28日、プロボクシングの世界フライ級ダブルタイトルマッチ(30日、国立代々木第一体育館)の調印式・記者会見が都内で行われ、WBC世界フライ級チャンピオンの内藤大助(宮田)、WBA世界フライ級チャンピオンの坂田健史(協栄)ら4選手が出席した。内藤は「会場が盛り上がる試合がしたい。お客さんに喜ばれることが僕にとって一番なので」とファンが納得する試合内容を約束。WBC王者内藤とWBA王者坂田が同じリングで“共演”するこの日は、その先の統一戦も見据え、大きな注目を集めることになりそうだ。
(写真:WBC世界フライ級タイトルマッチに臨む挑戦者清水と王者内藤)
 3度目の防衛戦となる内藤と同級13位の清水智信(金子)との一戦は、王者が圧倒的有利と予想されている。内藤は2度の防衛戦で、“絶対王者”ポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)、亀田大毅を連破し、ボクサーとして確固たる地位を築いた。そのスタイルはどこからでも手が出るトリッキーな動きで相手から見えづらく、鍛え抜かれた下半身の上に成り立つ。今回はいつにも増してハードな練習を積んだという内藤。「予定したトレーニングは全てこなして最高の体調。このコンディションを維持したい」と大一番を前に好調ぶりをアピールした。

 王者内藤に挑む清水は、アマチュア時代の10年間で培った正統派ボクシングで4月に日本王者に輝いた。「(内藤のような)変則に勝つのは基本。教科書通りが一番強い」と自らのスタイルに自信を持つ。内藤戦も足を使って距離を保ち、基礎に忠実なワンツー主体のアウトボクシングで活路を見いだしたい。

 もう1試合の世界戦では、王者坂田に同級3位の久高寛之(仲里ATSUMI)が挑戦する。坂田は無尽蔵のスタミナと強い精神力で死闘を制してきた。「自分の力を発揮するために最高の練習をしてきた。しっかりと実力をアピールしたい」と4度目の防衛にも自信を見せる坂田。しかし、懸念材料もある。ここ2試合連続で序盤にダウンを喫するなど、スロースタートという点だ。
(写真:WBA世界フライ級王者坂田と同級3位の久高)

 一方、今回、世界初挑戦となる久高はスピードとパンチ力で王者をも上回る。抜群の切れ味を誇る右クロスは目がなれていない序盤には特に有効で、スロースターターの坂田のエンジンがかかる前にフィニッシュに結びつけたい。「失うものは何もない。スピードを生かして倒します」。久高のKO宣言からも“前半勝負”の明確な意思が伺える。1ラウンドから目が離せない試合になりそうだ。

 どちらの試合も王者有利の予想が大半を占める。しかし、両挑戦者とも自力でこの舞台を勝ち取った実力者であることは間違いない。王者のペースに惑わされずに、自らのスタイルを貫き通すことが金星への近道だろう。30日の夜、“世界最強の日本人”を決める代々木第一体育館のリングに注目だ。

「WBC/WBA世界フライ級タイトルマッチ」
2008年7月30日、国立代々木第一体育館
開場15:30 開始16:15

〔WBC世界フライ級タイトルマッチ12R〕
王者・内藤大助(宮田)×清水智信(金子)※WBC世界フライ級13位

〔WBA世界フライ級タイトルマッチ12R〕
王者・坂田健史(協栄)×久高寛之(仲里ATSUMI)※WBA世界フライ級3位