション水着を活用してトレーニングを積んでいる選手だ。徐々に競泳界に浸透しつつあるゼロポジションの概念に山本社長は大きな手応えを感じている。

「タイムを上げる方法として、これまではフィジカル強化に主眼が置かれていたように感じます。確かに、それも大事でしょうが、正しいフォームで泳ぐことが上達の早道。我々のゼロポジション水着で理にかなったフォームを身につけてもらうなかで、選手もパフォーマンスが上がっている実感があるのでしょう。着実にゼロポジション水着がトップスイマーに必要なアイテムとして認知されてきましたね」
 
 ゼロポジション水着で培われたフォームで、試合ではより水抵抗なく泳ぐ。山本化学工業が開発した新しい素材を使用した水着も国際水泳連盟の承認が近々、得られる見込みだ。今回のコンセプトは「両面親水」。表面に親水性の素材を用い、水との摩擦を限りなく減らすだけでなく、内側にも親水性をもたせることで水着と皮膚の摩擦を抑える。

「親水で摩擦を軽減するという発想が選手、関係者にも理解されるようになってきましたね。マスターズ水泳で数多くの世界記録を更新中の大崎喜子さんからも、“親水の水着は絶対的に速い。ゼロポジション水着との組み合わせで効率よく泳げる”とお墨付きをいただきました」

 そう語る山本社長は「これから記録更新が期待されるジュニアをはじめとする若い選手に新しい水着を試してほしい」と期待を寄せる。
「中学生、高校生、大学生の選手たちは成長期で体のバランスが崩れやすい。そこでゼロポジション水着を活用し、理想的なフォームを身につけてもらいながら、両面親水の水着をレースで着用してもらえれば、自己ベスト更新にかなりの効果が得られるのではないでしょうか」

 山本化学工業では「東京五輪での金メダル30個獲得」の目標を掲げ、6年後の主力となる将来有望なアスリートへの支援体制を整えている。山本社長は「興味がある方は一度、問い合わせてほしい。まずは試着用に貸し出しをすることも可能です」と呼びかけている。

 
 スポーツ界が熱気に包まれる8月、日本列島は連日の猛暑に見舞われている。気温が30度を超え、心配なのは運動中や日常生活における熱中症だ。熱中症により体の機能が低下して救急搬送されるケースが全国で相次いでいる。

 以前も当コーナーで紹介したように、熱中症は低体温の人ほどかかりやすい。大阪大学の大山良徳名誉教授(医学博士)は「人間は普段、汗をかくことによって体温を調整しています。しかし、低体温だと汗をかくことが少なくなり、体の汗腺機能が低下する。すると気温の急な上昇に体が対応できず、熱が体内にこもってしまう」とその理由を説明する。

 山本化学工業では「熱中症の予防にもバイオラバーの活用を」と訴えている。山本社長は「たとえば、バイオラバーGタイプ?はお腹の丹田と背中側の仙骨部分を両方挟み込んで装着できます。これで体を内部から温めて低体温を解消し、発汗を促す。エアロドーム構造で通気性にも優れていますから、ムレる心配もありません」と具体的な活用術を提案する。

 また、夏の暑さは血液循環の要となる心臓にも負担がかかりやすい。心臓の働きが低下すると、当然、血液の巡りが悪くなり、体の各機能が落ちていく。また大量の発汗により、血中の水分量が減って血栓などもできやすくなる。
「これを防ぐ上でもバイオラバーは役立ちます。胸の中心にバイオラバーを当て、心臓の周辺を温める。それにより、血液循環を促すのです」

 山本社長は「夏こそ、体の内部を活発に動かすことが大事。とはいえ、この暑さでは激しい運動はできません。だからこそ、体を自然と中から温めるバイオラバーの出番なんです」と強調する。
 暑い時こそ、熱いものを――。夏バテ防止の食生活でよく耳にする言葉だが、日常生活でも体を冷やしすぎないよう猛暑をうまく乗り切りたい。

 山本化学工業株式会社