第520回 東尾から北別府へ「インスラ」の系譜

 野球殿堂入りを果たした213勝投手・北別府学(元広島)の後年の最大の武器は「インスラ」だった。右バッターのインコースへのスライダー。バッターが腰を引いた時点で勝負ありだった。江川卓や小松辰雄のような空振りをとれるスピードボールを持たない北別府にとって、この「インスラ」の精度こそはピッチングの生命線だった。

杉原輝雄、不屈の勝負魂

 昨年12月28日、“マムシ”の異名をとったプロゴルファーの杉原輝雄が前立腺ガンのため、死去した。74歳だった。プロ通算63勝を誇る杉原の体に、ガンが発見されたのは97年。しかし、杉原は諦めなかった。ゴルフへの影響を考慮し、手術はせず、ホルモン投与で病と闘った。加えて、過酷な筋力トレーニングで体を鍛え上げた。その結果、06年つるやオープンで最年長予選通過世界記録(68歳10カ月)を樹立、10年には中日クラウンズに参戦し、同一大会51年連続出場の世界記録を更新した。その偉業を称え、日本プロゴルフ殿堂入りも検討されているという。  病魔と闘い続けた“マムシ”の勝負根性を、06年の原稿で振り返ろう。

第519回 今こそJクラブへの「なでしこ」保有義務付けを

 名言が飛び出したのは北京五輪3位決定戦前のミーティングの場だった。つまり2008年夏のことだ。銅メダルをかけた試合への思いを、先輩から順に口にしていった。程なくして29歳(当時)の澤穂希にスピーチの出番が回ってきた。「ここまで来て、もう何も言うことはありません」。シャイな澤らしい第一声だった。しかし、いつもとはここからが違った。「苦しいのは皆一緒。もし苦しくなったら私の背中を見て。そして、私と一緒に頑張ろうよ」

第472回 悩みつつも「数字」が物語る充実の1年 テキサス・レンジャーズ、上原浩治投手

 日米が注目したダルビッシュ有の落札球団はレンジャーズだった。報道によると入札額は5170万ドル(約40億円)。これは6年前にレッドソックスが松坂大輔を落札した際の約5111万ドル(当時、約60億円)を抜き、史上最高額となる。  レンジャーズはア・リーグで連覇を果たしながら、ワールドシリーズでは2年連続で涙を飲んだ。この原稿を書いている時点で交渉の進捗状況ははっきりしないが、入団が決まれば悲願の「世界一」に向け最高の補強と言えるだろう。  ダルビッシュにとって頼もしいのは、レンジャーズに2人の日本人投手が在籍していることだ。上原浩治と建山義紀である。

第517回 ラグビー界のバルサ目指すエディーJAPAN

 ラグビー日本代表ヘッドコーチに来年4月に就任するサントリーサンゴリアスGM兼監督、エディー・ジョーンズの口からヤンキースの守護神マリアーノ・リベラの名前が飛び出したのには驚いた。博識とは聞いていたがMLBにも造詣が深いとは……。  リベラと言えばMLBを代表するクローザー。通算603セーブはMLB史上最多である。41歳で迎えた今季も44セーブをマークし、健在ぶりをアピールした。

第471回 イチローと稲葉、出会いの風景

 マリナーズのイチローと北海道日本ハムの稲葉篤紀が少年時代、愛知県豊山町の同じバッティングセンターに通っていたというのは有名な話だ。  日米通算3706安打のイチローとNPB通算1966安打の稲葉が少年時代からそこで打棒を競っていたのだから、考えてみればハイレベルなバッティングセンターだ。

第516回 危険なMLBの“国際的青田買い”案

 浮かんでは消え、消えては浮かぶ。MLBの気紛れにプロアマ含めたこの国の野球界は、どれだけ振り回されてきたことだろう。  海の向こうで、またぞろインターナショナルドラフトの導入が浮上してきた。MLB機構がインターナショナルドラフトの実現性を話し合う委員会を設置し、来年早々から協議に入るというのだ。

年の瀬と競馬ファンと有馬記念

 25日、中央競馬の1年を締めくくるレース、有馬記念が中山競馬場で開催される。オグリキャップ、ナリタブライアン、テイエムオペラオー、ディープインパクト――数多くの名馬たちが記憶に残る勝負を繰り広げてきた有馬記念は、今年も豪華絢爛なメンバーがズラリと顔を揃える。ディープインパクト以来の牡馬クラシック三冠馬オルフェーヴル、今レースがラストランとなるG?6勝の女王ブエナビスタ、史上5頭目の連覇を目指すヴィクトワールピサ、天皇賞春を制したヒルノダムール……。年の瀬の大一番を迎える前に、このレースが持つ意義を、7年前の原稿で振り返り、改めて検証しよう。

ナベツネ「独裁」に反逆の精神を<後編>

 話を私が考える2リーグ=16チーム制に戻そう。  海の向こうに目を移すと、メジャーリーグはエキスパンション(球団拡張)を繰り返し、1900年にはアメリカン、ナショナル両リーグ合わせて10球団しかなかったのが、現在は30球団だ。全米各地にまでメジャーリーグのマーケットは10倍に膨れ上がったといわれている。この球団拡張政策により、文字通りメジャーリーグはナショナルバスタイム(国民的娯楽)となったのだ。

第513回 体から火花発した闘将・西本さん

「川上(哲治)さんは陸軍内務班のような野球をする」。陸軍内務班と聞いても若輩者の私にはピンとくるものがない。きっと鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたのだろう。白髪の老紳士はニヤリと笑って、私にこう助け舟を差し向けた。「いや、悪かった。アンタたちに戦争の話をしても、そりゃわからんわな」

ナベツネ「独裁」に反逆の精神を<前編>

“球界の盟主”を自任する巨人が内紛問題で揺れている。清武英利球団代表兼ゼネラル・マネジャー(GM)がコーチやオーナー人事に関する渡邉恒雄球団会長の“鶴の一声”を記者会見で訴え、批判。球団の名誉、信用を傷付けたとして、18日付で解任された。  渡邉会長と言えば、巨人、いや球界の最高実力者だった。彼の主導により、ドラフト制度、FA制度など、プロ野球のルールを動かしたことも少なくない。そんな“球界のドン”に球団内の幹部が噛みついたことは、権力に陰りが見え始めてきた証ともとれるだろう。  渡邉会長が、長年に渡って行ってきた「独裁政治」の一端を、7年前の原稿で振り返りたい。

第511回 オマリー待望論に見る「オーナーは人徳力」

 懐かしい名前が名門ロサンゼルス・ドジャースの新オーナー候補に浮上してきた。ピーター・オマリーだ。  オマリーは1970年、父ウォルターの後を受けてオーナーに就任。それから28年にわたって球団を経営してきたが、97年に「もはや1ファミリーが球団経営をする時代ではない」と言って、ニューズ・コーポレーションの総帥ルパート・マードックに球団を売却し、メジャーリーグの表舞台から姿を消した。

第510回 鳴戸親方の夢だった四股名“喘息力”

 死因が急性呼吸不全と聞いて胸が潰れる思いがした。どんなに辛かったことか……。7日に福岡市内で急死した鳴戸親方(元横綱・隆の里)と言えば糖尿病患者として知られたが、それよりも、もっと深刻なのがゼンソクと心臓病、それに睡眠時無呼吸症候群(SAS)だった。

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