26日、ブラジルW杯アジア最終予選第6戦がヨルダン・アンマンのアブドラ国王競技場で行われ、日本代表がヨルダン代表と対戦した。決定機をモノにできずにいた日本は、前半終了間際にセットプレーから先制点を許す。さらに後半15分、FWアハマド・ハイエルに追加点を奪われた。24分にMF香川真司(マンU)のゴールで1点差に詰め寄ったものの、追いつくことはできなかった。この結果、日本の最終予選突破は6月のオーストラリア戦(埼玉)以降に持ち越しとなった。

 遠藤、痛恨のPK失敗(アブドラ国王競技場)
ヨルダン代表 2−1 日本代表
【得点】
[ヨ] バニアテヤ(45分+1)、アハマド・ハイエル(60分)
[日] 香川真司(69分)
「悔しい。もっと点をとって勝てていた試合」
 香川がこう語ったように、チャンスの数は日本が圧倒的に多かった。しかし、決定力を欠いて1ゴールしか奪えず、逆にヨルダンには少ないチャンスをモノにされた。

 他会場のオーストラリア対オマーンの一戦がドローに終わったため、日本は引き分け以上でW杯出場権を獲得できる状況でヨルダン戦に臨んだ。
 日本は序盤から日本が主導権を握ったが、ゴールが遠かった。前半4分、MF清武弘嗣(ニュルンベルク)が香川との連携でPA内左サイドに侵入し、GKと1対1の場面に。しかし、清武は香川にリターンパスを選択し、受けた香川のシュートはDFにブロックされた。角度がない場所ではなかっただけに、確実性を狙ったことが裏目に出た。

 15分には、FW前田遼一(磐田)が左サイドからのクロスに頭で合わせるも、GKにセーブされた。23分、再び前田がゴール前でクロスをヘディングで狙うが、これはクロスバーを直撃。こぼれ球を押し込むこともできなかった。

 22日のカナダ戦同様に、チャンスを決めきれない日本。すると、前半終了間際にヨルダンに先制点を奪われた。MFバニアテアに左CKから頭で叩き込まれた。MF岡崎慎司(シュツットガルト)がマークしていたものの、うまく体を前に入れられた。劣勢だったヨルダンに先制される嫌なかたちで、試合を折り返した。

 日本は後半に入っても高いボール支配率から攻撃を組み立てた。しかし、シュートを打てるところでパスを選択するなど、積極性に乏しいシーンも見られるなど、なかなかシュートまで至らない。また、プレーの精度を欠いてヨルダンの選手にボールを奪われる場面も多く見られた。

 すると後半15分、まさかの2点目を喫してしまう。左サイドバック・DF酒井高徳(シュツットガルト)がピッチ中央付近でボールを奪われ、前線につながれる。受けたハイエルにDF吉田麻也(サウサンプトン)がプレスに行くが、簡単に振り切られ、前に出たGK川島永嗣(リエージュ)の脇を冷静に抜かれた。

 攻めるしかなくなった日本は19分、前田に代えて高さのあるFWハーフナー・マイク(フィテッセ)を投入。この交代がスイッチになったのか、日本が猛攻を仕掛ける。
 そして24分、ようやくヨルダンゴールをこじ開けた。決めたのは香川だ。PA手前で縦パスを受けた清武がワンタッチで前方に浮き球のパス。これに反応した香川が、右足で豪快に蹴り込んだ。エースの一撃で勢い付く日本はさらに攻勢を強めていく。

 直後、右サイドバック・DF内田篤人(シャルケ)がPA内右サイドへのパスに抜け出した際に倒されてPKを獲得した。キッカーは名手・MF遠藤保仁(G大阪)。ここでヨルダンの選手がセットしたボールを動かすなど、遠藤に執拗なプレッシャーをかける。果たして、短い助走からゴール右下を狙ったシュートは、GKサフィに弾き出されてしまった。ヨルダンサポーターで埋め尽くされたアブドラ国王競技場が熱狂の渦に包まれた。

 日本はその後も攻勢を強めたが、人数をかけてゴール前を固めるヨルダン守備陣を切り崩すことはできなかった。これが最終予選初黒星。5大会連続のW杯出場は、次戦以降に持ち越しとなった。

「この試合で(予選突破を)決めきりたかった。わたしの性格的に後回しにすることは好きではない」
 アルベルト・ザッケローニ監督はいら立ちを隠さなかった。そして、「チャンスは多く作ったが、サッカーの試合は点を決めないとやられてしまうことがある。この試合ではそれが出てしまった」と決定力不足を嘆いた。

 この試合は、ミドルシュートが少ないことも印象に残った。引いて守る相手には、時に強引にゴールをこじ開けることも必要だ。シュートを打てばGKが弾いたこぼれ球を押し込んだり、選手に当たってコースが変わることもある。6月のオーストラリア戦では遠目からでもシュートを狙う積極性が求められる。

 B組首位の日本はあと勝ち点1を積み上げれば本大会出場が決まる。しかし、次のオーストラリア戦の会場はホーム。大観衆の前で引き分け狙いの消極的な姿は見せられない。合言葉は“勝ってブラジルへ”だ。

<日本代表出場メンバー>

GK
川島永嗣
DF
内田篤人
吉田麻也
今野泰幸
酒井高徳
→駒野友一(79分)
MF
遠藤保仁
長谷部誠
清武弘嗣
→乾貴士(86分)
香川真司
岡崎慎司
FW
前田遼一
→ハーフナー・マイク(64分)