ボクシングのWBA世界フライ級タイトルマッチが6日、大阪市立中央体育館で行われ、挑戦者の亀田大毅(亀田)は王者のデンカオセーン・カオウィチット(タイ)に2−0の判定で敗れ、王座獲得はならなかった。亀田にとっては2007年10月、WBCフライ級王者の内藤大助と対戦して以来、2度目の世界挑戦。反則を繰り返して大差の判定負けを喫した汚名をそそぐべく、リングに上がったが、経験豊富な王者の前に僅差で敗れた。
 判定は1人が114−114のドロー、2人が115−113ときわどい勝負だった。大差をつけられた2年前からの成長の跡は見えた。だが、ベルトを奪うには、昔のような荒々しさが必要だったのではないか。

 王者、挑戦者とも右のファイタータイプ。戦前は打ち合いが予想された。しかし、立ち上がりは互いに距離を取り合い、慎重だった。左ジャブを繰り出し、右ボディのコンビネーションで攻めるデンカオセーンに対し、亀田はカウンターを狙う。チャンピオンは身長で約7センチ上回る相手に対し、当てやすいボディを入れて、亀田の出足を止める作戦に出た。

 対する亀田は右のボディを入れてきたところへ左フックを返し、応戦。しかし、強打のタイ人は予想に反してアウトボクシングを展開し、なかなか距離を詰められない。

 それでも中盤に入ると、挑戦者の圧力にチャンピオンが後退する場面が増えてくる。デンカオセーンは時折、ワンツーをみせるが、攻撃が単発で明らかにスタミナ切れ。クリンチも目立ち、8Rにはレフェリーからホールディングの注意を受けた。

 試合の流れは完全に亀田にあった。9Rには左のフック、そしてボディとダブルで打ち込むなど、テクニックも披露した。10Rにはロープに追い込み、連打をみせた。執拗に繰り返されるクリンチにも冷静に対処した。だが亀田も手数が不足し、有効打はわずか。自らのペースに持ち込みながら、攻め切れなかった点が王者に逃げ切りを許した。

 一発KOだけが魅力だった昔と比べると、亀田はボクサーとして確実に巧さが増した。一方で老獪な33歳の王者の壁を打ち破るには、もう一歩及ばなかった。世界との差は縮まっている。再挑戦に期待したい。