大谷翔司、ラストマッチKOで散る 対戦相手の大沢は「大谷選手のおかげで強くなれた」と感謝 〜KNOCKOUT〜

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 15日、格闘技イベント『MAROOMS presents KNOCK OUT.61』が東京・後楽園ホールで行なわれた。この試合での現役引退を表明していたKNOCK OUT-BLACKライト級元王者の大谷翔司(KNOCK OUTクロスポイント渋谷)は、現同級王者の大沢文也(ザウルスプロモーション)に3ラウンドKO負け。メインイベントのKNOCK OUT-REDライト級タイトルマッチは王者の久井大夢(TEAM TAIMU)がゴンナパー・ウィラサクレック(ウィラサクレック・フェアテックスジム)と引き分けて、王座防衛に成功した。

 

 この試合をラストマッチに選んだ大谷は、対戦相手に現役王者の大沢を指名した。成績は1勝1敗。直近の試合は昨年5月の後楽園大会で大沢が大谷からベルトを奪った。「大沢選手ともストーリーがあったし、一番大きい理由は彼が現役のKNOCK OUTのチャンピオンだから。しかも僕が持っていたベルトを持っている。その意味で彼を選ばせてもらいました」と大谷。ある意味、介錯人としての役回りとなった大沢だが、「前日記者会見でも言いましたが、これから引退していく選手に現役選手が負けたらダメ」と語った。

 

 ゴングが鳴ると、大沢が右のオーバーハンド、左ボディ、右ストレートと強打を見せる。後楽園に響く打撃音。大沢が拳で語りかけるメッセージにも映った。「正直意外だった。自分としてはやりやすかったから良かったんですけど……。格闘技って難しい」とは大谷。予想外の展開だったが、オーソドックスな構えからカーフ、ロー、左ジャブ、ボディとじっくりと攻めた。2ラウンドは互いに決定打がなかったものの、エンドロールは確かに近付いていた。

 

 3ラウンドが始まった直後、2人は抱き合った。大沢によれば「“これが俺らの最後の闘い。やろう!”という感じのことを言いました」とのこと。最後は大沢が「狙っていた」右ストレートを顔面に突き刺した。たまらず大谷はダウン。レフェリーが10カウントする前に立ちあがったが、続行不能と判断し、試合を止めた。

 

 試合後のマイクで大沢は「皆さん一回、大谷選手に思いっきり、大きな拍手をお願いします」と後楽園ホールのファンに呼びかけた。

「本当に大げさじゃなくて、僕は大谷選手がいたから格闘技を辞めないで頑張れたというのがあって。僕はいつもアウトボクシングばっかりなんですが、今回は前に出ると決めていた。それは大谷選手だからできた。僕は2~3年前に大谷選手と初めてやった時に勝っていたら、強くなれていなかったと思います。大谷選手に負け、“絶対に超えてやる”と毎日毎日努力しました。僕がKNOCK OUTの王者になって、この間5連勝できたのも、大谷選手のおかげ。もう一回、大谷選手に拍手してください。僕は大谷翔司という格闘家が、大谷翔司という男が本当に大好きです。ありがとうございました。皆さん、大谷選手の第二の人生を応援してあげてください」

 

 リング上で惜別のメッセージを受け、大谷は会見で「これ(試合後のマイクを)含めて本当により彼を好きになったし、その前に号泣していたんですけど、涙が止まらなくなりました」と感謝した。

「自分がデビューする前から活躍していた。その選手とここまで争えたことは光栄です。最後KO負けという納得のできない結果になってしまいましたが、これも次に進むにはいいマインドになる。この悔しさを胸に次の人生には大成できるよう頑張っていきたい」

 

 プロ通算41戦25勝(16KO)13敗3分け――。綺麗な戦績とは言えないかもしれないが、大谷は自らの格闘技人生について「一言で言うと最高でした」と振り返り、こう続けた。

「ここまでKNOCK OUTのベルトを巻いて、短い期間でしたけどKNOCK OUTを背負って戦うことができた。それが自信になっている。自分が本当に見据えていたところには届かなかったっていうのも事実。本当に半々ぐらい入り混ざった感情で、それが次の人生に向かうには一番いいマインドなんじゃないか、と。リングでの戦いは終わりましたけど、これからも戦いは続いていくので、大成します」

 

 KNOCK OUTの山口元気代表も惜別のメッセージを送った。

「遅咲きの選手で、去年はメインだったこともあった。メインを張る選手になるとは思っていなかった。責任感のある本当にいい選手になってくれた。本人的にはダメージが残らないようにケジメを付けたいということだった。僕もいい引き際だと思う」

 6月の代々木大会で「功労者なので、ちゃんとした引退式をやりたい」と、改めて大谷を送り出すことを明らかにした。

 

 勝った大沢は、リング上で4月の沖縄大会への出場をアピール。7年3カ月ぶりのKO勝ちとなったが、試合後の会見では「あまり期待しないでくださいね。マジで塩試合する気満々なんで」と報道陣を沸かせた。

「欲を言えばKNOCK OUTのRED、UNLIMITEDのベルトも全部取りたい。ただ久井選手には勝てないんで、とりあえず断る。今日ドローで良かった。僕と闘う日が延びていく」と冗談交じりに言った。「ただ、いつかは闘わないといけない」とも口にした。

 

(文/杉浦泰介)

 

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