来年3月のWBCに臨む日本代表候補34名が4日、発表された。選出されたのは主将に指名された阿部慎之助(巨人)、チーム最年長(40歳)の稲葉篤紀(北海道日本ハム)、代表になれば3大会連続となる杉内俊哉(巨人)ら。11月のキューバ戦の代表からは角中勝也(千葉ロッテ)、今村猛(広島)など15名が選ばれた。34名はすべて国内組で、今季、日本一の巨人からは最多の8名が候補入りした一方、横浜DeNAとオリックスからの選出はなかった。都内で会見に臨んだ山本浩二監督は「強い決意をもって招集に応えてくれた心意気に感謝している。日本野球の力を見せて戦いたい」と大会への意気込みを語った。
(写真:ひとりずつ代表候補を読みあげる山本監督)
 34名のうち、WBCや五輪での代表経験がない選手は24名。侍ジャパンはフレッシュな顔ぶれで3連覇に挑む。加藤良三コミッショナーが「現在、NPBの中で台頭するヤングサムライの力が加わって、新たな魅力あふれるチームとなるはず」と今回の代表を評したように、最年少の今村(21歳)を含め、25歳以下の選手が8名候補に入った。

「守りの力を重視し、足をつかった野球を心がけたい」
 指揮官の目指すスタイルに応じて、野手では長距離砲よりも、守備や走塁に重点を置いた選考になった。足のスペシャリストとして今季のパ・リーグ盗塁王、聖澤諒(東北楽天)が選ばれたのは、その典型だ。

 投手陣は球数制限があるため、先発は「1試合2人」というプランで臨む。それゆえに各チームで先発の柱になっている選手が多い陣容だ。加えて山井大介(中日)のように先発とリリーフの両方をこなせる選手もメンバーに入れた。クローザーを務めている選手がいない点は不安材料だが、山本監督は「候補は考えている」と抑えを決めて本番に挑む考えだ。

 メジャーリーガーが出場しないこともあり、国内の若手主体で臨んだキューバ戦も大きな選考ポイントとなった。「大隣、今村、角中。彼らからはすごく気持ちが伝わってきた」と山本監督はキューバ戦での内容がメンバー入りの決め手となったことを明かした。

 チームをまとめる主将には山本監督は阿部を指名し、サポート役として稲葉、井端弘和(中日)の両ベテランの名前を挙げた。国際大会の経験がない選手も多いだけに、「3連覇を狙いたいが、1試合1試合の積み重ねが大事」というのは本音だろう。メジャー組の不在は戦力的には痛いが、国内の選手たちの結束力で頂点を目指す。

 また1次ラウンドで日本が入るプールA(3月2日〜、福岡ヤフードーム)の組み合わせも正式に発表され、日本は総当たり方式でブラジル、中国、キューバと対戦することが決まった。予選を勝ち抜き、新たに同組となることが決まったブラジルは、松元ユウイチ、ラファエル・フェルナンデス(いずれも東京ヤクルト)など日本でプレー、またはプレー経験のある選手が主力だ。予選ではメジャーリーガー擁するパナマを2度下し、本大会出場の切符をつかんだ。「投手力がしっかりしたチームという印象。初戦から気の抜けない戦いになる」と指揮官も警戒を強めている。

 1次ラウンドで上位2カ国に入ると2次ラウンド(3月8日〜、東京ドーム)に進み、プールB(韓国、オランダ、オーストラリア、チャイニーズタイペイ)から勝ち上がった2チームとともに、ダブル・エリミネーション方式(敗者復活戦を含んだ変則トーナメント)で決勝ラウンド(3月17日〜、サンフランシスコ・AT&Tパーク)進出の2チームを決定する。
(写真:過去2大会の優勝トロフィーと記念撮影)

 日本代表候補34名と、日本の1次ラウンドの日程は以下の通り。

<投手>
杉内俊哉(巨人)、内海哲也(巨人)、山口鉄也(巨人)、澤村拓一(巨人)、山井大介(中日)、吉見一起(中日)、浅尾拓也(中日)、前田健太(広島)、今村猛(広島)、能見篤史(阪神)、牧田和久(埼玉西武)、涌井秀章(埼玉西武)、攝津正(福岡ソフトバンク)、大隣憲司(福岡ソフトバンク)、森福允彦(福岡ソフトバンク)、田中将大(東北楽天)

<捕手>
阿部慎之助(巨人)、相川亮二(東京ヤクルト)、炭谷銀仁朗(埼玉西武)

<内野手>
村田修一(巨人)、坂本勇人(巨人)、井端弘和(中日)、鳥谷敬(阪神)、稲葉篤紀(北海道日本ハム)、松田宣浩(福岡ソフトバンク)、本多雄一(福岡ソフトバンク)、松井稼頭央(東北楽天)

<外野手>
長野久義(巨人)、大島洋平(中日)、糸井嘉男(北海道日本ハム)、中田翔(北海道日本ハム)
内川聖一(福岡ソフトバンク)、聖澤諒(東北楽天)、角中勝也(千葉ロッテ)

<1次ラウンド日程>(福岡ヤフードーム、日本は一塁側)
3月2日(土)19時〜 vs.ブラジル
3月3日(日)19時〜 vs.中国
3月6日(水)19時〜 vs.キューバ