二宮寿朗
夜7時から行なわれるシリア戦の前に、メーンのメディアセンターに立ち寄って仕事を済ませる。このメディアセンターは実に快適だ。食事のことは前にも触れたが、コーヒー(エスプレッソ、ラテなど種類豊富)もおいしい。セルフの機械があるのだが、担当の方がいて、つくってくれるという何ともまあ至れりつくせりの状況だ。
異様なムードに包まれていた。 “不可解なPK”でシリアに同点に追いつかれ、完全アウェー状態のスタジアムはシリアへの声援でボルテージが最高潮に達していた。
午後から日本代表の練習を取材。「ドーハの悲劇」の舞台となったアル・アハリスタジアムが、日本代表の練習グラウンドとなっている。当時を知っている先輩ライターも「面影があるな」と感慨深げだった。
もう南アフリカW杯が懐かしく感じる。世界一治安の悪い国でビクビクしながら町を歩いていたのも、今となってはいい思い出だ。 あれから半年、今度やってきましたのはアジアカップのホスト国、中東のカタール。「ドーハの悲劇」でサッカーファンにとっては馴染みの国。私は岡田ジャパンのW杯最終予選でお隣のバーレーンには行ったが、カタールは初めての渡航だ。
ヨルダンの記者が席を立ち上がって頭を抱えていた。 ロスタイムは残り2分。0−1のままタイムアップに刻一刻と近づいていたが、代表戦2戦目の吉田麻也がショートコーナーから高い打点でヘディングシュートを叩きこんだ。