23日、日本代表(FIFAランク26位)がカタール・ハリファスタジアムでカナダ代表(同68位)と国際親善試合を行った。日本は前半9分にFW岡崎慎司(シュツットガルト)のゴールで先制する。しかし、追加点を奪えずにいると、後半13分、セットプレーからカナダに同点弾を許した。29分にFWハーフナー・マイク(フィテッセ)が決勝点を奪ったものの、4日後のブラジルW杯最終予選ヨルダン戦(同90位、ヨルダン)に向けて課題を残した。

 セットプレーから失点(カタール・ハリファスタジアム)
日本代表 2−1 カナダ代表
【得点】
[日本] 岡崎慎司(9分)、ハーフナー・マイク(74分)
[カナダ] マーカス・ヘイバー(58分)
 5大会連続W杯出場をかけた大一番に向けて弾みをつける勝利とはならなかった。アルベルト・ザッケローニ監督が「チャンスを確実に決めきれなかった」と語ったように、シュート15本を放ちながら、ゴールを奪ったのは2点。守りでもセットプレーから失点を喫し、精彩欠いた。

 MF本田圭佑(CSKAモスクワ)の不在でトップ下に入ったのはMF香川真司(マンU)、香川がそれまで務めていた左サイドハーフにはMF乾貴士(フランクフルト)が入った。また左サイドバック・長友佑都(インテル)の代役としてDF酒井高徳(シュツットガルト)、発熱の影響で調整が遅れていたセンターバック・今野泰幸(G大阪)に代わってDF伊野波雅彦(磐田)が起用された。

 日本は序盤からボールを支配すると、前半9分、早々に先制点を奪った。MF長谷部誠(ヴォルフスブルク)が自陣でのパスカットから攻め上がり、抜け出したMF香川にスルーパス。飛び出てきたGKにクリアされたが、岡崎がこぼれ球を拾ってループシュートで流し込んだ。岡崎は代表戦3試合連続ゴールとなった。

 幸先よく先制した日本だが、追加点が遠かった。前半13分、右サイドから逆サイドへ展開し、抜け出した乾が折り返す。しかし、FW前田遼一(磐田)のシュートはゴール上に外れた。20分には、MF遠藤保仁(G大阪)のFKがクロスバーを直撃。前半終了間際、乾が左のショートコーナーから右足でミドルを狙うが、ゴール上へ。結局、1−0のまま試合を折り返した。

 日本は後半から前田、岡崎、DF内田篤人に代えてハーフナー、MF中村憲剛(川崎F)、DF駒野友一(磐田)を投入。中村がトップ下に入ったため、香川は左MF、乾が右MFにポジションを移した。ハーフナーは1トップ、駒野は右SBにそのまま入った。

 後半も日本はカナダを押し込むが、ゴールが遠い。3分、ハーフナーがカウンターから抜け出し、PA手前から左足で狙うもゴール右へ。5分には、酒井高の左クロスをハーフナーが胸トラップから左足ボレーを放ったが、ゴール上に外れた。

 度重なるチャンスを決めきれないでいると、後半13分、セットプレーから同点弾を許した。左CK、伊野波がFWマーカス・ヘイバーにマークを外され、頭で合わせられた。これがゴール右隅に吸い込まれた。ファールは禁物だが、相手を掴んででも離されないというしつこい守りが必要だっただろう。DF吉田麻也(サウサンプトン)は「教訓になった」と反省を口にした。日本は勢いに乗るカナダに押し込まれ、攻撃もなかなか形をつくれない苦しい時間帯が続いた。

 それでも29分、ハーフナーが逆転弾を奪った。左サイドを抜け出した酒井高からのクロスにニアで香川がつぶれてこぼれた球を左足で押し込んだ。その後は再び追いつかんとするカナダの猛攻にあったものの、なんとか逃げ切った。

 収穫は、本田、長友が不在でもチャンスをつくれていたことだろう。決定力の劇的な改善は難しいだけに、ヨルダン戦もコツコツと好機を積み重ねられるかがポイントとなる。

 ヨルダン戦に勝てば無条件で本大会出場。引き分けでも、同組のオーストラリア対オマーン戦がドローに終われば、出場権を得る。指揮官は「(W杯出場の可能性を残す)ヨルダンも相当の覚悟を持って試合に臨んでくるはず。それに負けないようにしたい」と気合を入れた。果たして、カナダ戦が“良薬”となり、世界最速のブラジル行きチケットを獲得できるか。

<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
内田篤人
→駒野友一(45分)
吉田麻也
伊野波雅彦
→栗原勇蔵(61分)
酒井高徳
→酒井宏樹(83分)
MF
長谷部誠
遠藤保仁
岡崎慎司
→中村憲剛(45分)
香川真司
乾貴士
→大津祐樹(63分)
FW
前田遼一
→ハーフナー・マイク(45分)