僕の周りで、にわかにパラリンピックが盛り上がっている。その理由としてあげられるのは、まずはなんと言っても東京での開催決定が大きい。これに伴い、選手、関係者はもとより、一般の方々もオリンピックはもちろん、パラリンピックも意識するようになってきている。やはり目標があると、人は変わることができるのだということをあらためて認識させられる。もう一つは、トライアスロンが2016年のリオデジャネイロ大会から、パラリンピックの正式種目となることが決まっていること。他種目のパラリンピックアスリートや、それまでは趣味で取り組んできたハンディキャップを持つトライアスリートのモチベーションや動向が明らかに変化してきた。こうしたエネルギーを感じることができるのは、トライアスロン業界に身を置くものとして嬉しい限りだ。
近頃は、国内はどこもマラソン人気。大会も参加者も相当数増加し、いずれも盛況だ。データによると2006年から12年の6年間でランナー人口は400万人増加し、1000万人を超えているという(笹川スポーツ財団発表)。アメリカにおいても同様の傾向が見られ、00年には800万人程度だったのが、12年では1500万人を超えたと言われている(Running USA発表)。つまり、少なくとも日本国内においては10人に1人程度は走っているわけで、乳幼児や、高齢者を除くと、その割合はかなり高いことがわかる。確かにどこに行っても、走っている人に会わないことはないというくらいだ。
「英語が話せなくて買い物に不自由した」 このようなことは海外旅行などでは珍しくない経験だが、日本国内でもこんな経験ができる場所、いや、してしまう場所がある。噂には聞いていたが、実際に行ってみると驚くべき外国人率の高さ。道行く人はもちろん、英語のみの看板、建築物の雰囲気……まるで海外に来ている錯覚に陥るほどだ。そう、ここ「Niseko」(北海道倶知安町、ニセコ町)はオーストラリア人を中心とした外国人の一大リゾート地と化している。
「東京の2月と言えばマラソン!」。来月で8回目を迎え、すっかり都市マラソンの顔になった東京マラソン。間違いなく国内で最も有名で、最も多くのスポンサーが集まるマラソンレースである。そしてなにより、この大会のおかげで、日本でも各都市の中心部でマラソンが開催されるようになったといっても過言ではない。それまで人様の邪魔にならぬよう、人口の少ない地域、交通に支障が出ない地域で開催されていたマラソンが、一般市民参加レースでさえ都市部に進出するようになった。東京マラソンは、日本マラソン界の歴史を変える大きな一歩となったといえるだろう。
12月9日、第41回ホノルルマラソンが開催された。参加者総数は3万1000人。そのうち日本人の参加者は1万4000人。つまり、半数近くを日本人が占めたことになる。ホノルルマラソンは、日本人にとっては入門編の象徴でもあり、日本国内のランニング人口増加に大きく貢献している。
走りながら、こみ上げてくるものを抑えられなかった。胸が熱くなり、涙が出てくる。サングラスをしていなかったらカッコ悪い面をさらけ出すところだった。青い空と、蒼く静かな海。優しい笑顔の応援者たち。11月3日、「ツールド東北」を走りながら、そんな感情に襲われた参加者は僕だけではなかったはずだ。
「アイアンマン」。そのまま訳すと「鉄人」である。そう、日本にトライアスロンが広まった当時、この言葉が先行してしまい、「トライアスロン=鉄人」と表現されることが多くなった。ただ、本来この「アイアンマン」というのは、トライアスロンにおけるひとつのシリーズの名称であり、総称ではない。例えていうなら、車のレースは「モータースポーツ」とか「カーレース」というのが表現として正しいのだが、その総称を「フォーミュラー1」と言っているようなものである。本来はカテゴリーの1つに過ぎないのに、そのインパクトが強過ぎて、総称を超えて一般的に認知されているという感じだろうか。
9月8日、記念すべき東京オリンピック・パラリンピック開催が決定した。早朝から起きて、この瞬間をLiveで見ていた方も多かったのではないだろうか。正直、決定に対する反応の早さと大きさは、東京オリンピックに対する国民の期待の大きさ、注目度の高さを示すものではなかったかと思う。まあ、国民気質として決まったもの、大勢が注目するものに対して興味を示すというのはいつものことではあるが……。いずれにしても、多くの人々がオリンピック開催に関して興味を持ってくれるということは嬉しいことだ。
「ロードレース」はなぜ「ロードレース」と言うのか? それはもちろん「ロード=道」で行うからである。普段、一般市民が行きかう道を、その日だけは自転車やランナーがコースとして使うのだ。一方、本来の道ではない公園や、港などのクローズド・スペースで開催されているレースは、本当の意味での「ロードレース」ではないのかもしれない。
「世界最大のサイクルロードレース」というキャッチフレーズで盛り上がっているツール・ド・フランス(TDF)。日本国内でも毎晩数十万人がLive中継に盛り上がるという。サイクルスポーツがまだそれほど一般化していない日本国内でもその名前は知れ渡るようになってきた。それも意外に自転車、いや、スポーツに縁のないような女性が見ている例が多く、意外な組み合わせに驚かされることが多い。なぜこのレースはそれほどに人を魅了するのか。また星の数ほどあるサイクルロードレースの中で突出した存在なのか。
今では、すっかり国民的スポーツになったマラソン。どんな職場に行っても、市民ランナーがいることが珍しくない時代になった。決して身体に優しいわけでもなく、ゲーム性のもないこのスポーツが日本で広がったきっかけは、やはり「ホノルルマラソン」だろう。
私の5月は忙しい。自社で主催しているトライアスロン大会が1つ。JSPORTSでLive中継担当するサイクルロードレースが、3週間続くジロ・デ・イタリアと、8日間のツアー・オブ・カリフォルニアと2つある。どれも非常に興味深いモノばかりで、これを仕事にできることを幸せに思う。そしてさらに、19日からは国内最大のステージレース(複数日間続くロードレース)であるツアー・オブ・ジャパン(TOJ)も開催される。こちらも会場MCを担当しているものだから、昼夜問わず、国内外あちこちに移動し続けることになる。なんと、楽しくて、なんとハードで落ち着かない1カ月だろうか!?
アベノミクスで景気が向上しているらしいが、スポーツイベント業界は苦戦が続いている。それは、私が関与することが多いマラソンイベントも同様だ。飛躍的に増えた愛好者人口とは裏腹に、各地のイベントは存続をかけて戦っている。
僕は反省していた。弱い自分を情けなく思いながら、叱咤していた。周囲から見ているとただ自転車に乗ってペダルを回しているだけだが、頭の中では自分をなじり、反省しきりだったのである。
2月のある日、日本自転車普及協会にて、「日本人がツール・ド・フランスに勝つためには」という題目の自転車セミナーが開催された。これが5年前なら、「日本人がツール・ド・フランスに出るには」となっていたところだ。それほどここ数年の日本人選手の活躍は目覚ましく、我々の常識を打ち破ってくれているということだろう。そんな少々、上段から構えたセミナーではあったが、その内容は講師が自転車競技の最前線で活躍しているエキップアサダ監督兼代表の浅田顕氏、宇都宮ブリッツェン監督の栗村修氏ということもあり、なかなか興味深いものだった。
冬にしては風のない荒川河川敷。早朝こそ冷え込んでいたが、気持ちのいい天気の日曜日に1万人を超える人が走っている。単純に「1万」というけれど1万人の人が一度に動く景色は壮観! ここ数年、満員御礼の「谷川真理ハーフマラソン」は、今年も大勢の参加者で賑わった。
冷たい冬の雨が降る12月15日、お台場の潮風公園が活気に満ち溢れていた。子供から人生のベテランまで、多くの人が様々なウエアーで走り、応援をしている。この日は「お台場EKIDENフェスティバル」が開催され、参加者たちが雨にも負けず走っていたのだ。その中には見覚えのある顔もちらほら見受けられ、それがまた皆を鼓舞することになった。実はこのイベント、「東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会」が主催し開催されたもので、様々なオリンピック種目のアスリートが参加していたのだ。招致の国内支持率をあげたい委員会が、ムーブメントを盛り上げるべく開催しているというわけだ。
ヨーロッパでプロサイクリストとして活躍する別府史之選手。「ツール・ド・フランス」、「ジロ・デ・イタリア」といった世界の頂点のロードレースで活躍し、間違いなく日本を代表するアスリートの一人である。自転車好きならもちろん、そうでなくてもその顔や、名前を目にしたことがある人も多いだろう。そんな彼がレースに走るときにいつもビーズを身に着けているのをご存じだろうか? “スポーツ”と“ビーズ”。あまり結びつきがないように思える組み合わせだが、そこには彼なりの思いがある。そのビーズは彼の子どもへの思いと、自分自身を高めるためのアイテムでもあるのだ。
「自分の身体がいつまでも自由に動く」と思っているのは、若い間だけ。加齢とともに、いろいろと不具合が出てきて現実を思い知るのは人類皆同じである。何の痛みも、何の制限もなく動けて、食べられることがどんなに幸せかというのは、それを失いかけて、もしくは失ってから気付くものだ。
連休最中の9月16日、普段は家族連れなどで賑わうお台場のビーチがウエットスーツ姿の人で溢れかえっていた、通常は遊泳禁止となっているこのビーチで開催される「東京アクアスロン2012」の参加者たちだ。「アクアスロン」とは、水泳とランニングの複合競技の名称で、これに自転車が加わると3つで「トライ」、そう「トライアスロン」となるわけだ。なので、アクアスロンの参加者もトライアスロン愛好者や、トライアスロン参加の準備段階という方が多い。休日のお台場がその参加者たちのエネルギーに溢れていた。
今年も4年に一度の熱い夏が終わった。僕のようなスポーツジャンキーはもちろんだが、普段はスポーツに興味をもたない人でも、この時ばかりは眠い目をこすって見る機会を設けるのが素晴らしい。どんな作りものより、人間が真剣に取り組む姿、そして人類の頂点を目指す姿に心を奪われるのだろう。これはスポーツでなくともできるものではあるが、やはりスポーツはそれが最も分かりやすい形で見せてくれるものであり、スポーツの持つ力を再認識した夏でもあった。
ヨーロッパで人々を熱狂させるサッカー。この夏も欧州選手権(EURO)で皆が盛り上がった。もちろんオリンピックも盛り上がるが、4年に1度の祭典ならワールドカップの方が、人々を熱狂させるのも事実である。どこまで行ってもヨーロッパにおいては、やはり「サッカー」なのである。そんなヨーロッパにおいても、毎年開催されるスポーツイベントとして、もっとも盛り上がるのは「ツール・ド・フランス」である。3週間もの間、フランスを中心に総距離約4000?を連日走り続けるサイクルロードレースだ。かけている予算も、集まる観客も、他のスポーツイベントと比較すると群を抜いて多く、バカンスシーズンに入ったヨーロッパ中の注目を集める。またヨーロッパだけでなく、約190カ国、100チャンネルを超える放送局で放映されているというから驚きだ。
日本最大規模のトライアスロン大会「アイアンマン70.3 セントレア常滑Japan」が6月24日に開催される。約1700人の参加者が、スイム1.9?、バイク(自転車)90.1?、ラン21.1km に挑むのだ。トップ選手でもフィニッシュタイムは4時間。制限時間8時間の長い戦いで、愛知県常滑市がトライアスロン一色に染まる。
今や世界の常識と言える「都市マラソン」。名だたる都市には必ずマラソン大会がある。ロンドン、ボストン、ニューヨーク(NY)、パリ、ベルリン……数えだしたらきりがない。それは国内でも同様で東京はもちろん、この数年で大阪、神戸、京都と増えてきた。まるで、マラソン開催が、文化的な都市としての証明であるかのようだ。まあ、ランナーとしては嬉しい限りだが。 一方、同じように世界的にも愛好者が多い自転車はそうもいかないようで、都会で大きな自転車イベントが開催されている例はあまりない。知る限りではヨハネスブルグの「Momentum 94.7 Cycle Challenge」とNYの「Five Boro Bike Tour」くらいだ。しかし、どちらも3万人という参加者を集めるビッグイベントで規模の大きさが半端ではない。ランナーでも3万人となると、コントロールが大変なのは東京マラソンを見た方ならお判りだろう。それを自転車でやるわけだから想像もつかない。そのNYの「Five Boro」に今年初参加をできることになり、自転車好きとしてはもちろんだが、イベント関係に携わる者として興味津々で走ってきた。
「とうとうやってしまったか」。私の最初の正直な感想はそんな感じだった。 約20年間向き合い上り詰めた。本当にここまで追求したのだと思うと、この男に対して素直に尊敬するしかない。 彼の名は田中正人。日本で最も経験豊富な数少ないプロのアドベンチャーレーサーである。 1993年からこのスポーツを始め、とうとう今年の2月にチリで開催された「PATAGONIAN EXPEDITION RACE」で2位に入るという快挙を成し遂げたのである。「世界と戦えるレーサーになる」と言い続けて苦節18年。本当に世界のトップレーサーの仲間入りを果たしたのだ。