白戸太朗
今では、すっかり国民的スポーツになったマラソン。どんな職場に行っても、市民ランナーがいることが珍しくない時代になった。決して身体に優しいわけでもなく、ゲーム性のもないこのスポーツが日本で広がったきっかけは、やはり「ホノルルマラソン」だろう。
私の5月は忙しい。自社で主催しているトライアスロン大会が1つ。JSPORTSでLive中継担当するサイクルロードレースが、3週間続くジロ・デ・イタリアと、8日間のツアー・オブ・カリフォルニアと2つある。どれも非常に興味深いモノばかりで、これを仕事にできることを幸せに思う。そしてさらに、19日からは国内最大のステージレース(複数日間続くロードレース)であるツアー・オブ・ジャパン(TOJ)も開催される。こちらも会場MCを担当しているものだから、昼夜問わず、国内外あちこちに移動し続けることになる。なんと、楽しくて、なんとハードで落ち着かない1カ月だろうか!?
アベノミクスで景気が向上しているらしいが、スポーツイベント業界は苦戦が続いている。それは、私が関与することが多いマラソンイベントも同様だ。飛躍的に増えた愛好者人口とは裏腹に、各地のイベントは存続をかけて戦っている。
僕は反省していた。弱い自分を情けなく思いながら、叱咤していた。周囲から見ているとただ自転車に乗ってペダルを回しているだけだが、頭の中では自分をなじり、反省しきりだったのである。
2月のある日、日本自転車普及協会にて、「日本人がツール・ド・フランスに勝つためには」という題目の自転車セミナーが開催された。これが5年前なら、「日本人がツール・ド・フランスに出るには」となっていたところだ。それほどここ数年の日本人選手の活躍は目覚ましく、我々の常識を打ち破ってくれているということだろう。そんな少々、上段から構えたセミナーではあったが、その内容は講師が自転車競技の最前線で活躍しているエキップアサダ監督兼代表の浅田顕氏、宇都宮ブリッツェン監督の栗村修氏ということもあり、なかなか興味深いものだった。
冬にしては風のない荒川河川敷。早朝こそ冷え込んでいたが、気持ちのいい天気の日曜日に1万人を超える人が走っている。単純に「1万」というけれど1万人の人が一度に動く景色は壮観! ここ数年、満員御礼の「谷川真理ハーフマラソン」は、今年も大勢の参加者で賑わった。
当HP人気コラム「スポーツ“TRY”アングル」執筆者の白戸太朗氏が、日本の行動科学の第一人者・石田淳氏と共著で新刊を出版しました。プロアスリートの経験と、行動科学のセルフマネジメントが物語るランニングをツールとしたセルフマネジメント本です。ビジネスパーソン必見の内容です!
冷たい冬の雨が降る12月15日、お台場の潮風公園が活気に満ち溢れていた。子供から人生のベテランまで、多くの人が様々なウエアーで走り、応援をしている。この日は「お台場EKIDENフェスティバル」が開催され、参加者たちが雨にも負けず走っていたのだ。その中には見覚えのある顔もちらほら見受けられ、それがまた皆を鼓舞することになった。実はこのイベント、「東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会」が主催し開催されたもので、様々なオリンピック種目のアスリートが参加していたのだ。招致の国内支持率をあげたい委員会が、ムーブメントを盛り上げるべく開催しているというわけだ。
ヨーロッパでプロサイクリストとして活躍する別府史之選手。「ツール・ド・フランス」、「ジロ・デ・イタリア」といった世界の頂点のロードレースで活躍し、間違いなく日本を代表するアスリートの一人である。自転車好きならもちろん、そうでなくてもその顔や、名前を目にしたことがある人も多いだろう。そんな彼がレースに走るときにいつもビーズを身に着けているのをご存じだろうか? “スポーツ”と“ビーズ”。あまり結びつきがないように思える組み合わせだが、そこには彼なりの思いがある。そのビーズは彼の子どもへの思いと、自分自身を高めるためのアイテムでもあるのだ。
「自分の身体がいつまでも自由に動く」と思っているのは、若い間だけ。加齢とともに、いろいろと不具合が出てきて現実を思い知るのは人類皆同じである。何の痛みも、何の制限もなく動けて、食べられることがどんなに幸せかというのは、それを失いかけて、もしくは失ってから気付くものだ。
連休最中の9月16日、普段は家族連れなどで賑わうお台場のビーチがウエットスーツ姿の人で溢れかえっていた、通常は遊泳禁止となっているこのビーチで開催される「東京アクアスロン2012」の参加者たちだ。「アクアスロン」とは、水泳とランニングの複合競技の名称で、これに自転車が加わると3つで「トライ」、そう「トライアスロン」となるわけだ。なので、アクアスロンの参加者もトライアスロン愛好者や、トライアスロン参加の準備段階という方が多い。休日のお台場がその参加者たちのエネルギーに溢れていた。
今年も4年に一度の熱い夏が終わった。僕のようなスポーツジャンキーはもちろんだが、普段はスポーツに興味をもたない人でも、この時ばかりは眠い目をこすって見る機会を設けるのが素晴らしい。どんな作りものより、人間が真剣に取り組む姿、そして人類の頂点を目指す姿に心を奪われるのだろう。これはスポーツでなくともできるものではあるが、やはりスポーツはそれが最も分かりやすい形で見せてくれるものであり、スポーツの持つ力を再認識した夏でもあった。
ヨーロッパで人々を熱狂させるサッカー。この夏も欧州選手権(EURO)で皆が盛り上がった。もちろんオリンピックも盛り上がるが、4年に1度の祭典ならワールドカップの方が、人々を熱狂させるのも事実である。どこまで行ってもヨーロッパにおいては、やはり「サッカー」なのである。そんなヨーロッパにおいても、毎年開催されるスポーツイベントとして、もっとも盛り上がるのは「ツール・ド・フランス」である。3週間もの間、フランスを中心に総距離約4000?を連日走り続けるサイクルロードレースだ。かけている予算も、集まる観客も、他のスポーツイベントと比較すると群を抜いて多く、バカンスシーズンに入ったヨーロッパ中の注目を集める。またヨーロッパだけでなく、約190カ国、100チャンネルを超える放送局で放映されているというから驚きだ。
日本最大規模のトライアスロン大会「アイアンマン70.3 セントレア常滑Japan」が6月24日に開催される。約1700人の参加者が、スイム1.9?、バイク(自転車)90.1?、ラン21.1km に挑むのだ。トップ選手でもフィニッシュタイムは4時間。制限時間8時間の長い戦いで、愛知県常滑市がトライアスロン一色に染まる。
今や世界の常識と言える「都市マラソン」。名だたる都市には必ずマラソン大会がある。ロンドン、ボストン、ニューヨーク(NY)、パリ、ベルリン……数えだしたらきりがない。それは国内でも同様で東京はもちろん、この数年で大阪、神戸、京都と増えてきた。まるで、マラソン開催が、文化的な都市としての証明であるかのようだ。まあ、ランナーとしては嬉しい限りだが。 一方、同じように世界的にも愛好者が多い自転車はそうもいかないようで、都会で大きな自転車イベントが開催されている例はあまりない。知る限りではヨハネスブルグの「Momentum 94.7 Cycle Challenge」とNYの「Five Boro Bike Tour」くらいだ。しかし、どちらも3万人という参加者を集めるビッグイベントで規模の大きさが半端ではない。ランナーでも3万人となると、コントロールが大変なのは東京マラソンを見た方ならお判りだろう。それを自転車でやるわけだから想像もつかない。そのNYの「Five Boro」に今年初参加をできることになり、自転車好きとしてはもちろんだが、イベント関係に携わる者として興味津々で走ってきた。
「とうとうやってしまったか」。私の最初の正直な感想はそんな感じだった。 約20年間向き合い上り詰めた。本当にここまで追求したのだと思うと、この男に対して素直に尊敬するしかない。 彼の名は田中正人。日本で最も経験豊富な数少ないプロのアドベンチャーレーサーである。 1993年からこのスポーツを始め、とうとう今年の2月にチリで開催された「PATAGONIAN EXPEDITION RACE」で2位に入るという快挙を成し遂げたのである。「世界と戦えるレーサーになる」と言い続けて苦節18年。本当に世界のトップレーサーの仲間入りを果たしたのだ。
2月末、私は「東京マラソンEXPO」でのトークショーを前に少々緊張していた。マラソンや自転車界では多くの方とこのような舞台に立ってきたのだから、それほど緊張することはないのだが、今回はちょっと勝手が違ったのだ。この日のお相手は福士加代子選手。彼女にとっては、失速して9位に終わった1月の大阪国際女子マラソン以来、初めての公の場なのだ。どのくらいのトーンで、どの程度の話までしていいのか……。しかし、控室に入ってきた彼女は予想以上に明るい声で「あっ、なんでもOKっすよ。だって隠すことないもん!」とあっけらかん。いつもの福士選手が戻っているのに拍子抜けした。
「シクロクロス」。この名前を聞いてもすぐにイメージできる人は僅かだろう。ツールドフランスに代表されるサイクルロードレース、山の中など不整地を走り回るマウンテンバイク(MTB)。この2つを掛け合わせたサイクルスポーツがシクロクロスということになる。ロードのスピード感とMTBの技術や走破性が必要なスポーツで、国内でも30年以上の歴史を誇る。しかし競技人口は極端に少なく数千人。ロードの100万人超、MTBの数十万人という単位からみるとかなり少ない。まだまだ国内では相当なマイナー競技なのだ。そのシクロクロスが、なんと東京有数の観光地であるお台場のビーチにやって来た!
すっかり日本のお正月の風物詩になった「駅伝」。元日は全日本実業団対抗駅伝を見て、2、3日に箱根駅伝を見たら正月も終わったなぁと、実感するパターンが続いているというのは僕だけではないだろう。中でも箱根駅伝の注目度は特別で、毎年驚くべき視聴率。2日の往路が27.9%、3日の復路が28.5%と、多チャンネル時代において他局が羨む数字で、もちろんお正月番組の中では断トツのトップである。日本テレビの入念な取材もあり、ついつい引き込まれてしまうという人も多いのではないだろうか。
12月11日、今年もホノルルマラソンが、約1万2000人の日本人を含む約2万3000人を集めて開催された。震災の影響もあり、日本人参加者の減少が心配されたのだが、結果的には昨年比10%に満たないダウンに留まり、この大会の根強い人気を印象付けた。
16日、インドネシアのパレンバンで開催された東南アジア競技大会。日本人には縁遠い、普段ならまず報道されない大会だ。しかし、今年はワイドショーにまで登場した。きっと今回初めてこの大会名を聞いた人も多いだろう。その理由はもちろんマラソン種目に出場する「猫ひろし」。オリンピック出場の為に、国籍をカンボジアに変えての出場だ。カンボジアの今季国内記録である2時間31分58秒を目指したが、その記録を上回ることはできなかった。それでも2時間37分39秒の自己記録更新。今大会での代表内定はならなかったが、ライバル選手の今後の結果次第では代表入りの可能性を残し、わずかに望みをつないでいる。
「200万円ですか?」と、さすがの僕も聞き直してしまった。 場所は自転車の展示会、仕事を終えて何気なく会場を歩いていると、目に留まった木製のバイク。マホガニーバイクだ。カーボンやチタンがスポーツバイクの中心というご時世で、木目の綺麗なバイクは明らかに他とは違った魅力を醸し出していた。思わずじっくりと見て、触って……何気なく聞いた値段の答えがそれだったのだ。もちろん高級車であることは理解できるし、100万円前後のバイクはどこのメーカーにでもある。しかし、200万円とは〜。数々のバイクを見てきた私も正直想像できなかった価格だった。
近年、日本人の躍進が目覚ましいサイクルロードレース界。ここでまたひとつ新しい快挙が生まれた。オランダのチーム「スキルシマノ」に所属する土井雪広選手が、日本人として初めてスペイン一周レース「ブエルタ・ア・エスパーニャ」に出場、そして完走を果たしたのである。
トライアスロンを長くやっていると、いろいろと驚かされることが多い。中でもハンディキャップを持つ方のチャレンジが意外にも多く、その姿勢に頭が下がる思いをすることがある。
日本中を元気にしてくれた「なでしこJAPAN」。震災後、いいニュースが少ない日本国内に、本当に嬉しい明るい話題だった。普段はサッカーのことなど語らない、いや興味がない主婦までもが「なでしこ」の言葉を語るのは、いかにこのニュースが皆を惹きつけたかを物語っている。しかし、一部スポーツ関係者の間では「この光景どこかで見たよね……」と心配する声が。そう、北京オリンピック後のソフトボールである。あの時はワイドショーまでもが、ソフトボールを語り、選手の生い立ちや、家族をフィーチャーしていた。しかしあれから3年、いまやソフトボールを見る人、語る人はどれだけいるのだろう……。そして今の女子サッカーは、「まさにあの現象と同じ」と心配する声も一部では上がっている。