代表監督問題が訴えかけるもの

 日本シリーズをごらんになっているだろうか。実は、あまり熱心に見ていない。こんなこと、ものごころついて以来、初めてかもしれない。  理由ははっきりしている。要するに、観る側が間延びしてしまったのである。クライマックスシリーズの2位と3位のプレーオフがあって、それから何日かあいて、その勝者(今年は両リーグとも3位チーム)と1位の決戦。それからまた、しばらく日があいて、ようやく日本シリーズである。始まったときは、すでに11月だよ。白けることおびただしい。11月は、野球シーズンではありません。10月がポストシーズンの月です。  せっかく、首尾よく両リーグの優勝チームの対戦という日本シリーズ本来の形になったのに、なんだか待ちくたびれて気勢をそがれてしまった。明らかに、クライマックスシリーズといういびつなプレーオフ制度の弊害である。

クライマックスシリーズの功罪

「自分の力不足。(略)相手より自分の力がなかった」 「失敗したらどうしようって…。失敗するわけないんですけどね」  このふたつの言葉は、わずか一カ月ほどの時をへだてて、同じ投手から発せられたコメントである。前者は朝日新聞8月23日付、後者は、日刊スポーツ9月26日付からの引用である。正確には、(略)の部分には「韓国は強い。」が入る。後者の言葉の前には「(巨人の戦況はマウンドに上がったとき)頭にある。」という前段がついている。

新しい日本代表のために

 マウンドには日本のエース・ダルビッシュ有(北海道日本ハム)。右打席に迎えるのはキューバの至宝・4番ユリエスキ・グリエル。2−0と日本リードの4回裏。1死1塁の場面である。  ?外角高目 ストレート ファウル  ?内角高目 ストレート ファウル  ?外角低目 スライダー ファウル  ?外角低目 スライダー ファウル  ?スライダー(やや中に入った)ヒット!

野茂英雄と歴史の問題

 その投手は、大きく発達した上体をゆすりながら、ややはにかむように小首をかしげて、外野フェンス脇のブルペンから、マウンドに小走りに走ってきた。救援のマウンドに立つということ自体に、ある種の含羞を隠し切れないようにも見えたし、その一方で逆に、従容として、あるいは昂然として、自分の仕事をまっとうしようとしているようにも見えた。

阪神と日本代表

 今年の阪神タイガースは強い。これは間違いない。  例えば、首位攻防となった7月2日の中日戦。中日・山本昌の立ち上がりを攻めて3回までに3点。中日も阪神の岩田稔、江草仁貴をとらえて追いつき、8回まで3−3の同点という展開になった。で、9回裏、1死一塁で代打の切り札・桧山進次郎の当たりは大きなライトフライ。これは入ったと思ったが、なんとフェンス手前で打球が落ちてきた。2死。普通は、この回はここで終わりである。  ところが続く代打・葛城育郎が再び桧山とほぼ同じようなライトへの大飛球。今度は二塁打となって4−3でサヨナラ勝ちしたのでした。

下克上の時代――楽天、西武はなぜ勝つか

 こんなことを言うと、傷心のファンの方々からふざけんなと罵声を浴びそうだが、実は横浜ベイスターズは強いのではないか、と思うことがある。オリックスから移籍した大西宏明は、1番に座って以来、4割近い打率を維持している。3番に入った内川聖一もずっと4割近い。4番村田修一、6番吉村裕基は日本人打者には数少ない本物のホームラン打者である。ちょっと間違えば、確実にオーバーフェンス。しかも、クセ者・石井琢朗や金城龍彦も打線に名を連ねる。

9回を投げる権利と義務

 これぞまさに波瀾の幕開けというのだろう。パ・リーグでは楽天が開幕4連敗したと思ったら一転して7連勝(4月3日現在)。セ・リーグでは、なんと東京ヤクルトがかの読売巨人軍に開幕3連勝。こんなこと、誰も予想しなかったでしょう。というより予測不可能である。野村克也監督流にいえば、ヤクルトが巨人に3連勝すると予測するに足る根拠がない。もし、ヤクルトが巨人に3タテくらわすと予言した人がいるとしたら、それは予想ではない。あてずっぽうである。

落合采配と星野采配

 もう20年以上も前のことになる。当時、三冠王として球界に君臨していたロッテ・オリオンズの落合博満選手に、雑誌の企画をお願いしたことがある。「落合の打撃教室」というグラビアで、川崎球場の室内練習場を借り切って撮影した。今にして思えば、夢のような贅沢な企画である。

あるベンチの光景

 それは、滋味あふれる光景であった。場所は札幌ドームの3塁側ベンチ(この球場は3塁側がホームチームなんだそうですね)。  ベンチに深々と座った北海道日本ハムの平野謙コーチが、まだ試合中だというのに満面の笑みを浮かべて何やら話している。左腕を相手の肩にまわして、抱きかかえるようにして。  肩を抱かれているのはダルビッシュ有である。平野コーチは、天井を向いたり、何やら指さしたりしながら、実に表情豊かに話し続ける。ダルビッシュは、うん、うん、と何度もうなづく。平野コーチは、ついには歯をむき出して大笑いした――。

成瀬とマー君

 タイロン・ウッズは藤川球児を打てませんでしたね。7月26日の阪神−中日戦。3−2と阪神1点リードで迎えた8回裏、久保田智之が2死満塁まで攻め立てられて、打席にはこの時点でのホームラン王・ウッズ。ここで救援した藤川は、アウトローにストレートを投げ込んで、ものの見事に三振に仕留めた。

巨人の不在について

 先日発表されたオールスター・ファン投票の最終結果には、ある顕著な特徴があった。東北楽天の選手が8人も選ばれたこと? もちろんパ・リーグの特徴はそれに尽きるが、ここで話題にしたいのはセ・リーグである。首位を走る巨人の選手がやけに少ない。選ばれたのは中継ぎ投手の林昌範と捕手の阿部慎之助、三塁手・小笠原道大の3人だけ。楽天ではなく、久々に首位を快走する日本一の人気球団こそ、8つくらいのポジションを占めても不思議ではないのに。

日米二人のセットアッパー

 メジャーリーグで今一番注目されている日本人選手は誰だろうか。残念ながらアメリカに行ったことがないので、かの地の風土はよく知らないのだが、きっとダイスケ・マツザカではないだろう。もちろん、ヒデッキー・マツイでもない。おなじヒデッキーでも、レッドソックスの岡島秀樹なのではないだろうか。

松坂は面白い

 年年歳歳花相い似たり、歳歳年年人同じからず――ちょっと気どってエッセイでも書こうかというとき、これほど便利に、頻繁に引用されてきた言葉もあるまい。これが出てくるだけで凡庸でステレオタイプな文章と断じてもいいくらいだが、恥ずかしながら、つい使ってしまいました。世の中は毎年何も変わらないように見えるけれども、人って結構変わるもんだ、ということですよね。よく知らないが。  そう。人は変わらないようで変わるものなのである。

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