FIFAクラブワールドカップ2013の決勝が22日(日本時間)、モロッコのマラケシュスタジアムで行われる。ファイナルに駒を進めたのは、欧州王者のバイエルン・ミュンヘンと開催国王者のラジャ・カサブランカ。バイエルンは3度目(インターコンチネンタルカップ時代を含む)、カサブランカは初の世界一を目指す。
 タレント軍団の中心はリベリー

 バイエルンは準決勝で圧倒的強さを見せつけた。アジア王者の広州恒大を3−0で粉砕。ボール支配率は72パーセントを記録した。オランダ代表FWアリエン・ロッベンが負傷離脱しているが、その影響を感じさせなかった。

 バイエルンのメンバーはまさに豪華絢爛だ。GKマヌエル・ノイアー(ドイツ代表)、DFダンテ(ブラジル代表)、MFフランク・リベリー(フランス代表)、FWマリオ・マンジュキッチ(クロアチア代表)……。各国の代表選手がズラリと顔を揃えている。
 その中でも特筆すべき選手がリベリーだ。フランス代表のアタッカーは、準決勝で先制弾をマーク。PA内で相手がクリアミスしたボールを、左足ボレーで叩き込んだ。その後も、鋭いドリブルからシュートを放つなど、広州恒大守備陣の脅威となり続けた。攻撃が停滞している時は、彼がスイッチを入れる役割も果たす。

 またバイエルンは高い攻撃力が注目されがちだが、守備も固い。今季、リーグ戦16試合で8失点という結果が鉄壁ぶりを物語っている。
 攻守に隙のないバイエルンが、完全アウェーの中で世界一獲得というミッションを遂行する。

 カサブランカ、ホームで栄冠目指す

 対するカサブランカは、準決勝で南米王者アトレチコ・ミネイロを3−1で下す波乱を起こした。開催国クラブが決勝に進出したのは、史上初である。

 カサブランカは国内リーグ優勝11回、アフリカチャンピオンズリーグ優勝3回を誇る名門だ。メンバーの多くはモロッコや他のアフリカ諸国の代表経験者。その中でチームを引っ張るのが、「モロッコのマラドーナ」と呼ばれるMFムフシン・メトワリだ。クロス、スルーパス、シュート、ドリブルとすべてが高水準。彼がボールを触る機会が多ければ多いほど、チームはチャンスが増えるのだ。カサブランカは単発で終わるのではなく、メトワリを中心に波状攻撃を仕掛けたいところだ。

 守備では後手に回らないことが重要だ。バイエルンの攻撃を恐れてDFラインをずるずる下げてしまっては、それこそ蜂の巣状態になることは想像に難くない。まずはDFラインを高く設定し、セカンドボールの争いでマイボールにし、バイエルンの攻撃を寸断できるか。

 両チームの戦力を比べてみて、バイエルンに分があるのは間違いない。しかし、カサブランカはホームでの試合だ。大観衆の応援を背に、決勝でジャイアントキリングを起こせるか。