バレーボール
―― 越川さんはJTサンダーズのキャプテンでもあると同時に、全日本男子バレーボールチームのキャプテンでもあります。南部正司新監督のもと、5月に再スタートを切った全日本は、9月のアジア大会では銀メダルを獲得しました。 : 昨シーズンのサンダーズとちょっと似た感情を覚えましたね。決勝で負けたことは悔しかったのですが、それでも今年だけのことを考えれば、ある程度の成果はあげられたんじゃないかなと。
2013/14シーズンは、JTサンダースにとって躍進の年となった。ヴェセリン・ヴコヴィッチ新監督を迎え、さらに長きにわたって全日本の主力として活躍してきた越川優が加入したチームは、前年6位から、10シーズンぶりとなるファイナル進出を果たした。だが、ファイナルではフルセットの末に敗れ、涙をのんだ。それだけに今シーズンにかける思いは強いに違いない。そこで新キャプテンに就任した越川にインタビュー。チームで唯一、優勝経験のある越川が今、感じているものとは――。昨シーズンで得た手応え、課題を踏まえながら今シーズンへの思いを訊いた。
グラクソ・スミスクライン株式会社が運営する喘息情報ウェブサイトにて、当HP編集長・二宮清純がナビゲーターを務める対談シリーズ「二宮清純のゼンソク人間学」が好評配信中です。このシリーズでは幼い頃から喘息に悩まされてきた二宮が、病気を克服して活躍しているスポーツ選手、元選手と対談。喘息をいかに乗り越えるかというテーマで話を進める中で、この病気への理解を深め、患者さんを勇気づけることを目指しています。今回は“パワフル・カナ”のニックネームで親しまれた元バレーボール選手の大山加奈さんと、喘息の専門医で社会医療法人宏潤会理事長の吉川公章先生との対談を実施。その後編を公開しました!
―― 今年2月、全日本男子バレーボールチームの指揮官に、ゲーリー・サトウ監督が就任しました。新監督が目指すバレーとは? : ひと言で言えば、「スマートなバレー」ですね。「その時に最も得点につながるプレーを選択しなさい」ということです。例えばスパイクで言えば、トスが乱れたとしますよね。その時に、無理をして決めにいってミスをする可能性が高いのであれば、空いている所に返して、またチャンスボールをもらうようにする。そういうバレーが求められています。
2013−14 シーズン、 JTサンダーズは初優勝に向け、新たな戦力が加わった。越川優、 29歳だ。並外れたジャンプ力から繰り出すパワフルなサーブとスパイクを武器とする越川は、全日本代表の主力としても活躍し、 2008年には北京五輪に出場。その後3シーズン、イタリア・セリエAでプレーするなど、実力、経験ともに国内トッププレーヤーだ。彼の加入が、8シーズンぶりのファイナル進出、そして初優勝を目指すサンダーズにとって大きな戦力アップになることは間違いない。そこで今回はシーズン開幕を前に、越川に直撃インタビュー。サンダーズの印象、今シーズンにかける思い、そして同じく新監督のもとでスタートした全日本代表の現状について訊いた。
「中田(学)さんと同じチームに行きたくて、学生時代はFC東京からの誘いを2度も断っていたんです」 山岡祐也は、当時の状況を苦笑しながら振り返った。しかし、目指したチームとは縁がなかった。他の就職先は探していなかった彼の中に「教員免許もあるし、高知に帰ろうかな……」という思いがちらつき始めた。そんな時、FC東京から3度目の誘いを受けた。「3度も誘ってくれるところはない。もう少し、バレーをやろうと思いました」。2008年7月、こうして山岡は当時?・チャレンジリーグに所属していたFC東京に入団した。
「この選手はセッターとして大学へ送り出さないといけない」 高知中学・高等学校の高等部バレーボール部監督の大基喜は、中等部から進学してきた山岡祐也を見てこう考えていた。175センチ前後のアタッカーでは大学には受け入れられないだろうという見方が理由だった。しかし、山岡が高校時代に主に起用されたポジションはアタッカー。中学時代同様、チームには柱となるアタッカーがいなかったからだ。「アタッカーとしての彼の器用さとうまさに頼らざるを得ませんでした」。大は当時の複雑な心境をこう明かした。
山岡祐也がバレーボールを始めたのは小学1年生の時だ。5歳上の姉が地元のバレーボールチームに所属していたため、よく親と一緒に体育館へ見学に行っていた。それがきっかけで、「いつの間にかチームに入っていた」という。だが、当時の山岡が本当にやりたかったのは野球だった。グローブとボールを持って、友人と公園で遊ぶのが日課だった。
バレーボールでセッターを務める選手は、自身の指示やプレーで試合の流れをコントロールし、チームを勝利に導く役割から“司令塔”と呼ばれる。ただ、それゆえに負けた時は戦犯として矢面に立たされることも少なくない。?・プレミアリーグのFC東京でセッターを務める山岡祐也は今季、そんなセッターとしての責任を感じ続けた。
: 17日には2012/13V・プレミアリーグ女子が開幕しますね。昨シーズンは残念ながら5位という結果に終わりました。 : 昨シーズンはケガ人が多くて、ギリギリの人数でやり繰りしながら戦わざるを得ませんでした。ですから、今シーズンはとにかくケガをせずに、長いシーズンを戦い切ってほしいと思います。
: 大友さんがケガをして完全に復帰するまでの期間を、竹下さんはどう見ていましたか? : 私から見ていても五輪に向けての調整が遅れているなとは感じていました。正直、本当に五輪に間に合うのかな、という思いもありましたね。でも、メンバーは12名と限られていますから、他のメンバーのこともありましたし、自分なりにいろいろと考えさせられました。ただ、彼女がコートに戻ってからは、他の選手同様に、とにかくいい部分を引き出してあげたいという気持ちが強かったです。
: 竹下さんはシドニー五輪の後、一度は現役を引退しましたね。あれから 12年です。 : そうですね。自分でも「よくここまでやったな」という思いはあります。
: 竹下さんと大友さんは NEC時代からずっと一緒にプレーしてきました。今回のロンドン五輪でも、大事な場面でコンビプレーが決まっていましたね。 : 特に予選のイタリア戦は、試合には負けましたが、彼女の動きは抜群に良かったですね。イタリアにはシモーナ・ジョーリというベテランのセンターがいるんです。これまでさまざまな大会で MVPやベストブロッカー賞、ベストスパイカー賞を獲得してきた、世界のトッププレーヤーの一人なのですが、イタリア戦ではそのジョーリが日本にいるのかと思ったくらいです。
: 全日本女子にとって一番のポイントとなった準々決勝では、北京五輪銅メダルの中国にフルセットの末に勝利しました。最後の第5セットは18−16。まさに死闘でした。 : 気持ちの部分で中国よりも勝っていたことが、勝利につながったのだと思います。あの試合は、1点1点を辛抱強く全員で取りにいっていましたし、たとえラリーが続いても、それを取り切る強さもありました。私たちは、全日本女子がずっと突破することができずにいた準々決勝にかけていた。その気持ちが前面に出ていたと思います。だから途中で点数を開けられても、必ず追いつけるという自信が、プレーしていく中で芽生えていましたね。
: 大友さんにとっては2大会ぶり2回目の出場での銅メダル獲得でした。 : 銅メダルが決まった瞬間は、頭が真っ白になりました。とにかく「終わったんだ」ということだけでしたね。
: 1988年ソウル以来、6大会ぶりに準々決勝を突破し、準決勝ではブラジルと対戦しました。ブラジルには、昨年のワールドカップでストレートで勝っています。勝てない相手ではないと思って見ていたのですが、結果はストレート負けでした。 : ブラジルは、予選では韓国にストレート負け、アメリカにも負けて、グループ4位と決勝トーナメント進出ギリギリだったんです。ところが、準決勝でのブラジルは、予選の時とはガラリと変わっていました。とにかく強かった。ここ1、2年は少し衰えが見えていたので、久しぶりにあんなに強いブラジルを見たというくらいの完敗でした。
ロンドンでの女子バレーボール“火の鳥ジャパン”の快挙は今も記憶に鮮明だ。準々決勝では五輪史上初めて中国を破り、3位決定戦では韓国にストレート勝ち。アジアのライバル勢を倒し、ロサンゼルス五輪以来、実に 28年ぶりのメダルを獲得した。その原動力となったのが、 JTマーヴェラスの主力として活躍してきた竹下佳江(9月末で退団)と大友愛だ。そこで二宮清純が2人にロングインタビューを敢行。五輪での壮絶な戦いの舞台裏に迫った。
: 高橋さんはイタリアで2シーズンプレーしています。イタリアのお酒といえば、やっぱりワイン。おいしいワインがたくさん味わえたのでは? : それが体質的にワインが合わなくて、あまり飲めなかったんです……。でも周りの選手は皆、お酒好きで、普通に昼間からワインを飲んでいましたよ。
: お会いするのは1年ぶりでしょうか。今回の対談場所『ラ・ソラシド』を選んだのはプロデューサーを務める奥田政行さんが、実は高橋さんと同じ山形県出身だったから。スカイツリーが見渡せる素晴らしいレストランで、そば焼酎を楽しみたいと思います。 : やった! 山形生まれで得しましたね。帰って皆に自慢できます(笑)。
: 昨シーズンは黒星はわずか2つのみでしたが、今シーズンはここまで5敗(2月末時点)を喫しています。これについてはいかがですか? : 負けた理由がはっきりしていれば、そこをしっかりと修正して、次のステップに進むことができます。それを繰り返しながら、チームを仕上げていけばいい。しかし、やってはいけないのは、理由をつけて敗戦を正当化すること。それでは進歩はありません。負けた時はそれを真摯に受け止め、そのうえできちんと対応していくこと。今シーズンはそうしたステップを踏んできましたので、敗戦もチームづくりの糧になったと思っています。
バレーボールV・プレミアリーグ女子の全日程が終了した。今シーズン、レギュラーラウンドを制したのはJTマーヴェラスだ。開幕こそ連敗を喫したものの、石原昭久監督の下、徐々に結束力を高め、着実に勝ち星を重ねた結果、悲願の初優勝を達成した。2月末、初優勝を目指して奮闘中のJTマーヴェラスに二宮清純がインタビューを敢行。石原監督、キャプテンの坂下麻衣子に今シーズンについて振り返ってもらった。
: レギュラーラウンドも残すところ、あと2試合となりました。JTマーヴェラスは既にファイナルラウンド進出が決定しています。今後は25日から始まるセミファイナル、そしてファイナルを視野に入れての戦いになると思いますが、今の心境はいかがですか? : もちろん残り2試合も勝ちにいきますが、その中でセミファイナルに向けて試すことも大事になってくるかなと思っています。そこで自分たちを冷静に見つめなおして、ファイナルラウンドには最高の状態で臨みたいですね。
バレーボールV・プレミアリーグ女子はレギュラーラウンドも終盤に突入し、刻々とクライマックスへと近づいている。昨シーズンに続き、トップの座を守り続けているJTマーヴェラスは、既に2年連続4度目のファイナルラウンド進出が決定した。果たしてファイナルでは昨シーズンの借りを返すことができるのか。主力としてチームを支えている竹下佳江、山本愛、キム・ヨンギョンの3選手にチームの現状や今後の戦い方について、スポーツジャーナリスト二宮清純が直撃した。
二宮: チーム成績(25日現在)を見てみますと、攻撃面ではアタック決定率とバックアタック決定率は5位ですが、アタック決定本数はトップです。こうした成績をどう見ていますか? : もう少し改善の余地はあると思います。昨シーズンから攻撃面での課題ははっきりしていて、菅や深津が言うように、やはり“ゴメス頼り”ということなんです。昨シーズンよりは改善しているとは思いますが、優勝するにはまだまだ足りない。それには僕たちセッターがゴメスにばかりトスを上げるのではなく、逆に彼をおとりにするような組み立てが必要です。そうすれば、他の選手の数字も上がってくるでしょうし、何よりチームの攻撃力がアップすると思います。
JTサンダーズの前身である専売広島のセッター猫田勝敏(故人)といえば、日本バレーボール界の歴史にその名を刻んだ名セッターだ。全日本男子の正セッターとして3大会連続オリンピックに出場。東京大会(1964年)銅メダル、メキシコ大会(68年)銀メダル、そしてミュンヘン大会(72年)で金メダルに輝いた。その大先輩でさえもが成し遂げられなかったのがリーグ優勝である。今シーズンは悲願の初優勝を十分狙える位置にいるJTサンダーズ。そのカギを握るのが3人の若き司令塔、井上俊輔、菅直哉、深津旭弘だ。プレースタイルも性格も三者三様の彼らが理想とするセッター像とは。そして優勝に必要な戦略とは。二宮清純が独占インタビューを敢行した。