第241回 新型コロナウイルス、二分される格闘技界の対応

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、スポーツ界が大混乱に陥っている。

 

 プロ野球の開幕戦は4月10日以降に延期、Jリーグは中断、大相撲は無観客試合となり、高校野球センバツ大会は中止となった。競馬、競輪などの公営ギャンブルも、すべて無観客開催。場外の売り場も閉ざされている。

 

 国内だけではない。オリンピック各競技のアジア予選、大陸予選なども相次いで延期の発表がなされている。

 そして欧州サッカーに続き、NBA(全米プロバスケットボール)もシーズン中断となった。ユタ・ジャズのプレイヤー、ルディ・ゴベアが新型コロナウイルスの予備検査を受け、陽性反応が出たためである。

 

 このままだと東京オリンピックが開かれないかもしれない。1年後、あるいは2年後に延期、最悪の場合は中止の可能性もある。日本国内は収まったとしても、世界的流行となれば、どうしようもない。何とも「暗い春」だ。

 

 そして格闘界だが、イベント・大会を中止するか否かについては二分されている。

 

 プロボクシングは早々に3月いっぱい(後に4月15日まで延長)の興行中止(4月5日、東京・後楽園ホールでの東日本新人王予選のみ無観客試合として行われる)を発表した。これにより、4月4日に予定されていたWBO世界フライ級王座決定戦、中谷潤人(M・T)vs.ジーメル・マグラモ(フィリピン)も延期となっている。

 

 柔道は、東京オリンピック日本代表最終選考会を兼ねる「全日本選抜体重別選手権大会」(4月4・5日、福岡国際センター)を無観客で試合することを発表。

 またプロレスにおいても新日本プロレス、全日本プロレスは当面の興行中止を決めている。

 

 団体独自の判断

 

 一方で開催に踏み切る団体もある。

 キックボクシングのK-1は、3月15日、新宿GENスポーツパレスでの「第9回アマチュア全日本大会」、同月23日、さいたまスーパーアリーナでのビッグイベント「K’FESTA.3」(武尊出場)、同月28日、後楽園ホール「Krush.112」、4月4日、新宿フェイス「KHAOS.10」を通常通り行う模様。

 

 プロ修斗も、3月21日の東京・渋谷大会、同月29日、高松大会&後楽園ホール大会を決行する。プロレスも含めてイベントを強行する団体は少なくない。

 

 興行を中止すべきか、強行すべきか?

 これに対する判断は難しい。主催団体に任せるしかない。

 国から補助金を得ている競技は自粛要請に従うだろう。

 

 だが、そうではない団体は独自の判断をする。存続にかかわる様々な事情もあるのだ。会場へ足を運ぶか否かはファンの自由。大会主催団体は、キャンセルを求めるファンに対してチケットの払い戻しに応じるべき。だが、団体に対してはそれ以上を求めるべきでもないだろう。

 

 新型コロナウイルス感染が、これ以上拡大しないこと、そして早期の収束を切に願う。

 

※開催、中止の情報は、2020年3月12日時点のもの。

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『キミも速く走れる!―ヒミツの特訓』(いずれも汐文社)ほか多数。最新刊は『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)

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