今年限りでの引退を表明している魔裟斗が、12月31日に開催される「Dynamite!! 〜勇気のチカラ2009〜」(さいたまスーパーアリーナ)での最終戦にアンディ・サワー(オランダ)と対戦することが決定した。当初は「K-1 WORLD MAX2009」で優勝したジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)との対戦が予定されていたが、10月26日の同ファイナルで右手の中指骨を骨折し、試合出場が不可能になった。サワーは過去2戦2敗と魔裟斗がK-1で唯一、勝ったことがない宿敵。都内ホテルで会見に臨んだ魔裟斗は「お互いバチバチやったほうが盛り上がる。最高の試合をして終わりたい。記憶に残る試合をしたいと思っています」とラストファイトにかける思いを語った。
(写真:試合告知ポスターとともに記念撮影におさまる魔裟斗)
「これは完璧に運命。オレが彼を倒す筋書きですよ。K-1 WORLD MAXで2003年にチャンピオンになって、それからずっと勝てなくて去年チャンピオンになった。これは全部、筋書き通りなんです。それで最後にアイツにオレがリベンジするというストーリーなんです。オレが倒すという運命なんですよ」

 魔裟斗は最後の闘いに運命を感じていた。「最後は自分の好きな相手と戦わせてもらいたい。今年のチャンピオンならば最高の対戦相手」。4月の引退会見でそう語っていた魔裟斗は「K-1 WORLD MAX 2009」の王者に勝って有終の美を飾るつもりだった。そして、その相手にはMAXを2度制し、自身が1度も勝っていないサワーを予想していた。ところが10月26日のファイナルでは23歳の若きペトロシアンがサワーを判定で破り、初優勝。試合後、魔裟斗はリングに上がり、「大みそか、あいてるかな?」と新チャンピオンに対戦を申し込んでいた。

 しかし、運命のいたずらかペトロシアンの負傷により、因縁の相手との3度目の対決が実現した。初顔合わせとなった06年のMAX準決勝では3R判定負け。再戦となった07年のMAX決勝では2RTKO負けを喫した。「やはりボクと魔裟斗は闘う運命にあったようだね」。対戦が決まりサワーはコメントを発表した。その中では「K−1のリングで出会った生涯最高のライバルとして、K-1MAXの象徴である魔裟斗をキッチリとKOすることが介錯人としてのボクの使命だと思う」と返り討ちを宣言。「今年に入ってから魔裟斗対策を練っていた。お陰で魔裟斗を完全に倒せる技をいくつか用意できた」と不気味な言葉も残した。

 対する魔裟斗もラストファイトへぬかりはない。「今年に入ってから、サワー対策をずっとやっている」「4月から大みそかに向けてパワーアップするためのトレーニングをしてきた」などと調整には自信をみせる。今後はスパーリングを中心としたメニューで仕上げに入る予定。「トレーナー曰く“今までで一番キツい練習になる”」と激しい追い込みで史上最強の姿をファンに披露する構えだ。「(山本)優弥も、城戸(康裕)もみんな(スパーリング相手として)お願いしたい」。谷川貞治FEG代表も全面バックアップを約束した。
(写真:「体力はK-1選手の誰にも負けない。1Rから全開でいく」と意気込む魔裟斗)

 試合は「(通常の)3分3Rでは決着がつかないだろう」(谷川代表)と3分5R(延長1R)で実施される。既にVIP席、VIP魔裟斗引退試合スペシャルシート(いずれも1席10万円)が完売。2000年代の格闘技界を牽引してきたカリスマのラストファイトへの期待感は高まっている。「2000年の11月、当時最強と言われていたムラッド・サリにKO勝ちした時にリングの上で“これからは僕の時代です”と宣言しました。それから9年経って、アンディ・サワーと最高の試合をして、KOで勝って、2009年12月31日に“僕の時代は終わりました”と宣言したいと思います」。大みそか、果たして魔裟斗の描く筋書きは現実のものとなるのか。そのラストシーンから目が離せない。