近藤隆夫
2ラウンドに入ると三崎和雄は、無礼な遠慮をすることなくパンチで一気に攻め立て、相手を防戦一方に追い込む。見かねたレフェリーが試合をストップ。その瞬間、かつて「PRIDE男」と呼ばれた小路晃の現役生活に幕が下ろされた。 4月22日、後楽園ホール『DEEP 53 IMPACT』。満員の会場でファンに見守られ引退セレモニーを終えた小路晃は穏やかな表情をしていた。 「ありがとうございました。ここまで闘えてこられて、その上、こんな引退セレモニーまでやってもらえて本当に感謝しています」
4月に入ったが、「K-1」「DREAM」「SRC」といった日本のメジャー格闘技団体の今年の年間大会開催スケジュールが、まだ発表されていない。次回大会の開催も決まっておらず、ファンは待ち疲れ、選手たちは不安な気持ちで日々を過ごしている。
エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)の敗北は衝撃的だった。 2月12日(現地時間)、米国ニュージャージー州のアイゾッド・センターで開かれたStrike Force「ヘビー級GPトーナメント」1回戦、アントニオ・シウバ(ブラジル)と対戦したヒョードルは、かつての輝きをすでに失っていた。
4月23日に有明コロシアムで開かれる予定だった「SRC17」を中止すると、突然、主催団体のワールドビクトリーロードが発表した。今後の団体の存続も危うい状況にあるらしい。「DREAM」も(2月3日の時点で)、次回大会の開催を決められずにいる。それはK-1も然りだ。日本のメジャー格闘技団体に元気がない。
ジェロム・レ・バンナに判定勝ちし、また一歩前進した石井慧だが、観る側に強烈なインパクトを残すことはできなかった。吉田秀彦のように短期間では階段を駆け上がれない。トップクラスに割って入るには、まだ時間がかかるのだろう。
12月に入り、大晦日が近づいているが、『Dynamite!!』の対戦カードは、まだ1カード(高谷裕之×ビビアーノ・フェルナンデス)しか発表されていない。昨年の今頃には、魔裟斗の引退試合と、吉田秀彦×石井慧戦が決まっていたのだが、今年は(12月2日の時点で)目立った発表もない。選手が準備のできた状態で闘うためにも、また観る側の関心を高めるためにも、せめてメインカードだけでも、もっと早く決めて提示すべきだと思う。
長く暑い夏が、ようやく終わったと思ったら、一気に肌寒くなった。季節外れの台風が去り、北では雪が舞う。もう冬にさしかかっている。 2010年も残り60日を切り、「格闘技の日」大晦日が近づく。『Dynamite!!』(さいたまスーパーアリーナ)の例年通りの開催が発表された。加えて、昨年は『Dynamite!!』に参戦したSRCが独自に大会を開くことを先に発表している。イベントタイトルは、『戦極 Soul of Fight』で、日時は大晦日ではなく、その前日の12月30日、場所は有明コロシアムだ。
この9カ月間に、総合格闘家として成長を遂げていることは見てとれた。判定決着ながら内容的に完勝だった。それでも彼に対する期待が大きいからだろうか、何処か物足りなさを感じてしまう。『DREAM.16(9月25日、名古屋・日本ガイシホール)』でミノワマンに勝利した石井慧のことである。
あれから、もう1週間以上が過ぎたというのに、思い出すと、いまも手に汗を握る。闘う両者が気持ちの熱さを観る者に伝えきった名勝負だった。 8月22日、両国国技館で開催された『SRC14』のメインイベント、ジョルジ・サンチアゴ(ブラジル)×三崎和雄戦のことである。
初代PRIDEライト(73?以下)級王者の五味隆典が、崖っぷち、いや金網際で踏みとどまった。 8月1日(現地時間)、米国カリフォルニア州サンディエゴのスポーツアリーナで開催された『UFC on Versus: JONES vs. MATYUSHENKO』でタイソン・グリフィン(米国)に64秒KO勝ちを収めたのだ。五味は、かつて70キロ台前半のクラスで 「世界最強」と称された選手である。
エメリーヤエンコ・ヒョードル(ロシア)が敗れた。 6月26日(現地時間)、米国カリフォルニア州サンノゼのHPパビリオンで開かれた『Strike Force』で柔術家ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル)に試合開始から僅か69秒、三角絞めを決められ、タップを余儀なくされたのである。
「サクラバのパンチは思っていた以上に強かったよ。ちょっと驚いたね。でもプラン通りの闘いはできた。いまの自分の力を十分に出せたよ」 5月29日、さいたまスーパーアリーナで開催された『DREAM.14』で桜庭和志と対戦、3−0の判定勝利を収めた後、ハレック・グレイシーは晴れやかな表情で、そう話していた。はにかみを含んだ笑顔は7年前と変わっていなかった。
『UFC』で五味隆典が敗れ、『Strike Force(ストライクフォース)』では青木真也が散った。吉田秀彦は引退し、柔道界へと戻っていく。総合格闘技に明るい話題が見当たらない……と思っていたところに、興味を引くニュースが飛び込んできた。“皇帝”エメリーヤエンコ・ヒョードル(ロシア)が来月、試合を行なうことが決まったのだ。
亀田興毅がポンサクレック・ウォンジョンカムに完敗を喫したWBC世界フライ級タイトルマッチを観た後、時間を置いてから考え込んでしまった。 それは、試合内容のことでも、5ラウンドのバッティングのことでも、試合後に興毅の父・亀田史郎がまた騒ぎを起こしたことでもない。
「あれでよかったんですかねぇ。僕はドラマの最終回を見せられているような気分になりましたよ。K-1MAXの最終回を」 もう20年以上の付き合いになる元キックボクサーが、そう言った。私も、同じことを感じていた。 昨年の大晦日、さいたまスーパーアリーナで開かれた『Dynamite!!』のメインエベント、魔裟斗は宿敵アンディ・サワーに完勝し、笑顔でリングを去っていった。観衆は魔裟斗に声援を送り続けていたが、私は複雑な気持ちだった。
「オレの中では終わったこと。興味はない」 亀田興毅は、そう話したそうだ。 1月29日、引退がささやかれていた内藤大助が現役続行を宣言。11月に判定で敗れ、王座を奪われた相手、亀田興毅と再戦したいと口にし、ジムワークを再開した。「このままでは終われない」との思いが、内藤には強くあるのだろう。だが、再戦要求に対して、亀田の態度は冷やかだった。
昨年の大晦日、さいたまスーパーアリーナで吉田秀彦×石井慧戦を見終えて、私は複雑な気持ちになった。 最終3ラウンドのゴングが打ち鳴らされた瞬間は、正直なところホッとした。それは、心の中で「吉田、逃げ切れ!」と願っていたからだ。吉田への思い入れは強くある。柔道界から総合格闘技界へ進出したパイオニアが、ルーキーに敗れる姿は見たくなかった。
「えっ? 石井と闘うんですか? それは戦極の時に決まっていたことで、僕も誰とやるのか聞いていません」 吉田秀彦が、マイクを通してそう話すと、会見場に緊張感が漂った。 11月25日、都内ホテルで開かれた記者会見。この場で、『戦極(SRC)』の『Dynamite!!』参戦が発表されたわけだが、同席した吉田の表情は終始険しかった。
「意義とレベルの高さでは、ヒョードル×ノゲイラ戦(2004年)でしょう」 「緊迫感では、吉田×小川戦(2005年)だと思いますね」 「お茶の間に強いインパクトを残したのは、やっぱりサップ×曙戦(2003年)じゃないですか?」 「安田がバンナを破った試合(2001年)も良かったし、魔裟斗×KID(山本徳郁)戦(2004年)もドキドキしましたね」 さまざまな意見が出た。先日、ある雑誌の企画で『大晦日、格闘技名勝負20』の選考に加わった時のことである。
「Stop! Don’t move. Center!」 リング上でレフェリーが、そう声を発する時、私はいまも違和感を覚える。もう10年以上も耳にしているフレーズなのだが、そのやり方が、どうもしっくりとこない。 グラウンドでの攻防がもつれ、闘っている選手が、ロープ、あるいはコーナーに接する。時に、ロープを越えてリング下に落ちそうにもなる。そこでレフェリーが一度、試合を止め、両者をリング中央に戻し、同じ体勢から試合を再開させる。かつての『PRIDE』『HERO’S』、そして現在の『DREAM』のリングでも見慣れた光景だ。
総選挙が終わり、夏休みも終わり、9月に入って急に肌寒さを感じるようになった。大晦日に向けて、いよいよ格闘技シーズンの到来である。魔裟斗と武蔵、2人のK-1ファイターの勇姿は今年で見納め、そして石井慧の総合格闘技デビューが近づく。話題は昨年より豊富なようだ。
見応え十分な大会だった。 8月2日、さいたまスーパーアリーナで開かれた『戦極〜第九陣〜』のことである。5時間を超す長いイベントだったが、観る者に時間が経つのを忘れさせる熱いファイトが続いた。過去9回の大会を振り返っても、今回がベストな内容だったように思う。
「川尻が勝っちゃうんじゃないですか。勢いがありますよね。川尻は(K−1)MAXにはいないタイプですから、魔裟斗は闘いにくいでしょ。勢いのある川尻が勝つと思うなぁ」 驚くことに私の周囲のほとんどの人が、そんな風に話し、川尻の勝利を予想している。7月13日、日本武道館で開かれる『K−1 WORLD MAX 2009 World Championship Tournament FINAL8』でスーパーファイトとして行なわれる魔裟斗(シルバーウルフ)×川尻達也(T-BLOOD)の話だ。
6月4日夕刻、新宿ステーションスクエア(新宿アルタ前広場)で多くのファン、報道陣が見守る中、石井は『戦極』に参戦する旨の契約書にサインをした。これで正式に石井の総合格闘家としてのデビューの舞台は『戦極』のリングに決まった。
ホセ・カンセコ……懐かしさを感じる名前であり、同時にメジャーリーグ好きなら誰もが知っているビッグネームだ。白、黄、緑を基調としたオークランド・アスレチックスのユニフォームが、よく似合っていた。改めて球歴を記す必要もないだろう。偉大な元メジャーリーガーである。そんなカンセコが『DREAM9』に参戦すると聞いた時、最初は驚いたが数秒後に、「なるほど」とも思った。