2020年東京五輪・パラリンピック大会競技組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)の調整委員会は、大会準備に向けた事務折衝となる「第3回プロジェクトレビュー」を2日間行った。最終日となった5日、都庁で合同会見を開いた。IOC副会長を務めるジョン・コーツ調整員会委員長は、「前回11月に参りました時以来、大きな前進を遂げられている。好位置につけていると思います」と、進捗状況を高く評価した。昨年12月にIOCが総会で「五輪アジェンダ2020」を採択してから初の事務折衝。組織委の森喜朗会長は「『五輪アジェンダ2020』を我々としては全面的に支持している。IOCとともにオリンピック改革を進め、東京2020をアジェンダ2020の実現の場にしたい」と語った。森会長は会場計画や種目追加に関して言及。馬術会場は仮設施設の建設を取りやめ、既存施設の活用を変更することを明かした。追加種目については、設置を決めた種目追加検討会議の第1回を9日に行うことを発表した。
(写真:「このいい仕事を続けていただきたい」と組織委に対してコメントしたコーツ委員長)
 3回目とプロジェクトレビューでもコーツ委員長からは好意的なコメントばかりが伝えられた。「森会長、素晴らしい業績ありがとうございます。このままいい仕事を続けていただきたい」。先月末には相次いで大会スポンサーのゴールドパートナーが決まったことについて「どれだけこの大会に対して関心が高いか明確である。五輪プランドと、日本国民の支援の力を強いメッセージとして送っていることの実証だと思います」と語った。

 成人の日に行った残り2020日のカウントダウンイベントについては「大会組織委員会が地元のコミュニティの方々との取り組みを進めていることを評価している。イベントにたくさんの若いアスリート、ファンを集めた。こういった交流は五輪精神の象徴である」と述べた。一方の組織委の森会長も「2日間と短い日程ではございましたが、極めて深く、熱っぽく、大変有意義な時間でありました」と手応えを口にした。

 昨年12月に採択されたIOCのトーマス・バッハ会長肝入りの中長期改革案「五輪アジェンダ2020」は東京大会に大きな道筋を示すものだ。中には国内でも度々議論に上がる会場計画や種目追加に関することも含まれている。今回は馬術の会場は当初予定した仮設の夢の島競技場(江東区)から、前回の東京五輪でも使われた既設の馬事公苑(世田谷区)に変更する方針を固めた。自転車競技の会場も仮設の有明から静岡県の伊豆ベロドロームの活用を検討するという。組織委としては4月を目処に会場計画をまとめる予定だ。

 開催都市が提案できるようになった追加種目については、IOCが4月末に参加国数や男女比などの基準を示すという。組織委は森会長が「できるだけ速やかに決めたい」と7月のIOC総会を目標にしていたが、9月にIOCへの提案期限は9月、正式決定は来年8月の井リオデジャネイロ五輪直前のIOC総会になる見通しとなった。

(文・写真/杉浦泰介)