バルセロナのグアルディオラ監督が退任を発表した。「ああ、やっぱり」というのがわたしの感想である。 先週の本欄でも書いた通り、歯車の一つ、ただし飛び抜けて傑出したメッシが、歯車に収まり切らないスケールに成長したことで、バルセロナのバランスは崩れてしまった。
チェルシーとの欧州CL準決勝に敗れたことで、バルセロナの今シーズンが事実上終わった。数カ月前、「バルサの終わりが始まりつつある」と書いたが、まさかこんなにも早く、こんなにも無残なバルサを見る日が来ようとは――。
ちょっと前、沈没しかけた豪華客船から我先にと逃げ出してしまったイタリア人船長に国際的な批判が集まった事件があった。本人は弁明に努めることしきりだったが、見捨てられた形になった乗客やスタッフの怒りが収まるはずもない。いずれは法廷での裁きを受けることになろう。 ただ、幸いなことに、最高責任者たる船長が姿を消してしまったにもかかわらず、無事に脱出することができた乗客がいたのは、船の構造を熟知する残ったスタッフが見事に船長の穴を埋めたからでもある。
そもそも、日本においてサッカーが長くマイナー・スポーツに甘んじてきた理由のひとつに「サッカーは点が入らない。だから面白くない」という偏見があった。だからこそ、初期のJリーグは、確実にボールがゴールネットを揺らすシーンを提供できる、PK戦での決着を導入していたのだろうとわたしは認識している。 幸い、サッカーという競技が染みていくに連れ、リーグ戦に於ける決着の手段としては明らかな邪道であるPK戦はその役割を終えていった。サッカーには、点が入らなくても楽しい試合がある――そのことを多くの日本人が理解したということなのだろう。
サッカーの勝ち方には、大雑把にいって2つの種類がある。勝ちに来ている相手に対する勝利と、負けまいとしてくる相手に対する勝利、である。どちらの勝ちも簡単につかめるものではないが、より難易度が高いのは後者である。
桜の開花宣言が東日本に届くより早く、Jリーグでは2人の監督が更迭された。開幕からまだ1カ月も経っていないことを考えると、異例の早さだと言っていい。 発足当時のJリーグは、欧米に比べると監督に対するプレッシャーの少ないリーグだった。マスコミが公然と批判をすることはほとんどなく、ファンの中にも“監督批判=タブー”的な空気があった。親会社から出向してきただけのフロントには、監督の善し悪しを判断する基準もなかった。シーズンを全うする監督の割合は、間違いなく欧米よりも高かったように思う。
中国2部リーグの深圳紅鉆で監督をやっているトルシエが、キャンプのため久しぶりに沖縄へやってきた。率いているチームの状況はあまり芳しいものではないようだが、中国での生活は大いに楽しんでいるという。
まずはロンドンへの出場権を獲得した選手、スタッフに祝福の言葉を贈ろう。シリアは本当に強かった。バーレーンには危険なカウンターがあり、マレーシアもここ最近では最も魅力的なアタッカーを揃えていた。今回の予選は、勝ち抜くことによって世界で戦う自信を獲得することができるレベルにあった。おそらく、選手たちの顔つきは、予選が始まる前とは確実にどこかが違ってきているはずである。
今週末に開幕するJ1はもちろんだが、今年はJ2が空前の盛り上がりを見せることになるはずだ。 ご存知の方も多いだろうが、今年から原則、J1は土曜日、J2は日曜日に開催されることになった。これにより、日曜日のニュース、月曜日の新聞で、従来とは比較にならないほどのボリュームでJ2が取り上げられることになる。間違いなく、日本のスポーツ界の中ではNo.1の、世界でも屈指の「メジャーな2部リーグ」となるかもしれない。
決勝点の場面、3人でカウンターを開始したウズベキスタンに対し、日本は4人の選手を自陣に残していた。だが、ボールがペナルティエリアに進入しようかという段階で、ウズベキスタンは2人増えて5人になっていたが、日本は4人のままだった。数的不利を引っくり返すため エネルギーを振り絞ったウズベキスタンと、それを傍観してしまった日本。0−1というスコアは、妥当なものだといわざるをえない。
ブルガリア・リーグのスラビア・ソフィアに、シンガポール・リーグでプレーしていた日本人選手、秋吉泰佑の入団が決まった。契約は2年半。G大阪やC大阪からのオファーを断った上での入団だったという。ブルガリア・リーグでプレーする初めての日本人選手となる秋吉には、ぜひとも頑張ってもらいたいと思う。
どれほど偉大なタレントを揃え、優秀なコーチングスタッフに支えられたチームであっても、避けて通ることのできない道がある。 不調という名の茨道である。 好調時と同じように練習し、コンディションを保っていても、なぜか結果が、内容が伴わなくなってしまう。表面上は何一つ変わったところはないのに、試合になると違ったチームになってしまう。なぜそうなるのか。そのメカニズムを解明した者はいない。
「この敗北を、ゆえにわたしは感謝する」と書いた五輪予選シリア戦のコラムについて、あちこちで「意外だった」と声をかけられた。どうやら、猛烈に激怒している原稿を期待されてしまっていたらしい。 確かに、日本の試合内容は相当にお粗末だった。専門誌風に採点をつけるとしたら、ほとんどの選手が最低か、それに準ずる点数になってしまっていたことだろう。合格点どころか、及第点をつけられる選手さえいなかった。「なんてナイーブな選手ばかりなんだろう」というのが、シリア戦から受けた率直な感想である。これがA代表の試合であれば、怒りを通り越して失笑してしまっていたかもしれない。
松田直樹さんにとって最後のクラブとなった松本山雅が、長野県のチームとしては初めてJ2に昇格した。チームカラーのグリーンで埋めつくされるスタジアムの雰囲気には独特のものがあり、新シーズンのJ2に新たな彩りを加えてくれることは確実である。
昨日は「久しぶりにテニスを見た!」という方も多かったことだろう。どこの国でもそうだろうが、とかく日本人は海外で自国民が活躍するニュースに弱い。 スポーツ選手の躍進は、日本人としてのプライドを大いにくすぐってくれるものらしい。おそらくは各方面から「感動した」といったコメントが出てくるだろうが、そろそろ結果を消費するだけでなく、生み出すために何かをしようという機運は出てこないものか。感動するだけして、あとはポイ捨て。そういう扱われ方をしてきたスポーツが、この国はあまりにも多すぎる。
今季のJリーグは後に「歴史的ターニングポイント」として記憶されるシーズンになるかもしれない。 まず注目したいのは、今年から導入されるクラブライセンス制度である。一時は凋落の一途をたどっていたブンデスリーガがギリギリのところで踏みとどまり、やがて再上昇のカーブを描くことができたのは、厳密なライセンス制度によって健全な財政状態が保たれていたからでもある。
日本人以外のノーベル賞受賞者について知っている日本人は、いったいどれだけいるだろう。だが、サッカーの世界最優秀選手であれば、かなりの数の日本人が知っている。これは、日本人に限ったことではない。世界中ほぼすべての地域で、リオネル・メッシの名前を知っている人は存在しているはずだ。 沢穂希が受賞したのは、そんな賞なのである。
96年のアトランタ五輪以降、日本サッカー界はほぼ毎年のように世界への挑戦を続けてきた。世界大会への出場は悲願ではなく常識となり、出場するだけで満足していた日本人は、世界大会での勝利を期待するようにもなった。 だが、いまだかつてこんな年はなかった。今年、日本サッカーが期待されるのは世界への挑戦、ではない。世界一への挑戦、である。
高さはおよそ300メートルほどの円錐形。頂点部分は病院になり、ホテル、スポーツクラブ、商業施設などが上層部には収まる。もちろん、下層部に位置するスタジアム部分も、エアコンが完備――。前回も書いたが、ドイツの建設会社で見せてもらった、カタールに造られる予定の最新型複合スタジアムの外観と概要は、言葉を失うほどに未来的だった。完成した暁には、サッカースタジアムとしてだけでなく、建築物としての魅力で世界中の観光客を呼び寄せることになろう。
沖縄にサッカー専用競技場を造るための調査検討委員会が設立され、わたしも、そのメンバーに選ばれた。いいものを造るためには、まずいいものを見る必要がある。そのため、後ろ髪を引かれつつもクラブW杯に背を向け、沖縄の関係者と駆け足で欧州を回ってきた。 正直、衝撃を受けている。
自分が点を取らないで1−0で勝つより、ハットトリックをして3−4で負ける方がいい――そう断言できる性格だったからこそ、釜本邦茂はゴールを量産することができた。ストライカーと呼ばれる人種にとって、ゴールとは生きがいであり原動力である。逆に言えば、ゴールから遠ざかってしまったストライカーは、他のポジションの選手がまず味わうことのない、追い詰められた精神状態に置かれることになる。
場所は、サンパウロからクルマで3時間ほど走ったところにある小洒落たワインバーだった。最初の質問に対する答えを聞いて、「このインタビューはダメだ」と思った。
運命の最終節が迫ってきた。J1では優勝をかけた三つ巴の戦いが、何の因果かすべてアウェーゲームで行われ、J2では昇格残り1枠をかけ、同勝ち点で並ぶ札幌と徳島が最後の力を振り絞る。待ち受けているのは歓喜か、それとも絶望か。ファンにとっては忘れえぬ週末となることだろう。 勝つのは、どこか。
バーレーンは野蛮だった。彼らは山田の顔面を踏みつけたプレーを故意ではなかったと強弁するかもしれないが、避けようとする気配がまるでなかったのも事実である。頭を踏むという行為は、格闘家であっても躊躇することがあるというのに、である。退場を宣告したイラン人主審の判断は、まったくもって妥当だった。
11月15日は横田めぐみさんが拉致されたとされる日でもあった。そんな日に、日本と北朝鮮がサッカーで対決する。決して少なくはない日本人サポーターが、北朝鮮に入国する。横田さんご夫妻はさぞ複雑な心境だったのではないか、と思う。 にもかかわらず、横田滋さんは「スポーツと政治は別物」と言い切られた。サッカーに携わる人間の一人として、まずそのことに深謝したい。