10日、2020年東京五輪・パラリンピック大会競技組織委員会は第1回アスリート委員会、第1回顧問会議を開催した。組織委は大会ビジョンの骨子『TOKYO 2020がめざすもの』を発表。スポーツで世界と未来を変えることをテーマに「全員が自己ベスト(より高く)」「多様性と調和(より広く)」「未来への継承(より長く)」と3つのコンセプトを掲げた。
(写真:前回の東京大会50周年を記念してイベントが行われ、オールジャパン体制をアピール)
 1964年の東京五輪開会式から、ちょうど50年。その記念すべき日に大会開催基本計画の指針となる大会ビジョンの骨子が決まった。

 JOCも50周年を記念し、様々なイベントを行ってきた。6日から「1964東京五輪・パラリンピック50周年記念ウィーク」と銘を打った。昨年9月7日に招致決定を喜んだ都内の東京商工会議所では、オリンピアンやパラリンピアン、そして未来を担うアスリートたちのスペシャルトークショーを開催した。その席で今回の骨子が発表された。

 今年1月には組織委が発足し、来年2月にIOCに提出する大会開催基本計画の作成に向け、これまで様々な議論がなされてきた。招致時のスローガンは『Discover Tomorrow』。大会ビジョンはそれを具体化したという。3つの視点からの「Tomorrow」と題し、アスリートの視点、東京・日本・世界の視点、みんな(各方面)の視点からビジョンを構築した。それが3つのコンセプト、「全員が自己ベスト(より高く)」「多様性と調和(より広く)」「未来への継承(より長く)」となり、『TOKYO 2020がめざすもの』が出来あがったわけである。

 この日は、第1回アスリート委員会も開催された。同委員会はアスリートの立場から組織委にアドバイスを送る。会議は予定時間をオーバーするほどだった。議会後の会見ではアスリート委員会の鈴木大地委員長は「いい意見を出していただけるような環境を設定し、アスリートの立場から成功に導きたい」と抱負を語った。同席した室伏広治スポーツディレクターによれば「大変建設的に話は進んだ。2020年の東京はパラリンピックを2回開催する初めての都市。パラリンピックについての意見が多くかわされた」と言い、バリアーフリーを含め、パラリンピアンの環境向上についての議論が目立った。アスリート委員は21名で構成され、そのうち女性は11名と過半数を超える。それについて、鈴木委員長は「積極的に発言してくれて議論が活発になった」と好影響を及ぼしたことを明かした。

 今回決まったビジョンは骨子であり、それにどう肉付けしていくか。作り上げていくのは、組織委や各委員会、それにアスリートだけではない。国民全員が一丸となって、作り上げる。そのオールジャパン体制を作り上げるためには、どんどん情報を発信する積極性、そして意見を汲み取る柔軟性も求められる。

(文・写真/杉浦泰介)