二宮: 全日本女子にとって一番のポイントとなった準々決勝では、北京五輪銅メダルの中国にフルセットの末に勝利しました。最後の第5セットは18−16。まさに死闘でした。
大友: 気持ちの部分で中国よりも勝っていたことが、勝利につながったのだと思います。あの試合は、1点1点を辛抱強く全員で取りにいっていましたし、たとえラリーが続いても、それを取り切る強さもありました。私たちは、全日本女子がずっと突破することができずにいた準々決勝にかけていた。その気持ちが前面に出ていたと思います。だから途中で点数を開けられても、必ず追いつけるという自信が、プレーしていく中で芽生えていましたね。

二宮: 全日本女子としては1988年ソウル大会以来となる6大会ぶりに準々決勝の壁を破り、準決勝に進出しました。しかし、そこで待ち構えていたのが金メダルを獲得したブラジルでした。
大友: 準決勝でのブラジルは、本当に強かった。予選でのブラジルとは全く違っていて、本当の強さを見せつけられたという感じでした。

二宮: 悔しさというよりも、「やられた」という感じですか?
大友: そうですね。私自身、ブラジルのミドルの選手を目標にしているところもあるので、五輪の準決勝という舞台で、そのブラジルと戦うことができたのは、大きな経験になりました。

 バレーとは切っても切れない人生

二宮: 3位決定戦で韓国にストレート勝ちを収めて、見事に銅メダルを獲得しました。一度、現役を引退してから復帰した大友さんだけに、バレーボールの大切さを再確認されたのでは?
大友: はい。今回の五輪では毎日、バレーボールができることが楽しくて仕方ありませんでした。「あぁ、やっぱり自分はバレーが好きなんだな」と改めて感じる日々を過ごす中で、自分にとってどれだけ大きい存在かを痛感しました。今までいろいろなことがありましたが、バレーがあったからこそ乗り越えられた。もう、私の人生はバレーとは切っては考えられないですね。

二宮: 昨年10月に右ヒザを手術してからは、「二度とコートに立てないかもしれない」という不安に駆られたこともあったのでは?
大友: リハビリをしていく中で、そういう気持ちがなかったわけではないですね。でも、とにかく「五輪に絶対に間に合わせるんだ」と自分に言い聞かせていました。もう、五輪までは時間があまりありませんでしたから、余計なことを考えずに、無我夢中という感じでした。

二宮: 周囲のサポートも支えになったでしょうね。
大友: 家族はもちろんですが、全日本のスタッフも本当にいろいろとサポートしてくれました。スタッフ総出でボール練習に付き合ってくれたこともあったんです。そういう人たちの気持ちに応えるためにも、1日でも早くみんなとコートに立ちたいと思っていました。

(つづく)

大友愛(おおとも・あい)
1982年3月24日、宮城県生まれ。中学1年からバレーボールを始める。仙台育英高時代には世界ユース選手権で優勝した。2000年、NECに入団し、1年目のVリーグにて新人賞を獲得。01年、ワールドグランプリで日本代表デビューを果たした。04年のアテネ五輪に出場し、5位入賞に貢献。08年、2年ぶりに現役復帰し、久光製薬スプリングスに入団した。09年、JTマーヴェラスに入団し、前年、リーグ9位に陥ったチームの復活に大きく貢献した。翌年には全日本代表に復帰。10年世界選手権では32年ぶりのメダルを獲得する。昨年9月のアジア選手権で右ヒザを痛め、同年10月に手術。半年以上のリハビリを経て全日本に復帰し、2大会ぶりの出場となった今夏のロンドン五輪では銅メダルを獲得した。JTマーヴェラスではチーム一のポイントゲッターとして活躍。今年9月末で退団した竹下との速いコンビネーションで2010/11V・プレミアリーグ初優勝に導いた。

2012/13V・プレミアリーグ、男子は11月3日(土)開幕!
 JTサンダーズは「自考改革」をチームスローガンに掲げ、ユニフォームもリニューアル! 入れ替え戦に回った昨シーズンの雪辱を果たすとともに、悲願の初優勝を目指して心機一転、リーグ戦に挑みます。

<開幕からの試合日程>
11月3日(土)14:00 vs 鹿沼総合体育館(栃木)
11月4日(日)14:00頃 vsFC東京 太田市運動公園市民体育館(群馬)
11月10日(土)14:00 vs豊田合成 岡崎中央総合公園総合体育館(愛知)
11月11日(日)15:00頃 vsパナソニック 岡崎中央総合公園総合体育館(愛知)
11月17日(土)16:00頃 vs東レ 福山市緑町公園屋内競技場(広島)
11月18日(日)15:00頃 vsサントリー  福山市緑町公園屋内競技場(広島)
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(構成・斎藤寿子)
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