歓喜の「ブザー・ビート」

 真紅のジャージのフィフティーンが史上初の快挙に挑む。帝京大学ラグビー部は全国大学選手権4連覇をかけて、13日の決勝を戦う。対するは国立大初の決勝進出を果たした筑波大だ。帝京大躍進の立役者は、監督就任17年目を迎える岩出雅之である。岩出は、高校ラグビーの指導者として、八幡工業高を7度、花園へと導く実績を残すと、1996年に帝京大の監督へ。大学ラグビーでもその手腕をいかんなく発揮、2010年にチームは初の日本一に輝いた。決して強豪校ではなかった帝京大が、いまや名だたる名門校でも成しえなかった金字塔を打ち立てようとしている。そんな名将の指導哲学を、大学選手権初優勝を果たしたばかりの時の原稿で振り返ろう。

第568回 谷亮子、松本薫が学んだ「超一流は目で語る」

 ロンドン五輪が終わった直後のことだ。柔道で男女通じて唯一の金メダルを胸に飾った松本薫(女子57キロ級)の「野獣のような目」が話題になっていた。「もし相手が自分と同じような目をしていたら、どんな気持ちになるでしょう?」。私の問い掛けにニコッと笑った彼女、間髪入れずに答えた。「うれしいです。私と同じ目を持っている人と戦えるのは光栄です」

第522回 プリンス堂林の未来

 イップス(Yips)とは元々、パットの際などに見られる運動障害を指すゴルフ用語である。多分に精神的な要素が大きい、と言われている。  近年では、野球においてもこの言葉がしばしば用いられる。たとえば内野手が悪送球を恐れてスローイングが乱れたとする。 「おい、大丈夫か? イップスにかかってないよな!?」  こんな具合だ。

「鉄の拳」を持つ男 内山高志

 大晦日は、格闘技のビッグイベントが目白押しだ。ボクシングは東西の2会場で、計5つの世界タイトルマッチが行なわれる。中でも注目は、東京・大田区総合体育館で開催されるWBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志の6度目の防衛戦だ。対戦相手は同級暫定王者・ブライアン・バスケス(コスタリカ)。KO率78.9%を誇る内山は、2011年にはWBAのKO賞を獲得するなど、世界が認めるハードパンチャー。今回の王座統一戦でも、無敗の暫定王者相手に、“KOダイナマイト”のパンチが炸裂するか。  プロ19戦無敗を誇る内山の必殺ブローの秘密を、2年前の原稿で解明しよう。

第567回 東北楽天A・ジョーンズ、“巨砲”か“虚砲”か

 今のようにインターネットから情報が溢れている時代ではない。私がMLBに興味を持った1970年代前半、MLBに関する情報収集は専らスポーツ紙や専門誌に頼るしかなかった。  中学生の頃、MLBからやってきた2人のビッグネームに心を躍らせた。ひとりは元太平洋クラブのフランク・ハワード、そしてもうひとりが元ヤクルトのジョー・ペピトーンだ。結論から先に言うと、この2人、とんだ食わせ者だった。

第520回 着実に布石を打つ勝負師の意地 WBC日本代表・山本浩二監督

 来年3月に開催されるWBCで3連覇を目指す野球日本代表監督に就任した山本浩二はスモール・ベースボールを標榜している。 「国際試合では、そう点は取れないだろうから、足をからめて得点したい。やはりピッチャーを中心にした守りの野球になるんじゃないかな」

天才というよりも秀才ジョッキー 武豊

 前人未到の完全制覇まであとひとつ――。数々のJRA記録を塗り替えてきた武豊がまた日本競馬界に金字塔を打ち立てようとしている。11月18日、武はサダムパテック(牡4歳)に騎乗し、マイルチャンピオンシップ初制覇を果たした。2年ぶり通算66勝目のG1勝利は、現行のJRAのG1全22レース中、21レース目の勝ち鞍をあげたことになる。残すタイトルは、朝日杯フューチュリティーステークスのみ。武は16日に開催される同レースにティーハーフ(牡2歳)に乗ることが予想される。  幾多の勝利を重ねてきた武のレースマネジメント能力の一端を、12年前の原稿から紹介しよう。

第564回 ウミンチュの祭りから学ぶ、想定外への対策

 勇壮で知られる糸満ハーレーをテレビで観た。ハーレーとはウミンチュ(漁師)の祭りで、大漁と航海安全を祈願して15世紀か16世紀に始まったと言われている。  数あるレースの中で、とりわけ私が興味を抱いたのがクンヌカセー(転覆競漕)である。ルールがおもしろい。なんとレースの途中でサバニと呼ばれる舟を一斉に転覆させるのだ。底の見えるサバニを一旦海に飛び込んだ漕ぎ手たちが元通りに戻し、再び乗り込んでリスタートするという、まことに不思議なレースである。

中田久美の眼力

 天才セッターが、今度はコートサイドに場所を移し、指揮をふるう。昨日開幕したバレーボールのV・プレミアリーグで注目を集めているのは、久光製薬スプリングスの中田久美監督だ。専任としてはリーグ初の女性指揮官である。新監督に課された任務は、6年ぶりのリーグ優勝、そして次世代の全日本を担うセッターの育成だろう。中田が目をつけたのが、今季加入した狩野舞子だ。ロンドン五輪にも出場したアタッカーにセッター転向を命じたのである。現役時代は鋭い観察力でコート上から様々な情報を得て、ゲームを組み立てた。その視線が今度は若い選手たちに注がれる。  そこで中田の“眼力”とスポーツにおける“視力”の重要性を、12年前の原稿で振り返ろう。

第563回 日本人内野手、MLB成功へのカギ

 野茂英雄、佐々木主浩、イチロー、松井秀喜、長谷川滋利、斎藤隆、岡島秀樹、福留孝介、ダルビッシュ有。以上9選手の名前を見てピーンときた人は相当なメジャーリーグ(MLB)通である。  答えは「オールスターゲームに選出された日本人選手」。9人のうち6人がピッチャーで3人が外野手。内野手と捕手は、まだひとりも選ばれていない。

第562回 26年の時を超え、交わされる「無言の会話」

 巨人の阿部慎之助が日本シリーズMVPに輝いた内海哲也を評して「(バッテリー間で)無言の会話ができる」と語っていた。今は亡き作家の佐瀬稔が「無言の会話」という言葉を好んで使っていた。いい言葉だ。  不意に26年前の日本シリーズを思い出した。8戦までもつれ込んだシリーズは後にも先にも、これだけだ。西武のエースは東尾修、広島の主砲は山本浩二。18・44メートルをはさんで、2人のベテランは思う存分「無言の会話」を楽しんだ。

第515回 オリックス新監督は「地味な実力派」

 地味ながら指導力には定評がある。最下位からの浮上を目指すオリックスにとってはうってつけの人物ではないか。  オリックスの次期監督に森脇浩司監督代行が昇格することになった。監督代行に就任以降の成績が6勝2敗と良かったことも白羽の矢が立った理由のひとつのようだ。

指揮官の強迫観念<後編>

 第2戦、案の定、岩隈は2回3分の1でKOされた。6回表が終了した時点で2対6と4点のビハインド、これを伏兵・水口栄二の3ランで追いつき、8回、タフィ・ローズの決勝3ランでゲームを引っくり返してしまうのだから、やはり“いてまえ打線”はダテではない。

第561回 「世界一の競技場」づくりへ国民的議論を

 唐突に辞職を表明した石原慎太郎都知事が旗振り役となってスタートした東京五輪・パラリンピック招致活動。首都に2020年五輪・パラリンピックがやってくるかどうかは来年9月まで待たなければならない。だが、2019年ラグビーW杯の日本開催は既に決定している。逆算すれば、遅くとも18年度内にはメインスタジアムを完成させていなければならない。

第560回 ドラフト“指名漏れ”から始まるドラマ

 7年前のドラフト会議、高校生の目玉は辻内崇伸(巨人)だった。野手で評価が高かったのは平田良介(中日)、陽仲壽(現岱鋼・北海道日本ハム)、岡田貴弘(T−岡田・オリックス)ら。今季、パ・リーグで首位打者に輝いた角中勝也の名前は、候補選手リストのどこを探しても見当たらない。無理もない。石川の日本航空第二高(現日本航空石川)でプレーしていた角中に甲子園出場経験はなく、誘われていた社会人チーム入りの話も、夏の予選敗退後には立ち消えになった。

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