第70回国民体育大会「2015紀の国わかやま国体」は26日に開会式を迎える。開幕に先駆けて水泳と体操、セーリング、バスケットボールが既に実施されている。愛媛県勢ではセーリングの成年女子ウインドサーフィン級で小嶺恵美(一宮グループ)が優勝。バスケットボールでは成年女子で今治オレンジブロッサムを主体とした選抜チームが昨年の3位を上回る準優勝。成年男子がベスト4、少年女子が8強入りを果たした。
 2年後に迫った「愛顔(えがお)つなぐ、えひめ国体」に向けた各競技団体の強化は実を結んでおり、四国ブロック予選では好成績を収めた。予選が実施された113種目中、国体出場権を手にしたのは76種目(67.3%)。これは香川の42種目(37.2%)を大きく上回り、断トツトップだ。1位通過した種目数も58と半数を超え、四国では抜きん出た競技力をつけたことが証明された。

 特筆すべきは、弓道の成年女子。ダイキ弓道部で構成された代表チームが予選を1位で突破し、6年ぶりの国体切符を手にした。またソフトボールの成年男子は、全国トップクラスの実力を誇る高知県を下し、3年ぶりに出場する。いずれも本番では上位進出が期待できる。

 予選突破で参加種目が増えたこともあり、選手団の総数も677人と昨年より約100名増えた。愛媛県体育協会によると、「ここ10年では最多の選手団」だ。だが、「四国で勝てたからといって、全国で通用するとは限らない。全国の舞台はそう簡単にはいかない」と県体協の藤原惠専務理事は気を引き締める。

 あくまでも愛媛県が狙うは2年後の地元開催での天皇杯(男女総合1位)獲得。県はこれを見据えて、今回の和歌山国体では10位以内を目標に掲げる。昨年の「長崎がんばらんば国体」が21位だったことを考えると、大幅な成績アップが不可欠だ。

「天皇杯を勝ち取るには、各種目とも入賞で満足せず、優勝を狙わないといけない。頂点に近づけば近づくほど道のりは険しくなる。ここからが本当の勝負です」
 藤原専務は目標クリアを決して楽観視していない。

 ベスト10入りへ頼みの綱はお家芸であるボートだ。成年男子ダブルスカルでは武田大作(ダイキ)、越智寛太(筑波大)が再びペアを組み、連覇を目指す。昨年、53年ぶりに同種目を制した成年女子かじつきクォドルプルは、昨年からメンバーを変更して、さらなる強さを模索する。

 重量挙げは成年男子53キロ級で連覇がかかる権田達也(中大)など、全員が入賞を狙っている。ボウリングでは、県内で開かれた体験教室がきっかけとなって競技を始めた泉宗心音(聖カタリナ高)が2年連続の優勝を見据える。

 県の競技力向上対策本部で昨年度から採用しているスポーツ専門員の活躍にも注目だ。各専門員は国体での上位入賞を目指して自身のトレーニングを積みながら、県勢を育成、強化する役割も担っている。カヌーの多田羅英花は昨年のアジア大会4位の実力者。上位が確実視されている。相撲の由留部圭祐は昨年の全日本大学選抜で個人3位に入っており、戦力は厚みを増した。

 大量得点につながる団体競技の結果もカギを握る。ソフトボールでは成年男子に加え、成年女子では日本リーグ1部の伊予銀行に上位進出が望まれる。選抜チームの少年男子も好成績が見込まれる。サッカー成年男子の今治FC、成年女子の愛媛FCレディースも楽しみだ。愛媛FCレディースは一昨年3位、昨年は準優勝と順位を上げており、残すは優勝のみだ。10年ぶりに全種別が出場する弓道はいずれも入賞できる実力がある。柔道、相撲でも得点が稼げそうだ。

「これまで未普及競技だったセーリングでも優勝者が出ました。同様にカヌーやアーチェリーでも入賞を狙える体制が整ってきています」
 藤原専務は地道に続けてきた強化の取り組みに手応えを感じている。

 とはいえ、いくら、いいメンバーが揃っても本番で実力を発揮できなければ、すべては絵に描いたモチになる。県体協ではここ数年、選手の医科学サポートにも力を注いできた。
「予選前には県下のドクターの協力を仰いで、約800名の出場選手の健康状態をチェックしました。得られたデータをもとに必要な指導をしています。またトレーナーや栄養士も各競技団体に派遣し、ケガ予防やコンディション維持に努めています」

 藤原専務は「成績向上の背景には、こうしたバックアップ体制の充実がある」と分析する。競技団体側も、こうしたサポートの重要性を認識して積極的に受け入れ、県体協に要望を出すところも増えてきているという。

「今回の国体が、2年後への強化プランを最終チェックする機会となります。ここでの結果を分析し、見直すべきところは見直して、来年1年間で勝負をかける。上位入賞を狙うのはもちろん、地元開催につながる大会にしなくてはいけません」
 藤原専務は、和歌山国体をそう位置づける。ホップ、ステップ、ジャンプで天皇杯に手を届かせる。その上で、この大舞台は、何より大切な「ホップ」の場となる。

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(石田洋之)

(このコーナーでは2017年の「愛顔つなぐ えひめ国体」に向けた愛媛県やダイキのスポーツ活動について、毎月1回レポートします)


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