8日、日本サッカー協会はキリンチャレンジカップ2013(14日、宮城スタジアム)のウルグアイ代表戦に臨む日本代表23名を発表した。7月の東アジア杯で代表デビューを果たしたメンバーからはFW柿谷曜一朗(C大阪)やFW豊田陽平(鳥栖)ら6名を選出した。一方、同大会で招集を見送られた国内外の代表常連ではFW香川真司(マンU)、FW本田圭佑(CSKAモスクワ)、MF遠藤保仁(G大阪)らが、今回メンバー入りした。
「本大会に向けてどれだけ準備できるかという新しいステージ」
 アルベルト・ザッケローニ監督は、ブラジルW杯までの残り期間をこう表現した。準備とは、戦術や連係の精度向上のみならず、W杯までに戦力の底上げを図るという意味も含まれている。その証として、これまでの常連メンバーを外し、東アジア杯制覇に貢献した柿谷ら新戦力を再び招集。選手間の競争を促している。

 新戦力の中で注目が集まるのが柿谷と豊田だ。FWハーフナー・マイク(フィテッセ)はケガの影響もあるが、彼とこれまで代表常連だったFW前田遼一(磐田)を外してまで彼らを選出したザッケローニ監督の期待がうかがえる。

 柿谷は東アジア杯で3ゴールを挙げて得点王に輝く活躍を見せた。裏へ抜け出すスピード、シュートに持ち込むまでのボールコントロール、そして確実にゴールへ流し込む冷静さ……。ポイントゲッターに必要な能力を高水準で備えていることを証明した。そんな23歳のストライカーを、ザッケローニ監督はこう評価する。

「少しずつだが、常に成長しているから今回も選んだ。ゆっくりでもいいから成長して、(代表チームに)馴染んでほしい。あまりプレッシャーをかけたくないという思いが個人的にはある。しっかりと、ゆっくりと成長して、完成度を増してほしい。完成形に入ってくれば、攻撃のパートはどこでもこなせる能力を持っていると思う」
 東アジア杯後のリーグ戦では2試合ノーゴールと精彩を欠いた柿谷。ウルグアイ戦では、ゴールに絡むプレーで指揮官の期待に応えたい。

 対する豊田は東アジア杯ではゴールこそ奪えなかったものの、強靭なフィジカルと空中戦の強さで存在感を示した。オーストラリア戦ではポストプレーから2アシストを記録。韓国戦では終了間際に自陣ゴール前で相手の決定機を阻止するなど、守備での貢献も光った。
「ゴールだけが選考基準ではない。(豊田は東アジア杯で)得点こそなかったが、チームメートにスペースをつくり出し、得点の可能性を与える動きをしていた。(そうした役割をこなしながら)自分も得点する可能性をつくり出せていた」
 状況に応じた役割をしっかりとこなした点が、ザッケローニ監督に評価されたのだ。

 今大会はワントップの常連2人がいないだけに、ウルグアイ戦では柿谷と豊田のどちらかの先発出場が濃厚だ。指揮官は「異なるタイプの選手なので、代表でも違ったバリエーションを出してくれると思っている」と期待を語った。ウルグアイは南アフリカW杯ベスト4、6月のコンフェデレーションズ杯でも4位に入った強豪。この相手に実力を発揮できれば、代表定着へ大きく近づく。柿谷と豊田――2人の若きストライカーの戦いから目が離せない。

<日本代表メンバー23名>

GK
川島永嗣(スタンダール・リエージュ)
西川周作(サンフレッチェ広島)
権田修一(FC東京)
DF
駒野友一(ジュビロ磐田)
今野泰幸(ガンバ大阪)
伊野波雅彦(ジュビロ磐田)
長友佑都(インテル・ミラノ)
森重真人(FC東京)
内田篤人(FCシャルケ04)
吉田麻也(サウサンプトン)
酒井高徳(VfBシュツットガルト)
MF
遠藤保仁(ガンバ大阪)
長谷部誠(VfLヴォルフスブルク)
青山敏弘(サンフレッチェ広島)
高橋秀人(FC東京)
山口螢(セレッソ大阪)
FW
豊田陽平(サガン鳥栖)
岡崎慎司(1.FSVマインツ05)
本田圭佑(CSKAモスクワ)
香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)
清武弘嗣(1.FCニュルンベルク)
柿谷曜一朗(セレッソ大阪)
工藤壮人(柏レイソル)