14日、日本水泳連盟は都内のナショナルトレーニングセンターでパンパシフィック選手権(8月、豪州・ゴールドコースト)とアジア競技大会(9月、韓国・仁川)の日本代表選手発表会見を開いた。男子は日本選手権で4冠を達成した萩野公介(東洋大)、背泳ぎ2種目を制した入江陵介(イトマン東進)、女子は3冠の渡部香生子(JSS立石)、バタフライ2種目で優勝した星奈津美(ミズノ)らが選ばれ、パンパシは男女22名、アジア大会は21名が代表入りした。もうひとつの代表選考会にあたるジャパンオープン(6月、東京)で、残りの代表を決める。また会見で日本水連は、2020年の東京五輪に向けて、日本トライアスロン連合と提携を結ぶことも発表。競泳のオープンウォータースイミングとトライアスロンの代表候補選手を対象に合同合宿や練習を通じ、相互の競技力向上を図る。競技環境の整備にも両団体が力を合わせて取り組んでいくことを明らかにした。
(写真:複数種目で代表入りし、エースとして期待のかかる萩野)
「4つの日本新記録が生まれ、入江選手、渡部選手が充実した泳ぎを見せてくれた。高い内容で全体としては今後につながるいい大会」。日本代表の平井伯昌ヘッドコーチは、日本選手権を総括した。10日から4日間行なわれた日本一を目指し熱き戦いを繰り広げた選手たちが、2つの国際大会に挑む。まずは8月21日から開幕するパンパシ。4年に1度行なわれるこの大会は、ヨーロッパ以外の国際水泳連盟(FINA)に加盟国が参加する。つまりは米国、オーストラリア、中国など五輪や世界選手権でメダルを争う強豪と対戦できる絶好の機会である。9月のアジア大会は、アジアの五輪にあたる競技会。ここでは中国、韓国との戦いになるが、アジアで盟主になれない限りは世界では通用しない。「記録と勝負を狙っていって欲しい」と平井コーチ。その結果が、来年の世界選手権(ロシア・カザン)、2年後のリオデジャネイロ五輪へとつながるはずだ。

 平井コーチはパンパシの目標に前回大会の3個を上回る金メダル数獲得を挙げた。背泳ぎの入江に期待がかかる。3回目の出場となるパンパシでは、初優勝を目指す。「3度目の正直をしっかり達成したい」と語る。前回の広州大会で中国に差をつけられたアジア大会については、中国が24個に対し、日本は9個だった4年前の雪辱に燃える。平井コーチは「男子を中心に、女子の方でもメダルを獲れればいい数になる」と述べ、男子800メートルリレーでの王座奪還を誓った。14連覇で途絶えた8継の威信復活に懸ける思いは、エースと期待される萩野も強い。昨夏のバルセロナで行なわれた世界選手権では中国が銅メダルを獲得し、日本は5位だった。「まず中国に勝つことが大きな意味を持つ」とアジアの頂点を目指す。

 五輪、世界選手権は一発勝負の選考会だったが、今回はそのどちらの開催もない中間年ということもあり、2度の選考会が行われる。今後は6月のジャパンオープンを経て、代表選手が追加される見込みだ。日本代表の上野広治監督はパンパシについては「予想的には倍になってくる」と見ている。上限はOWSを含め男女各26名。各種目最大3名が目安となっており、男子400メートル個人メドレー、女子200メートル平泳ぎに関しては、その枠は埋まっている。ジャパンオープンでよほどの記録が出ない限りは、追加することはない。一方のアジア大会は、競泳の枠が最大で男女計38名とより狭き門となる。既に21名が決定しているだけに、その他の選手は6月の選考会に可能性をかける。その後は日本代表の中からヨーロッパグランプリ大会に一部を派遣する。代表選手が出揃う7月からは高地トレーニングを敢行する選手と、国立科学スポーツセンターやNTCなど国内で調整する選手に分かれる。8月のパンパシ後は、日本学生選手権に出場する選手以外は、JISSで合宿。9月に静岡合宿を経て、仁川に乗り込む。

【競泳日本代表】

・男子
塩浦慎理(イトマン東進)
萩野公介(東洋大)
松田丈志(セガサミー)
小堀勇氣(セントラルスポーツ)
瀬戸大也(JSS毛呂山)
入江陵介(イトマン東進)
古賀淳也(第一三共) ※アジア大会のみの選出
小関也朱篤(ミキハウス)
小日向一輝(セントラルスポーツ)
藤井拓郎(コナミ)
池端宏文(法政大)
平井健太(セントラルスポーツ)
藤森太将(ミキハウス)
藤森丈晴(日本体育大) ※パンパシのみの選出

・女子
内田美希(東洋大)
竹村幸(イトマン)
渡部香生子(JSS立石)
鈴木聡美(ミキハウス)
金藤理絵(Jaked)
茂木美桜(ルネサンス幕張) ※パンパシのみの選出
星奈津美(ミズノ)
寺村美穂(セントラルスポーツ)
清水咲子(日本体育大)
(写真:この日の会見に出席した代表選手7名と平井コーチ<後列一番右>)

(文・写真/杉浦泰介)