大野俊三
最下位に終わった東アジア杯は、国内組の弱さが露呈した大会となりました。ボディコンタクトや判断のスピードはやはり海外でプレーしている選手と比較すると劣ってしまいます。個の力で局面を打開したり、ボールを奪い返すといった部分で物足りなさを感じました。
ファーストステージではJ1リーグ8位と振るわなかった鹿島アントラーズを石井正忠新監督が率いることになりました。石井監督は住友金属工業、鹿島でともにプレーした仲。現役時代から自分の役割を精一杯果たし、汗をかいてくれる存在でした。きちんとしたビジョンを持って実践してくれる指揮官だとみています。
なでしこジャパンが連覇へベスト4まで進出しました。一戦ごとにチームとしてのまとまりができ、状態は上がっているとみています。決勝トーナメントに入ってのなでしこはコンセプトがはっきりしていますね。攻撃ではワンタッチ、ツータッチでパスサッカーを展開する。守備では止めるところをしっかり止める。トーナメントは負けたら終わりの勝負です。それが一層、はっきりしたプレーにつながっているのではないでしょうか。
連覇を目指すなでしこジャパンの戦いがいよいよ始まります。24日のニュージーランド戦、28日のイタリア戦はともに1−0の勝利。守備が課題と言われていた中、2試合連続で無失点で抑えたことは本番への収穫です。
この1カ月、大きな話題となったのはカズのJリーグ最年長ゴールでした。それも1点だけでなく、2週間後に自らの記録を更新する得点を決めたのだから、素晴らしいの一語です。サッカーに人一倍の情熱を持ち、48歳まで取り組んできた、ご褒美でしょう。
“オレ流”を就任から間もない期間で出そうとしている。そんな印象を受けました。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ新監督のことです。 初采配となった27日のチュニジア戦ではMF長谷部誠、DF吉田麻也といった芯の部分を残しつつ、代表初出場のMF藤春廣輝やFW川又堅碁らフレッシュな選手をスタメンで使いました。久々に代表に戻ってきたFW永井謙佑を起用するなど、前へのスピードを重視するスタイルがうかがえました。
いよいよ今季の明治安田生命Jリーグが開幕します。J1リーグは2ステージ制に方式が変わり、短期決戦で優勝が決まります。いかにスタートダッシュできるかがひとつのポイントとなるでしょう。
みなさんご存知のように、日本代表はアジアカップで準々決勝敗退となりました。せめてベスト4までは勝ち進んでもらいたかったところですが……。日本の組織力、技術の高さが結果に結びつかなかったのは残念です。ただ、立ち止まる時間はありません。6月には2018年ロシアW杯のアジア予選が始まります。選手・スタッフはアジア杯で見えた課題の分析・改善を急ぐ必要があります。
世界のサッカー界で2014年最大のイベントは、言うまでもなくブラジルW杯でした。日本代表は5度目のW杯出場でベスト16以上の成績を期待された中、グループリーグ敗退。W杯の常連国にはなったものの、まだ安定して勝利を挙げられるレベルにないという現実を突き付けられました。
アギーレジャパンは11月の2試合(14日=ホンジュラス、18日=オーストラリア)に連勝し、2014年の実戦を終えました。今回、注目されたのはMF遠藤保仁やMF今野泰幸といったザックジャパンで主力を張った選手の代表復帰です。日本サッカー協会内に10月までの4試合(1勝2敗1分け)に対する不満が見え隠れする中、ハビエル・アギーレ監督には11月の2試合でどうしても勝利が必要な状況でした。そこで遠藤や今野といった経験ある人材を招集したと私は見ています。その意味で、アギーレ監督としては計算どおりの連勝だったのではないでしょうか。
10月10日のジャマイカ戦、14日のブラジル戦を終えて、アギーレジャパンの戦績は1勝2敗1分けとなりました。勝ったジャマイカ戦を除いた3試合は2失点以上を喫しており、“守れないと勝てない”という事実が如実に表れています。ディフェンスの組織化はまだまだで、4失点を喫したブラジル戦では前線からの守備に改善の必要性を強く感じました。
ハビエル・アギーレ監督率いる新生日本代表は、ウルグアイに0−2で敗れ、ベネズエラと2−2で引き分けました。初陣で準備期間が短かったこともあり、監督も選手も思い通りのサッカーができなかったように映ります。しかし、焦る必要はありません。大事なのは2試合を通じて出た課題、チーム内の意識のズレなどを今後、いかに修正していくかです。
J1も後半戦に入り、優勝争い、残留争いが過熱しつつあります。その中で上位は団子状態です。1位の浦和レッズから4位・川崎フロンターレまでの勝ち点差はわずか2。例年同様、今季も最終節まで決着がもつれ込む可能性も充分あり得ます。上位チームで、私が注目するのは鹿島アントラーズです。W杯中断期間前の第14節から8戦負けなし。現在、4連勝中です。鹿島の好調の要因、それは若手の台頭にあると私は見ています。
日本代表の新監督に、ハビエル・アギーレの就任が発表されました。彼が日本のいい部分をどう生かし、ブラジルW杯で世界との差を見せつけられた部分をどう修正するのか。ひいては日本サッカーをどの方向へ導くのかが非常に楽しみです。
ブラジルW杯開幕が、すぐそこまで迫ってきました。27日のキプロス代表戦、日本代表は1対0の辛勝。これを受けて「大丈夫か?」と不安になった方もいるでしょう。しかし、アルベルト・ザッケローニ監督にとっては、想定内の“苦戦”だったと思います。鹿児島合宿での過酷なフィジカルトレーニングの影響で、選手たちの動きにキレがないことは織り込み済み。W杯本番でも、連戦や移動によって疲労が蓄積していきます。ザッケローニ監督はそういった状態を想定してキプロス戦に臨み、どれくらい戦えるのかを確認した。私はそう見ています。
まずは4月15日に亡くなられたダニー石尾さんのご冥福を心よりお祈りいたします。ダニーさんはJリーグが開幕した1993年からカシマスタジアムのスタジアムDJとして、熱いシャウトで試合を盛り上げてくれました。あの慣れ親しんだダニーさんの声をスタジアムで聞けないのは残念で仕方ありません。ダニーさんは鹿島アントラーズを愛し、支え続けてくれました。独特の語り口調と力強い声は、時が経てば経つほど味が出てきていたように思います。今は、お疲れ様でしたと言いたいですね。
非常に寂しい試合でした。23日、Jリーグ史上初のむ観客試合となった、J1第4節の浦和レッズ対清水エスパルス戦です。一部の心無いサポーターが犯した浅はかな行為が、多くの人の夢を奪ったという事実は遺憾に思います。
いよいよ2014年のJリーグがスタートします。22日にはシーズン幕開けを告げる富士ゼロックス・スーパーカップで、サンフレッチェ広島(13年リーグ優勝)が横浜F・マリノス(同天皇杯優勝)に2対0で完勝。史上2クラブ目のリーグ3連覇に向け、順調な仕上がりを見せているといっていいでしょう。
日本サッカー界にとって、2014年最初のビッグニュースは、本田圭佑のACミラン入団だったのではないでしょうか。しかも背番号は10番。「日本人が、最高峰のセリエAの名門クラブで10番をつける時代が来たのか」と日本サッカーの進歩を改めて実感しました。インテルの長友佑都も含めて、日本人がビッグクラブでプレーできることは、それだけ世界に日本サッカーが認められてきたということ。子供たちにも夢が生まれます。
ついにブラジルW杯グループリーグ(GL)の組み合わせが決まりました。ご存じのとおり、日本が入ったのはコートジボワール、ギリシャ、コロンビアのいるC組。5大会連続出場となる日本ですが、厳しい組に入ったかな、というのが正直な感想です。4カ国とも実力差がそこまで大きくなく、接戦が予想されます。
オランダ戦での2点目を見て、私は鳥肌が立ちました。「日本のサッカーもここまで来たか」と。日本はアタッキングサードで6本のパスをつないで、ゴールを陥れました。パスのほとんどがワンタッチ。そして、選手たちの動きも止まることがありませんでした。あれでは、オランダの守備陣も為す術がありませんでしたね。強豪相手、しかもアウェーで、連動した球離れの速いパス回しを展開できたことに、日本の大きな成長を感じました。
“ドーハの悲劇”から、この28日で20年――。今でも、サッカーの試合を見ていて、拮抗した展開でアディショナルタイムに入ると、フッと当時の状況を思い出しますね。特にイラクに同点弾を奪われた瞬間は、今でも鮮明に覚えています。
Jリーグが大きな決断を下しました。2015年シーズンからの2ステージ制とポストシーズンの導入です。現行のままでは大幅な減益は避けられないというJリーグの緊急性は理解できます。ただ、私は1シーズン制を維持した方がよかったのではないか、というのが率直な感想です。やはり、最も多く勝ち点を稼いだチームが年間王者になることが、サッカーの本質であると考えるからです。
8月も終わるというのに、暑い日が続いていますね。そんな気候と比例するかのように、Jリーグでも熱い戦いが繰り広げられています。毎節のように首位が入れ替わり、どのチームが抜け出すかを予想するのは困難です。団子状態はしばらく続くでしょう。
称賛に値する優勝だったのではないでしょうか。みなさんご存知のとおり、日本代表が東アジアカップで初制覇を果たしました。代表では日の当たることが少なかった国内組が結果を出し、日本サッカーに少しずつ底力がつき、レベルアップが図られていると強く感じました。また今回は新戦力の発掘という大きなテーマが掲げられていましたから、その意味でも攻撃陣に新たな力を発見できたのは大きな収穫です。