川崎がホームで圧勝 ~B.LEAGUE~
20日、男子プロバスケットボールの「B.LEAGUE」第29節初日が神奈川・川崎市とどろきアリーナで行われ、東地区3位の川崎ブレイブサンダースが、同4位の栃木ブレックスを89-61で下した。川崎は第1Qを27-20でリードすると、その後も点差を広げた。最後は28点差を付けての圧勝。3連勝の川崎はこの日試合のなかった同2位のアルバルク東京との差を詰めた。
ファジーカス、19得点挙げ通算3000得点まであと11(とどろきアリーナ)
川崎ブレイブサンダース 89-61 栃木ブレックス
【第1Q】27-20【第2Q】19-14【第3Q】17-12【第4Q】26-15
昨シーズンのファイナルと同一カードは意外にもワンサイドゲームで終わった。昨シーズンのリーグ戦は1勝1敗。今シーズンのリーグ戦は2勝2敗と五分だった。
「出だしからハイエナジーでディフェンスからプレッシャーをかけられた。そこからオフェンスのいい流れにもっていくことができた」
川崎の北卓也HCがそう振り返ったように、序盤から主導権を握った。
第1QはSG辻直人が大当たり。日本代表のシューターがアウトサイドから面白いほどよく決める。スリーポイント(3P)を4本沈める大活躍で、川崎は10分間で27得点。7点のリードで第2Qを迎える。続くQはCニック・ファジーカスの出番だ。昨シーズンのMVP&得点王はチームの得点源。広いシュートエリアでゴールを決め、210cmの長身を生かして6リバウンドと荒稼ぎした。前半終了時点で13得点、10リバウンドでダブルダブルを確定させた。
前半で12点差をつけた川崎。第3Qは5点、第4Qは主力を休ませながらも11点リードを広げた。終わってみれば28点差の圧勝。栃木の安齋竜三HCは「甘さが出て最初からディフェンスが機能しなかった。実力の差を見せつけられた」と唇を噛んだ。川崎の北HCは「力の差はそこまでない」としながら、ここまでの差がついたことを「ミスをせずハードにプレーした結果」と語った。
完敗に終わった昨シーズンのチャンピオンチーム。栃木の選手たちも悔しさをにじませた。PF/Cライアン・ロシターは「悪い試合。それ以外に表現のしようがいない」と口にすれば、PF/C竹内公輔も「ゲームを通じてやりたいことが全くできなかった」と肩を落とした。若手のPG生原秀将などセカンドユニットを起用するなど改善を図ったが、最後まで流れを掴めなかった。
栃木のキャプテンPG田臥勇太が「川崎さんの強みは1つのプレーで終わらず2つ3つと続けている。5人で機能するバスケ」と評するように、川崎の組織力が光った試合だった。2ケタ得点は辻(20)、ファジーカス(19)の他にPG篠山竜青(17)、PFジョシュ・デービス(10)の4人。ベンチメンバーの活躍も目立った。
チーム最多の20得点を挙げた辻は6本の3Pを成功した。「最近、シュートフォームが納得いっていなかった」と言う辻だが、映像を見直して修正を図った。1本目を成功させたことで波に乗ったこともあったが、チームの岩部大輝アナリストへの感謝も忘れず、試合後のヒーローインタビューに陰の立役者を招き入れた。
ファジーカスは19得点11リバウンド4アシストの活躍。今シーズンの自身の平均得点は下回ったものの、B.LEAGUE最速の通算得点3000点まで、あと11得点とした。川崎が誇るオフェンスマシンは「近付いたことはうれしいが、チームメイトのおかげ」と謙遜した。この日は妻と3月に生まれたばかりの長男が観戦に来ていた。「今日は奥さんの誕生日だった。息子は初めて試合を観に来た。(生まれたばかりなので)記憶には残らないと思うが、いつもより特別な日でした」と笑顔を見せた。
川崎はこれで3連勝。2位のA東京との差を縮めた。チャンピオンシップ(CS)の出場を決めているが、ホーム開催権を得るためには順位と勝率を少しでも上げておきたい。残りの6試合は栃木、西地区2位の京都ハンナリーズ、東地区1位の千葉ジェッツ、中地区優勝のシーホース三河、西地区優勝の琉球ゴールデンキングスと強豪との対戦が続く。北HCは「1つでも東地区上位にしていき、優勝を狙っています。CSをホームでやる権利をぜひ獲りたい。まずは1戦1戦の勝利だけを考えています」と語った。
(文・写真/杉浦泰介)