サッカーカタールW杯の日本代表対ドイツ代表戦が23日、ハリファインターナショナルスタジアムで行われ、日本がドイツに2対1で勝利した。試合は前半33分にMFイルカイ・ギュンドアンにPKを決められ、日本は先制を許した。しかし、後半に入ると途中出場したMF堂安律(フライブルク)が30分に、FW浅野拓磨(ボーフム)が38分にゴールネットを揺らし、逆転勝利した。

 

 システム変更が奏効(ハリファ)

日本代表 2-1 ドイツ代表

【得点】

[日] 堂安律(75分)、浅野拓磨(83分)

[ド] イルカイ・ギュンドアン(33分)

 

 日本は立ち上がり、ドイツのDFラインにプレスを激しくかけにはいかなかった。「ドイツをリスペクトし過ぎて、消極的になってしまった」と、MF鎌田大地(フランクフルト)が言うように、ワントップの前田大然(セルティック)を低めの位置に設定し、相手の中盤にボールが入ってから少しずつプレスをかけにいった。

 

 この試合、最初に決定機を作ったのは日本だった。前半8分、鎌田が自陣でボールを絡め取り、ドリブルで前進し、右サイドを走るMF伊東純也(ランス)へパスを供給。伊東は低く速いクロスをゴール前ファーサイドに入れると、これに前田が左足を伸ばしゴールネットを揺らした。しかしながら、これはオフサイドの判定に泣かされた。

 

 以降、日本がボールを保持できる時間はわずかだった。31分、MFキミッヒに右から左サイドの高い位置で完全フリーのDFダビド・ラウムにサイドチェンジを許す。GK権田修一(清水エスパルス)が飛び出すがたまらずファウルを犯し、ドイツにPKを献上する。これをキッカーのギュンドアンが冷静にゴール中央に決められ、日本は手痛い先制点を許した。キミッヒにサイドチェンジを許したように、ボールと同サイドのプレスが緩いことで起きたように映った。

 

 森保一監督は後半の頭からシステムを4-2-3-1からほぼ5バックに近い3-4-3に変更した。MF久保建英(レアルソシエダ)に代えてDF冨安健洋(アーセナル)を、12分には前田とDF長友佑都(FC東京)に代えて、浅野とMF三笘薫(ブライトン)を送り出す。

 

 25分、権田がビッグセーブを連発。MFヨナス・ホフマンのシュートを権田が弾く。セカンドボールを近距離からMFセルジュ・ニャブリに詰められるがまたしても権田がピンチを救った。ここで失点をゆるさなかったことが大きかっただろう。

 

 26分にはMF田中碧(デュッセルドルフ)に代えて、堂安をピッチに送り込んだ。

 

 その4分後だった。左サイドでボールを持った三笘がニアサイドに走る南野へ。日本の10番は左足で鋭いボールをエリア中央に送るがGKマヌエル・ノイアーに左手で弾かれる。しかし、これに詰めていた堂安が左足で押し込み、日本が同点に追いついた。

 

 日本の勢いは止まらない。38分、自陣右サイドで得たFKをDF板倉滉(ボルシアMG)が同サイド相手DFラインの裏に浮き球を送り込む。これに浅野が快速を飛ばし追いつくと、角度のないペナルティーエリア内右サイドから右足を振り抜く。ゴールニアハイを豪快にぶち抜き逆転ゴールを突き刺した。

 

 このまま逃げ切った日本は優勝候補相手から大きな大きな勝ち点3を奪い取って見せた。目標とする「ベスト8」進出に向けて、まずは初戦を白星で飾った。

 

(文/大木雄貴)

 

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