28日、東京マラソン2020のプレスカンファレンスが都内ホテルで開催された。3月1日に行われるレースは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一般ランナーの参加は取り止めとなり、エリートランナーのみの実施となる。プレスカンファレンスには大迫傑(Nike)、設楽悠太(Honda)、井上大仁(MHPS)ら国内外の招待選手が出席し、抱負を語った。

 

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、延期・中止が相次いでいるスポーツ界。毎年4万人以上のランナーが参加する大規模イベントの東京マラソンも例外ではない。一般ランナーの参加は取り止められ、車いすマラソンの招待選手も辞退者が相次いだ。

 

 プレスカンファレンスではメディアにマスクが配られ、例年行われる囲み取材も質疑応答の会見形式に変更された。大会規模は縮小されたが、最速を巡る争いに変わりはない。海外招待選手のビルハヌ・レゲセ、ゲタネ・モラ、シサイ・マタのエチオピア勢は世界歴代3位、9位、10位の実力者。日本国内レース最高記録は2017年にウィルソン・キプサング・キプロティチ(ケニア)がマークした2時間3分58秒の更新も狙えるメンバーだ。

 

 また今レースは東京オリンピックの日本代表選考対象レースとなる。現在、大迫が持つ2時間5分50秒の日本記録を塗り替え、日本人最上位に入れば3人目の代表候補に躍り出る。記録更新の期待がかかるのは大迫、設楽、井上という日本1位、2位、5位の記録を持つランナーたちだ。

 

 3人は昨年の東京オリンピック代表選考レース、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)に出場したが、上位2人までに与えられる代表権を獲得できなかった。大迫は「悔しくないと言ったらウソになる。悔しさがあって次に進める」と口にした。「悔しさ半分、やり切った半分」とは設楽。井上は「オリンピックどうこうと言える結果ではなかった」と述べた。

 

 注目は2時間5分49秒以内で走れるか。現日本記録保持者の大迫は「不可能ではない記録。最近の流れや雰囲気で誰が切ってもおかしくない」と語り、「誰よりも速く走ることしか集中していない」と話した。2年前の東京マラソンで自己ベストをマークしている井上は「ガチガチに狙っているわけではないが、世界と戦うには必要なタイム」と意識していること隠そうとはしない。目標タイムは2時間4分30秒とした。一方、マイペースを貫くのが前日本記録保持者の設楽だ。「あまりレースプランやタイムを決めて走るタイプではない。あまり深く考えず自然に走りたい」

 

 早野忠昭レースディレクター(RD)は「東京マラソン史上最高のランナーが集まった」と期待を寄せる。28日時点では第1集団のペースを1㎞2分55~56秒に設定する予定だという。フィニッシュタイムは2時間3分台を想定している。当日の気象条件次第ではあるが、好タイムが期待される高速レース。世界レベルの走り、それに食らいつく日本勢の走りに期待したい。

 

(文・写真/杉浦泰介)