26日、女子サッカーの国際親善試合が千葉・フクダ電子アリーナで行われ、なでしこジャパン(日本女子代表)がナイジェリア女子代表を2−0で下した。日本は序盤からボールを支配すると、前半21分、MF宮間あやのPK弾で先制。28分には、MF阪口夢穂のゴールでリードを広げた。後半は前に出てきたナイジェリアに押し込まれる時間帯もあったが、DF岩清水梓を中心に体を張った守りでゴールは許さなかった。日本は年内最後の試合を勝利で締めくくった。

  キャプテン宮間、1G1Aで連勝貢献(フクダ電子アリーナ)
日本女子代表 2−0 ナイジェリア女子代表
【得点】
[日] 宮間あや(21分)、阪口夢穂(28分)
 有意義なテストマッチだったのではないか。22日の試合同様に、代表未経験や出場機会の少なかった選手を起用し、チーム全体の底上げを図った。その中で、主軸である宮間らも輝きを放った。

 日本は宮間、MF川澄奈穂美、FW大儀見優季を除き、22日と異なるメンバーで試合に臨んだ。この日はDF上野紗稀が左サイドバックとして、初スタメンでフル代表デビューを飾った。

 序盤から日本がボールを支配してナイジェリアを押し込んだ。そのなかで先制点が生まれたのは前半21分だった。大儀見がPA内へのスルーパスに反応し、DFと競り合うなかで倒されてPKを獲得。宮間がキッカーを務め、ゆっくりとした助走からゴール左下へ蹴り込んだ。コースはGKに読まれていたものの、宮間らしい正確で強いシュートだった。

 28分には、その宮間が追加点を演出した。左サイドで得たFK、高いボールをゴール前へ入れた。マークをはがした阪口がクロスをヘディングでゴールに流し込んだ。立て続けの得点劇に、スタジアムが沸いた。

 リードに余裕が生まれると、佐々木則夫監督は早くも交代のカードを切った。32分、MF後藤三和に代えてMF木龍七瀬をピッチへ送り出した。36分、入ったばかりの木瀧が左サイドからクロス。ファーに流れたボールを、大儀見が右足ダイレクトボレーで狙った。これはわずかにゴール右へ外れたものの、日本はナイジェリアを押し込むかたちのまま試合を折り返した。

 後半に入っても日本ペースは変わらなかった。後半10分、代表デビューの上野が持ち味を発揮した。左サイドを駆け上がって、宮間のパスを呼び込み、左足でニアサイドに折り返す。木龍が押し込んだところでオフサイドとなりゴールにはつながらなかったが、上野が豊かなスピードとサイドを仕掛ける積極性を指揮官にアピールした。

 守りではDFリーダー・岩清水梓の統率力が光った。身体能力で勝るナイジェリアがDFラインの裏を狙うとみるや、絶妙なラインコントロールでオフサイドを誘発。また、個人技で仕掛けられた場合は、簡単に飛び込まず、粘り強い対応で相手の攻撃を防いだ。

 日本は6人の交代枠を使い切りながらも安定した試合運びを見せた。その中で大きくバランスを崩すこともなく、2戦連続の完封勝利を収めた。

「多くのの選手が出場したなかで勝てたのはよかった」
 宮間はこう振り返った。しかし、内容に話が及ぶと「『世界一目指す』と言っても笑われる段階」と語った。佐々木監督も「流れの中で点をとれなかったのは残念」と攻撃面の課題を挙げた。メンバーが変わる中でも、攻撃のクオリティーを保てるかが、今後のポイントとなる。そのためにも、今回の2連戦で多くの選手が代表の戦術理解を深められたことは、後につながっていくだろう。

 宮間が「毎回、メンバーが違うような印象だった」と語るように、今年の日本は既存戦力と新戦力の融合を重視した1年だった。成績は5勝4敗3分け。W杯女王としては物足りなさが残るも、更なる進化へ向けた“産みの苦しみ”のなかで勝ち越したことは評価できるだろう。来年5月には15年W杯の予選を兼ねたアジアカップが控える。日本はW杯出場権獲得と同大会初優勝を目指す。