12月30日に、SRCを運営するワールドビクトリーロードと日本レスリング連盟の共催で格闘技イベント「戦極 Soul of Fight」を開催することが正式に決定し、概要が発表された。会場は東京・有明コロシアムで試合開始は午前11時から。イベント終了は21時を予定しており、延べ10時間に及ぶ一大フェスティバルとなる。会見に臨んだワールドビクトリーロードの向井徹代表取締役は「29日に年末の大掃除やお買い物を済ませて、30日にはご家族、カップルで有明にお越しいただきたい」と来場を呼びかけた。
(写真:12月30日の「戦極」、31日の「Dynamite!!」と2大イベントで格闘技界を盛り上げようと会見にはFEG谷川代表(左)も出席)
「2010年は政治の混迷、景気の低迷で日本全体がパッとしない1年だった。モヤモヤ感を吹き飛ばす大会にしたい」
 向井代表は新たなイベントを立ち上げる意気込みをこう語った。今回は“朝から晩まで格闘技”とのキャッチコピーの下、通常のSRCで行っているMMA(総合格闘技)以外にも、打撃、立ち技ルールの試合や異種格闘技戦、女子格闘技も含めた25〜30カードを用意する考えだ。

 MMAの試合では既に決まっていたSRCウェルター級グランプリの決勝戦やSRCバンタム級ASIAトーナメント準決勝などを含む10試合を組む予定で、異種格闘技戦は、柔道や空手、テコンドーなどをバックボーンに持つ選手がそれぞれの道着を着用する形式で3試合程度実施する見込みだ。また女子格闘技はプロモーションの協力が得られれば、4〜5試合設けたいとしている。

 さらには立ち技の試合も10カードほど組む計画で、K-1を主催するFEGの谷川貞治代表が会見に同席し、「立ち技の選手はたくさん持っている。SRCからオファーがあれば、本人や所属団体の希望もあるが、できる限り調整したい」と協力姿勢を示した。昨年末の格闘技イベントは、「SRC」と「Dynamite!!」が同日に別会場で開催する方向だったが、SRC側が「人気が殺到して有明コロシアムでは収容しきれない可能性がある」との理由で会場の変更を発表。その後、事実上「Dynamite!!」に吸収される形で、吉田秀彦−石井慧戦やSRCとDREAMとの対抗戦が実施された。

「昨年は試合数が多すぎたのが反省点。いい試合も多くなると良く見えない。今年は12〜13試合程度の選ばれし者の大会にしたい」
 先日、行われた「Dynamite!!」の開催発表で谷川代表はそう語っており、今回は大晦日のイベントから漏れた選手が、「戦極」に流れることになりそうだ。また、向井代表は「Dynamite!!」側の要請があれば、逆にSRCの選手を送り込むことも示唆している。

「30日は格闘技の厳しさ、かっこよさを幅広い層に伝えたい。31日はテレビで訴求力のある選手に出てもらって、紅白歌合戦に視聴率で勝っていただきたい」
 向井代表は年末2日間の格闘技イベントの位置づけをそう説明した。ただ、昨年と比べれば格闘技界全体が世間的なインパクトが弱くなっている面は否めない。K-1では昨年の「Dynamite!!」をもって魔裟斗が引退。かつてはSRCを主戦場にしていた吉田秀彦も4月にリングから去った。8日に行われた「K-1 WORLD MAX2010」の視聴率は7.6%(関東地区)で史上最低。「今年は我慢の年」と谷川代表も認める苦戦ぶりだ。

 そんな中、年末に大きなイベントを2日間続けて開催するのは、一種の賭けとも言える。向井代表も谷川代表も「ともにイベントを盛り上げていこう」との考え方では方向性は同じだ。2日間の棲み分け開催がどこまでコアな格闘技ファンの心を満たし、大衆の興味をひくことができるか。すべては、これからのマッチメイクがカギを握る。2大興行の成否は、今後の格闘技界の行方を大きく左右することになりそうだ。