旭化成、アンカーで逆転 5年ぶり26度目のV ~ニューイヤー駅伝~

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 1日、第69回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)が群馬県庁駅前を発着地点に7区間全長100kmで行われ、旭化成が2020年大会以来、5年ぶり26度目の優勝を果たした。優勝タイムは4時間47分32秒。2位は8秒差でHonda、3位には1分4秒差でトヨタ自動車が入った。

 

 レース前時点で史上最多の優勝回数(25)を誇る名門が、アンカー勝負で最後差し切った。

 

 1区(12.3km)は兵庫県立西脇工業高校から入社2年目の長嶋幸宝(ながしま・そなた)が2年連続で任された。マラソン日本歴代3位の記録を持つ吉田祐也(GMOインターネットグループ)、オリンピック3000m障害2大会連続入賞(東京7位、パリ8位)の三浦龍司(SUBARU)、世界陸上5000m2大会連続代表の遠藤日向(住友電工)らが集う激戦区だ。

 

 レースは吉田が先頭集団を牽引。一時先頭を譲ったが、10㎞過ぎから仕掛けて再度先頭に立った。東日本実業団対抗駅伝でも1区を任され、区間新記録をマークした吉田がリードする。長嶋は先頭集団に付き、好機を窺った。昨年は残り約3km地点で後続選手の足と接触し、転倒。区間13位に終わった。「1年間苦しい思いをしきてた分、“勝ちたい”という思いは誰よりも強かった」と長嶋。残り1kmを切ったあたりで仕掛けた。力強い走りで後続を引き離し、先頭で中継所へ。「1年間お待たせしました、という感じです」と長嶋。先輩の茂木圭次郎に襷を繋いだ。

 

 2区は最長21.9kmのエース区間だ。旭化成は茂木が区間6位の走りもGMOインターネットグループの今江勇人(区間2位)とトヨタ自動車の鈴木芽吹に抜かれ順位を2つ落としたが、3区(15.3km)はパリオリンピック1万m日本代表の葛西潤が区間2位の走りで2位に浮上した。4区(7.6km)はケニア出身のキプルト・エマニエル(区間14位)、5区(15.9km)の大六野秀畝(区間2位)、6区(11.4km)の齋藤椋(区間4位)が2位をキープして最終区間7区(15.6km)へ。

 

 アンカーは井川龍人が12秒差の2位で襷を受けるとHondaの中山顕とのマッチレースを制した。早稲田大学から入社2年目の井川は序盤で突っ込み、4.5km過ぎに中山に追いつく。そこからは後ろにピタリとついた。10㎞以上、その状態を続けると残り500mでスパート。粘る中山を振り切り、先頭でゴールテープを切った。殊勲の井川は「走る前から僕の持ち味であるラストスパートに持ち込むのが勝ちパターンだと思っていたので、最後まで力をためた。優勝しか見ないようにしてました」と振り返った。

 

 最多の優勝回数を26に伸ばした旭化成。区間賞は長嶋と井川のみだったが、他のランナーも大崩れせず襷を繋いだ。エース格の相澤晃ら経験豊富な選手が欠場した上での優勝に層の暑さを感じさせた。

 

(文/杉浦泰介)

 

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