白戸太朗

第125回「ビーチでシクロクロス!?」

「シクロクロス」。この名前を聞いてもすぐにイメージできる人は僅かだろう。ツールドフランスに代表されるサイクルロードレース、山の中など不整地を走り回るマウンテンバイク(MTB)。この2つを掛け合わせたサイクルスポーツがシクロクロスということになる。ロードのスピード感とMTBの技術や走破性が必要なスポーツで、国内でも30年以上の歴史を誇る。しかし競技人口は極端に少なく数千人。ロードの100万人超、MTBの数十万人という単位からみるとかなり少ない。まだまだ国内では相当なマイナー競技なのだ。そのシクロクロスが、なんと東京有数の観光地であるお台場のビーチにやって来た!

第124回「箱根駅伝はなぜ倒れこむ?」

 すっかり日本のお正月の風物詩になった「駅伝」。元日は全日本実業団対抗駅伝を見て、2、3日に箱根駅伝を見たら正月も終わったなぁと、実感するパターンが続いているというのは僕だけではないだろう。中でも箱根駅伝の注目度は特別で、毎年驚くべき視聴率。2日の往路が27.9%、3日の復路が28.5%と、多チャンネル時代において他局が羨む数字で、もちろんお正月番組の中では断トツのトップである。日本テレビの入念な取材もあり、ついつい引き込まれてしまうという人も多いのではないだろうか。

第123回「向かい風のホノルルマラソンの可能性」 

 12月11日、今年もホノルルマラソンが、約1万2000人の日本人を含む約2万3000人を集めて開催された。震災の影響もあり、日本人参加者の減少が心配されたのだが、結果的には昨年比10%に満たないダウンに留まり、この大会の根強い人気を印象付けた。

第122回「猫ひろしの挑戦は売名行為か?」

 16日、インドネシアのパレンバンで開催された東南アジア競技大会。日本人には縁遠い、普段ならまず報道されない大会だ。しかし、今年はワイドショーにまで登場した。きっと今回初めてこの大会名を聞いた人も多いだろう。その理由はもちろんマラソン種目に出場する「猫ひろし」。オリンピック出場の為に、国籍をカンボジアに変えての出場だ。カンボジアの今季国内記録である2時間31分58秒を目指したが、その記録を上回ることはできなかった。それでも2時間37分39秒の自己記録更新。今大会での代表内定はならなかったが、ライバル選手の今後の結果次第では代表入りの可能性を残し、わずかに望みをつないでいる。

第121回「走る“芸術品”マホガニーバイク」

「200万円ですか?」と、さすがの僕も聞き直してしまった。  場所は自転車の展示会、仕事を終えて何気なく会場を歩いていると、目に留まった木製のバイク。マホガニーバイクだ。カーボンやチタンがスポーツバイクの中心というご時世で、木目の綺麗なバイクは明らかに他とは違った魅力を醸し出していた。思わずじっくりと見て、触って……何気なく聞いた値段の答えがそれだったのだ。もちろん高級車であることは理解できるし、100万円前後のバイクはどこのメーカーにでもある。しかし、200万円とは〜。数々のバイクを見てきた私も正直想像できなかった価格だった。

第120回「土井雪広が切り開く道」

 近年、日本人の躍進が目覚ましいサイクルロードレース界。ここでまたひとつ新しい快挙が生まれた。オランダのチーム「スキルシマノ」に所属する土井雪広選手が、日本人として初めてスペイン一周レース「ブエルタ・ア・エスパーニャ」に出場、そして完走を果たしたのである。

第118回「なでしこはブーム!?」

 日本中を元気にしてくれた「なでしこJAPAN」。震災後、いいニュースが少ない日本国内に、本当に嬉しい明るい話題だった。普段はサッカーのことなど語らない、いや興味がない主婦までもが「なでしこ」の言葉を語るのは、いかにこのニュースが皆を惹きつけたかを物語っている。しかし、一部スポーツ関係者の間では「この光景どこかで見たよね……」と心配する声が。そう、北京オリンピック後のソフトボールである。あの時はワイドショーまでもが、ソフトボールを語り、選手の生い立ちや、家族をフィーチャーしていた。しかしあれから3年、いまやソフトボールを見る人、語る人はどれだけいるのだろう……。そして今の女子サッカーは、「まさにあの現象と同じ」と心配する声も一部では上がっている。

第117回「古田敦也の挑戦」

 あの古田敦也がトライアスロンにはまっている。  ゴールデングラブ賞10回、ベストナイン9回。「ミスタースワローズ」と呼ばれた球界を代表するインテリジェンスな彼が体力の限界に挑戦しているのだ。瞬発力とスキルを必要とされる野球、持久力とタフな精神力を要求されるトライアスロン。同じスポーツでも真逆に位置するスポーツをまたぐのは珍しい。

第116回「悲しみを越えて」

 イタリアを1周する自転車レース「ジロ・デ・イタリア」。フランス1周の「ツール・ド・フランス」、スペイン1周の「ブエルタ・ア・エスパーニャ」と並んで「グランツール」と呼ばれる世界の三大ステージレースだ。100年以上の歴史を誇る世界的なレースで、5月9日の第3ステージで悲しい事故が起こった。タイトなコーナーを下っている最中に、ワウテル・ウェイラント(ベルギー)選手が転倒、前頭部を強打し、還らぬ人となったのだ。ジロ102年の歴史上では4人目、グランツールでみるならば1995年のファビオ・カサルテッリ(イタリア)選手以来のレース中の死亡事故ということになる。

第114回「スポーツはなにをすべきか?」

 3月11日に起きた東日本大地震における被害の大きさは計り知れない。この原稿を書いている被災4日目の14日においても被害状況がめまぐるしく変わっているありさまだ。大地震や大津波は以前から恐れられていたが、我々の技術や研究の積み重ねで克服したつもりになっていたのかもしれない……。あらためて自然の力の恐ろしさを知らされる。

第113回「自転車はどこを走るのか」

 来たる3月12日(土)に都内最大のサイクリングイベント「Tokyo センチュリーライド葛西2011」が開催される。そのプレイベントとして、江戸川区で「自転車+健康+環境」というシンポジウムが2月5日に行われた。「せっかく自転車イベントやるなら、この機会に自転車と社会との共存を考える機会を持ちたい」という主催者の思いで開催。本大会の監修を務める私がパネリスト兼進行役だったのだが、このイベントはいろいろと考えさせられる絶好の機会となった。

第112回「長谷川理恵の挑戦!」

 ランニング女子のロールモデルといえば長谷川理恵。モデルとしての活動の傍らフルマラソンを3時間15分で走ってしまう格好の良さは、走る女性たちの憧れであり、スポーツ芸能人の象徴でもある。その彼女が今年掲げた目標はホノルルトライアスロン。スイム1500m、自転車40km、ランニング10kmを走り抜けるオリンピックディスタンスのトライアスロンだ。

第111回「全員が主役のホノルルマラソン」

 国内のマラソンブームが続く中、元祖「初心者参加型マラソン」であるホノルルマラソンが今年も12月12日に好天の中で開催され、2万3千人の参加者で盛り上がった。私もいつものようにJALPAKツアーのコーチとして、ツアー参加者のお手伝いをしに行ってきた。いろんな方がいらっしゃるのだが、驚くべきは昨年89歳で参加された後藤さん。今年も90歳で参加し、見事に9時間台で完走された。

第110回「ロタブルーの裏側に」

 グアムとサイパンの間にある小さな島「ロタ」。名前は知られていても、行ったことのある人が意外に少ない島だ。そのマリアナ諸島の小島で、17年間も日本人の手によってトライアスロンが開催されている。一部のファンには圧倒的な人気を誇るロタトライアスロンだが、なぜここでトライアスロンなのか、なぜ日本人なのか。初めて聞いた人は誰しも不思議に思う。そのカギを握るのは大西喜代一氏。この人こそがこの地にトライアスロンを伝えた伝道師なのである。

第109回「人が生み出すアイアンマン」

 9月19日、愛知県常滑市。人口5万人の街に日本で初めて「アイアンマン70.3」がやってきた。世界で40戦を越える「アイアンマン70.3シリーズ」が、ようやく日本で開催された記念すべき日である。しかし、開催するまでの道は平らではなく、いろんな人のつながりと幸運が重なり、この短期間で出来たのは奇跡に近いのかもしれない。

第108回「ランス・アームストロングはどこに行くのか?」

 近年、国内でも広がりをみせるサイクルスポーツ。ここ10年ですっかり定着してきた感もあるが、その頂点に位置するのが毎夏フランスで開催されている「ツール・ド・フランス」。そのツールのヒーローとして君臨していたのがランス・アームストロングだ。1999年に優勝し、その後2005年まで前人未到の7連覇を達成した男である。

第107回 「ラフティング世界選手権優勝!」

「ラフティング」というスポーツをご存じだろうか? アウトドア好きな方なら見たことや体験したことがあるだろう。名前からして荒っぽい感じだが、ゴムボートで川を下り自然を全身で感じる事が出来るスポーツだ。このラフティングの世界でも日本人が頑張っており、先日オランダで開催された「2010ラフティング世界選手権」で初の世界チャンピオンに輝いた。

第106回「ツール・ド・フランスの夏」

 世界でもっとも大きなスポーツイベントは? 答えは先日まで大熱戦が繰り返されたサッカーワールドカップ。サッカーを普段見ないような人まで、ついつい試合を見てしまうほど不思議な魅力がある。約1カ月間、世界中の人々が酔いしれた。しかし、この祭典は4年に1度。毎年開催されるイベントの中で最大なのは、何といってもサイクルロードレースの頂点であるツール・ド・フランスだ。まだまだ日本ではメジャースポーツではないサイクルロードレースだが、ヨーロッパではサッカー、モータースポーツに続く人気競技。ツール期間中、毎日10億人が現場やTVでレースに釘付けとなる。

第105回「ニューヨークの懐」

 ニューヨーク(NY)には無数に参加型スポーツイベントがあるのだが、その内容や大きさは様々。参加者4万人を超えるNYマラソンは世界最大規模だし、「Five Boro Bike Tour」という自転車イベントも3万人を超える。近年では「NY Triathlon」がすごい人気で、約3000人の枠が5時間でいっぱいになるとか。またエンパイア・ステート・ビルを駆けのぼるようなちょっと変わった大会もある。その中で参加者100人にも満たないのに、やたらとスケールの大きなイベントが「Manhattan Island Marathon swim」。そう、あのマンハッタン島を泳いで1周しようというものだ。

第104回「アレッ 新城幸也!」

 イタリアを1周する自転車レース「ジロ・デ・イタリア」。この世界的なレースに8年ぶりに日本人が出場、そして大活躍し注目を集めている。その名も「新城幸也」。何度か、このコラムでも取り上げた事があるのでご存知の方もいるだろう。その彼が自転車レースの頂点であるジロでステージ3位に入るなど目覚ましい活躍を見せているのだ。

第103回「日本チーム好発進!」

 シーズンが始まったばかりのトライアスロン。しかし、このところ幸先のいいニュースが飛び交っている。  まず3月20日(土)、メキシコ・マザトランで開催されたITUパンアメリカンカップで高木美里(愛知県協会)が優勝、2位には上田藍(グリーンタワー・稲毛インター)が入り、日本人ワンツーの快挙。さらに翌週、オーストラリア・ムールラバで開催されたITUワールドカップ(WC)第1戦で、 崎本智子(日本食研)が2位に入る健闘。庭田清美(アシックス・ザバス)も7位に入った。 そして4月11日の世界選手権シリーズ(WCS)シドニー大会では足立真梨子(トーシンパートナーズ・チームケンズ)が4位に入る大健闘。好調の崎本智子も13位に入った。

第102回「東京マラソン成功の陰で」

 2月28日、雨からみぞれ混じりという悪天候の中で、第4回東京マラソンが開催され、3万人を超えるランナーが都内を駆け抜けた。私はランナーとして参加する幸運に恵まれ、多くの観客に励まされながら走ったが、東京という街、そして人々の温かさを感じさせてくれた素晴らしい大会だった。確実に年々問題点が解決されているのを実感し、日本でも有数のスポーツイベントになったと言ってもいいだろう。今後も新しい参加型スポーツイベントの形を構築していく絶好のロールモデルになり得ると思われるし、大いに期待したい。が、ちょっと気になるトラブルが、私の知りうるところであったようで……。

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