落合采配と星野采配

 もう20年以上も前のことになる。当時、三冠王として球界に君臨していたロッテ・オリオンズの落合博満選手に、雑誌の企画をお願いしたことがある。「落合の打撃教室」というグラビアで、川崎球場の室内練習場を借り切って撮影した。今にして思えば、夢のような贅沢な企画である。

あるベンチの光景

 それは、滋味あふれる光景であった。場所は札幌ドームの3塁側ベンチ(この球場は3塁側がホームチームなんだそうですね)。  ベンチに深々と座った北海道日本ハムの平野謙コーチが、まだ試合中だというのに満面の笑みを浮かべて何やら話している。左腕を相手の肩にまわして、抱きかかえるようにして。  肩を抱かれているのはダルビッシュ有である。平野コーチは、天井を向いたり、何やら指さしたりしながら、実に表情豊かに話し続ける。ダルビッシュは、うん、うん、と何度もうなづく。平野コーチは、ついには歯をむき出して大笑いした――。

成瀬とマー君

 タイロン・ウッズは藤川球児を打てませんでしたね。7月26日の阪神−中日戦。3−2と阪神1点リードで迎えた8回裏、久保田智之が2死満塁まで攻め立てられて、打席にはこの時点でのホームラン王・ウッズ。ここで救援した藤川は、アウトローにストレートを投げ込んで、ものの見事に三振に仕留めた。

巨人の不在について

 先日発表されたオールスター・ファン投票の最終結果には、ある顕著な特徴があった。東北楽天の選手が8人も選ばれたこと? もちろんパ・リーグの特徴はそれに尽きるが、ここで話題にしたいのはセ・リーグである。首位を走る巨人の選手がやけに少ない。選ばれたのは中継ぎ投手の林昌範と捕手の阿部慎之助、三塁手・小笠原道大の3人だけ。楽天ではなく、久々に首位を快走する日本一の人気球団こそ、8つくらいのポジションを占めても不思議ではないのに。

日米二人のセットアッパー

 メジャーリーグで今一番注目されている日本人選手は誰だろうか。残念ながらアメリカに行ったことがないので、かの地の風土はよく知らないのだが、きっとダイスケ・マツザカではないだろう。もちろん、ヒデッキー・マツイでもない。おなじヒデッキーでも、レッドソックスの岡島秀樹なのではないだろうか。

松坂は面白い

 年年歳歳花相い似たり、歳歳年年人同じからず――ちょっと気どってエッセイでも書こうかというとき、これほど便利に、頻繁に引用されてきた言葉もあるまい。これが出てくるだけで凡庸でステレオタイプな文章と断じてもいいくらいだが、恥ずかしながら、つい使ってしまいました。世の中は毎年何も変わらないように見えるけれども、人って結構変わるもんだ、ということですよね。よく知らないが。  そう。人は変わらないようで変わるものなのである。

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