27日、東京五輪・パラリンピック組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)は都内で記者会見を開き、25日から27日までの第1回調整委員会会議の報告を行った。会見に出席したIOCジョン・コーツ副会長は「非常に生産的な3日間。大きな進捗があった」と組織委の準備状況を評価した。一方の組織委の森喜朗会長は「高く評価していただいた」と手応えを口にした。「和やかな中にも緊張感があった。アドバイスも実務的。早速役立てたい」と会議の感想を語った。2回目のプロジェクトレビューは11月に予定されている。
(写真:フォトセッションでポーズをとるフェリED、コーツIOC副会長、森組織委会長)
「素晴らしいキックオフになったと確信しています」。充実の3日間を過ごし、森会長は胸を張った。

 25日からの3日間にわたって開催された第1回調整員会会議。コーツ副会長が委員長を務める調整委員会15名が来日した。組織委は調整委員会に対し、これまでの進捗状況を含め13のテーマをプレゼンテーションを行った。26日にはベニュー視察として、会場変更を検討されているカヌー競技の葛西臨海公園を含めた東京ベイゾーンの会場予定地を回った。

 森会長と東京都の桝添要一知事が会場計画の見直し検討を表明し、国内でも大きな話題を呼んでいる。この件についてはIOC側には森会長は報告がなされていたという。IOCのコーツ副会長は「カヌーのスラロームに関しては、評価委からも報告を受けていた。環境面が懸念されているなど反対もあった。(ベニュー変更は)できるだけ早く、どの方向にいくか決めなくていけない」と語り、「まだすべて決まっていない。IF(国際競技連盟)からサインオフがなければならない」という。調整段階であって決定事項ではない。

 会場変更により懸念されるのが招致段階で日本がアピールしてきたコンパクト五輪である。会場の85%を選手村から半径8キロ圏内に置くというプレゼンテーションの際の“公約”。それが実現不可能となるケースも出てくる。コーツ副会長は「コンパクトは重要だが、意思決定は競技によって違う」と話した。これについてはIOCのジルベール・フェリ五輪競技大会エグゼクティブディレクターも言及。「招致の段階で変更もあり得ると書いてある。効率性のための改良。IOCにとって一番いいのはコンパクトだけではない」と問題なしを強調した。

「何度も変えちゃダメ。できるだけ早くすべてのものを報告。必ずIFに了解を得て、NF(国内の競技連盟)との調整をしたい」と森会長。早ければ来週から関係者と会合する予定だという。「我々も引き延ばすことはしない」と善処することを誓った。

 コーツ副会長は前日の晩には高円宮妃殿下をはじめ、安倍晋三首相らと会ったという。「一丸となって支援をしていると心から感じた」。森会長は「高い評価をいただき、“ベスト・オブ・ジャパン”と言っていただいた。大会成功に尽力したい」と力強く語った。走り始めたばかりとはいえ、残された猶予は6年しかない。これから話を詰めていくにつれ、課題もどんどん出てくるだろう。それをひとつひとつクリアしていき、2020年にベストなものを完成させたい。

(文・写真/杉浦泰介)