現地時間11日、ブラジルW杯アジア最終予選第8戦がカタールのアル・アラビスタジアムで行われ、日本代表がイラク代表と対戦した。日本は序盤、イラクに押し込まれたが、落ち着いた守りで攻撃を跳ね返した。しかし、迎えた決定的チャンスをモノにできず、スコアレスのまま前半を終えた。後半もイラクにシュートまで持ち込まれるかたちが多かったものの、GK川島永嗣(リエージュ)を中心にゴールを割らせなかった。すると、相手が1人退場となって迎えた後半44分、MF岡崎慎司(シュツットガルト)が決勝点。日本が予選最終戦を白星で締めくくった。

 遠藤、カウンターから決勝アシスト(カタール・アル・アラビスタジアム)
イラク代表 0−1 日本代表
【得点】
[日] 岡崎慎司(89分)
 予選最終戦も苦しい戦いだった。キックオフ前の気温が35度近くになる酷暑の中で日本の選手たちは動きが重く、引き分け以下で予選敗退のイラクに押し込まれる時間帯が長かった。
 
 立ち上がりは崖っ縁のイラクの攻勢に押し込まれた。前半19分、FWフンマディ・アハメドに裏へ抜け出され、PA内までドリブルで持ち込まれる。しかし、必死に戻ったDF長友佑都(インテル)が体を寄せてシュートを打たせなかった。フンマディ・アハメドが倒れるも、ノーホイッスル。長友の落ち着いた対応が光った。

 なかなか日本らしいパス回しが見られなかったが26分、MF清武弘嗣(ニュルンベルク)がMF香川真司(マンU)とのワンツーでPA内に攻め込み、右足でシュート。しかし、これはDFに当たってコースが変わってボールはGKにかき出された。36分には、FKのセカンドボールをMF細貝萌が右クロス。ゴール前でDF今野泰幸(G大阪)が右足で狙ったが、シュートはクロスバーを越えていった。

 スコアレスのまま迎えた後半も、後のないイラクの攻勢にあった。後半8分、DFアリ・アドナン・カディムに左足で強烈なミドルシュートを打たれたが、川島が横っ飛びでキャッチした。酷暑の影響か日本は運動量が落ち始め、守備に回る時間が増える。DF酒井宏樹(ハノーファー)、細貝が自陣でミスからボールを奪われ、ピンチを招くなど、集中力を欠いたプレーも見受けられた。それでも今野を中心に最後のところで体を張り、ゴールを許さない。37分、DF伊野波雅彦(磐田)がクロスボールをオーバーヘッドを狙ったFWアラー・アブドゥル・ザハラと競り合い、顔面を蹴られながらクリア。アラー・アブドゥル・ザハラは2枚目の警告で退場となり、日本が数的優位に立った。

 すると44分、ようやく試合が動いた。カウンターから岡崎がドリブルでゴール前まで攻め上がり、左サイドのMF遠藤保仁(G大阪)にパス。遠藤はPA内左サイドに侵入して、GKを引き付けて横に流し、岡崎が滑り込みながら右足でゴールに流し込んだ。土壇場で決勝点を決めた日本が、3試合ぶりの白星を挙げた。

「相手も負けられない戦いの中で、厳しい戦いでした。チームひとつになって戦えた結果、勝利につながった」
 長友は素直に勝利を喜んだ。内容は低調だったものの、過酷な環境下で勝ち切ったことは評価できる。しかし、決定力不足は相変わらずで、強引にシュートまで持ち込む積極的な場面も少なかった。現地時間15日から始まるコンフェデレーションズカップでは、ゴールに向かう回数を増やしたいところだ。

 長友は「これからこそ、厳しい戦いになると思う」と気を引き締めた。対アジアから対世界へ。W杯に向けて、ザックジャパンの本当の戦いが始まる。