16日、欧州遠征中の日本代表はベルギー・ゲンクのクリスタル・アレナでオランダ代表と対戦し、2−2で引き分けた。日本は前半13分、MFラファエル・ファン・デル・ファールトに先制ゴールを奪われた。その後はオランダにボールを支配され、39分、FWアリイェン・ロッベンに追加点を許す。しかし44分、FW大迫勇也がゴールを奪い、1点差にして試合を折り返した。後半は日本ペースの展開になり、15分、MF本田圭佑が同点弾を決めた。日本は勝ち越しゴールこそ奪えなかったものの、試合終了までオランダを押し込んだ。次戦は20日にベルギー代表と対戦する。

 大迫、先発起用に応える1G1A(クリスタル・アレナ)
オランダ代表 2−2 日本代表
【得点】
[オ] ラファエル・ファン・デル・ファールト(13分)、アリイェン・ロッベン(39分)
[日] 大迫勇也(44分)、本田圭佑(60分)
 ブラジルW杯の優勝候補相手に大健闘だ。2点をリードされ、前半の終盤まではオランダに圧倒された。しかし、前半のうちに1点を返すと、後半の早い時間帯に追いつき、その後も主導権を握り続けた。

 日本は序盤、立て続けにシュートチャンスを迎えるなど、いい入りを見せた。だが、徐々にボールポゼッションでオランダに上回られる。そんななか、自分たちのミスから先制点を与えてしまう。前半12分、DF内田篤人が自陣PA手前で中央からのロングボールに対応し、頭でGK西川周作にバックパス。このパスが弱くなり、詰めてきたファン・デル・ファールトにゴールへ押し込まれた。

 嫌なかたちで先制された日本はその後、さらにポゼッションを高めるオランダに押し込まれた。20分、イェレマイン・レンスに左サイドからクロスを上げられ、ロッベンに頭で合わせられが、シュートはゴール上に外れた。34分には、ロッベンに右45度の位置から左足で狙われたが、これは西川がなんとかパンチングで弾き出した。オランダの攻勢をなんとか凌いでいた日本だが、39分、ついに追加点を奪われた。ファン・デル・ファールトに左サイドからサイドチェンジのパスを通される。受けたロッベンに、中に切れ込まれてから左足でゴール左上へ突き刺された。日本はロッベンに2人が対応したものの、逆を突かれて距離を詰められなかった。

 このままオランダペースで行くかと思われた44分、日本が1点を返した。MF長谷部誠が高い位置でボールを奪うと、そのままドリブルで前に運び、ゴール前の大迫へスルーパス。これを大迫が右足のダイレクトシュートゴール左下へ流し込んだ。Jリーグで4戦連続ゴール中の好調ぶりを、代表でも示した。

 1点差で試合を折り返した日本は、後半開始からMF香川真司とMF遠藤保仁がそれぞれMF清武弘嗣、長谷部に代わって出場。パスをうまくさばける2人が入ったことで、ボール回しにもリズムが出始めた。

 後半7分、遠藤が香川とのパス交換からPA手前の本田へ縦パスを入れる。本田はトラップを少し浮かせてしまうが、それを左足で狙った。アウトサイドにかかったシュートは、クロスバーを直撃。本田が「2点取られて、厳しいかなという流れだったが、1点差で前半を終えられたのであきらめずにいけた」と語ったように、日本は後半開始から積極的なサッカーを展開した。

 すると15分、日本が鮮やかな連係から同点弾を奪った。右サイドを駆け上がった内田が遠藤からの大きなサイドチェンジを受ける。そこからMF岡崎慎司、本田とつながり、再び受けた内田がゴール前へパス。大迫がワンタッチで落としたボールを、本田が左足でゴール右下にねじ込んだ。

 さらに勢い付く日本は22分、香川がPA手前から左足でミドルシュート。シュートはゴール右へ飛ぶが、横っ飛びしたGKに左手1本で弾き出された。33分には、途中出場のFW柿谷曜一朗が香川からのスルーパスに抜け出し、GKとの1対1からシュートを打ったが、これはわずかにゴール右へ外れた。結局、日本は勝ち越しゴールを奪えなかったものの、終了までオランダに主導権を渡さず。今後に期待が持てる内容で試合を終えた。

 アルベルト・ザッケローニ監督は強豪相手の健闘に「満足できる試合内容だった」と納得したような表情で語った。この試合では、連敗した欧州遠征で見られなかった積極的なプレーが多かった。特にアタッキングサードでのミドルシュートやドリブル突破など、強引にゴールへ向かう場面が見受けられたことは評価できる。

 しかし、追いついた後の決定機を逸したことを考えると、まだ詰めが甘いことも事実。同点弾を決めた本田は次のように語った。
「後半のチャンスは僕らのほうが多かった。そこを勝ち切れなかったのは僕らに問題がある。内容は良かったと思うが、これに満足はしたくないし、引き分けで終えられただけなので、勝ち切れるようにしたい」

 後半に見せた積極的なサッカーを、試合開始から発揮できるか。それがベルギー戦でのポイントだ。今年最後の実戦で、対世界への手応えを掴みたい。