金子達仁

リーガの最終節決戦は「世界的行事」

 先日、ヤクルトの小川監督は巨人戦を前に「ザッケローニ監督のように攻撃的に行きたい」とコメントしたという。プロ野球の監督が、サッカーの監督を例としてあげる。サッカー好きであると同時に、野球好きでもある人間としては、ちょっとうれしくなってしまった。と同時に、ブレない阪神愛を貫く某スポーツ紙にまで1面を明け渡させてしまったW杯最終メンバー発表の反響の大きさに、いささか戸惑いもした。Jの勝敗が新聞の1面を飾ることがめっきりと少なくなった昨今だけに。

国内組に広がる代表意識は大きな進歩

 W杯開幕まであと1カ月あまりとなった。来週の頭には、ブラジルへ行く日本代表のメンバーが決まる。いよいよ、W杯モード突入である。  それにしても、4年前を思うと隔世の感がある。あの時、Jリーグ関係者は本気でW杯後のことを心配していた。冴えない試合を繰り返す代表チームが南アフリカで惨敗を喫し、日本のサッカー人気そのものが危機に瀕するのではないか。そう考えている人は少なくなかった。

黙祷か黙殺か……願うJの世界への意識

 え、また黙祷?  欧州サッカーの中継に携わるようになった初期のころ、驚かされたことの一つに黙祷の多さ、があった。  たとえばバルセロナの場合、クラブのOBに不幸があった場合はもちろん、チームスタッフに何かがあった時もすぐに黙祷を捧げる。不謹慎ながら「このチームは2週間に一度黙祷しているのではないかな」などと思ったこともあるぐらい、不幸に対するセンサーは敏感だった。

“国内組枠争い”激化に漂うW杯躍進気配

 98年、カズと北沢が外れた時は、大げさではなく、日本中が騒然となったものだった。02年、中村俊輔が落選した時も、結構な騒ぎになった。W杯本大会に出場するメンバーの発表は、もはやそれ自体が一大行事であり、そこから生まれる悲喜こもごもの人間ドラマは、多くのメディアによって取り上げられてきた。  さて、今回はいったいどんなことになるのか。

リトルなでしこが表現した日本

 Jリーグが発足した当時、その成功を確信していたのは、日本人よりもむしろ外国人だったような印象がある。  彼らが成功を信じる理由は、いたってシンプルなものだった。曰く、日本は経済で成功した。だからサッカーでも成功する――というものだ。我々は日本人である、ゆえにできない……という劣等感を発想の原点としていた身には、君たちは日本人である、ゆえにできる……という論理が、にわかに信じられなかった記憶がある。

サッカー界の常識覆すバイエルンの変貌

 香川真司にとって、ドルトムント最後の試合となったのが、2年前の5月12日に行われたバイエルンとのドイツ杯決勝だった。  あの時、バイエルンは特別なチームではなかった。素晴らしい選手は揃(そろ)っていたものの、手の届かない存在、ではまるでなかった。それどころか、開始早々香川のゴールで失点を喫したバイエルンは、最終的に5発を食らう惨敗を喫しているのである。

取材への謝礼要求はJの“悪しき慣習”

『be IN スポーツ』というテレビ局の取材を受けた。カタールに本拠を構える、最近まで『アルジャジーラ・スポーツ』と呼ばれていたスポーツ専門チャンネルである。  取材の趣旨は、W杯へ向けた日本の現状と課題について聞かせてくれ、といったところだったのだが、インタビューの合間、流暢な日本語を話すシリア人のアリーさんがポツリと言った。 「日本での取材、すごく大変です」

差別の罪深さ知らしめた村井チェアマン

 実を言えばここ数年、わたしの中でJリーグのチェアマンはプロ野球のコミッショナーとかぶり始めていた。つまりはお飾りにも近い名誉職。いなくとも日常は滞りなく進む――。  それがけしからん、というわけではない。わたし自身、マンチェスターUの監督の名前や国籍は知っていても、イングランド協会会長の名前やプレミアリーグのボスは誰かと聞かれれば沈黙するしかない。川淵氏の時代に比べ、クラブや選手を束ねる組織の長が以前ほどに注目されなくなったのは、この国のサッカーが成熟してきた証ととることもできたからだ。

J3、練習気分のU−22選抜に大失望

 賛否両論はあったようだが、わたしは、JリーグU−22選抜のJ3参加に大賛成だった。前例がない? Jの理念に反する? まずはやってみればいい。しょせんは下部リーグ。挑戦して、失敗すれば考えればいい。そう思っていた。  ただ、沖縄で行われた彼らの初戦には、大いに失望させられた。

極上の前半を演出した蛍と青山

 ジキルとハイド、どころではない。スーパー・ジキルとワースト・ハイド。うっとりするほど素晴らしい日本と、信じられないほどに無残な日本。とてつもなく大きな揺れ幅を見せつけられた試合だった。  前半、なんといっても素晴らしかったのはボランチに入った山口と青山のコンビだった。どちらの選手も相手ボールに対するアプローチが抜群に速くて強く、最終ラインの選手からすると自分たちの前にリベロが2人構えているような感じだったのではないか。

フォルランで知るJリーグの現在地

 Jリーグにやってきた久々の超大物外国人選手、フォルランの公式戦デビューを見ていささか感慨深い思いにとらわれた。  およそ30分間の出場で、見せ場はほぼゼロ。チャンスを作る云々以前に、ボールに触る機会がほとんどなかった。もし彼のプレーを見るためにスタンドに足を運んだ、あるいはチャンネルを合わせた方がいたとしたら、期待を裏切られたというのが率直なところだろう。  それが、嬉しかった。

今年のJ1開幕戦は大阪が熱い

 あらゆる静岡勢が圧倒的な強さを誇った時代があった。日本代表の大半を占めたのも、同県出身の選手だった。「サッカーどころ」の名をほしいままにしたのも、当然といえば当然である。  ただ、いまだ高い競争力を誇る静岡のサッカーだが、他地域の環境が整備されてきたこともあり、かつてのように突出した存在ではなくなった。ザック監督率いる現在の日本代表でも、静岡県出身者はもはや最大勢力ではない。本田も、香川も、柿谷も……大阪を中心とした関西圏の出身なのである。

吉田麻也の先発復帰は日本にとって明るい兆し

 いろいろと考えさせられることの多いソチ五輪である。  たとえば、願望と予想の混同。日本人の場合、「そうあってほしい」という思いが、相手を分析する目を鈍らせる傾向が強いのかもしれない、と自戒の念とともに思う。  戦って負けるのは仕方がないが、メダル有力、あるいは確実といわれた選手が、いざ戦ってみて愕然という図式は、あまりにも苦いし痛い。あらかじめ力の差があることを認識していれば、もう少しやれることもあっただろうに。選手も、スタッフも、そしてメディアも。

東南アジア戦略加速への大きな課題

 甲府がインドネシア代表イルファンを獲得した。昨年、札幌がベトナム人選手を獲得したことに続き、いよいよJリーグの東南アジア戦略も本格化してきた。  今回の獲得で注目すべきは、クラブが自治体と密接なタッグを組んだことである。つまり、クラブだけでなく、山梨県も東南アジア屈指の大国であるインドネシア人の選手を獲得する意味とメリットを理解し、クラブに先立って同国出身者を県庁のスタッフとして迎え入れていた。行政の冷たさ、無理解と戦うクラブは珍しくないだけに、これは画期的な出来事だと言っていい。

「日本人」はもうメーンテーマではない

 イタリアの衛星放送「スカイ」で解説を務めるマッシモ・マウロ氏は、プラティニ、ジーコ、マラドーナという80年代の天才3人とすべてチームメイトとしてプレーした、世界唯一の男である。  その彼がベローナ戦での本田について語った言葉が、21日付のスポニチで大きく報じられていた。 「カカーやロビーニョのコピーにしかならない補強をする必要が本当にあったのか」

失敗したっていい C大阪フォルラン獲りに心躍る

 百里の道は九十九里をもって半ばとす、という言葉があるが、九十九里まできたとしても一里しか来ていない、と見るべきなのがサッカーにおける移籍話である。  実体のない噂もあれば、関係者が交渉の材料とすべく、あえてリークしてくる場合もある。従って、現時点ではまだ白紙と見るべきではあるのだが、それにしても、久々に胸のときめくフォルラン獲得?のニュースである。

生死懸けた熱戦の同時開催はもったいない

 優勝争いはもちろん興味深い。だが、個人的には優勝争い以上に楽しみにしているのが、昇格、降格を争う戦いである。Jに限ったことではない。たまたま滞在している国で入れ替え戦やプレーオフが行われているとなれば、たとえそれが3部、4部の試合であってもつい足を運びたくなってしまうほどだ。

更迭要求する声と続投決断の難しさ

 更迭を要求する声がいつも正しいとは限らない。  6年前の今頃、シーズン途中から指揮をとった外国人監督の解任、更迭を要求する広島ファンの声は決して珍しいものではなかった。続投を決定したフロントに対する批判もかなり手厳しいものがあった。もし、あの時点で更迭という決断がくだされていたら、Jリーグの現在はまたずいぶんと違ったものになっていた可能性がある。少なくとも、ペトロヴィッチ監督がレッズの指揮官になっていることはなかっただろう。

守備固めに逃げた日本はまだ本物ではない

 大迫が生んだ勝利だった。オランダ戦における彼のゴールがなければ、チームは完全に自信を喪失していただろうし、監督の更迭以外に再生の道はなくなっていた。壊れかけたチームを踏みとどまらせた薩摩隼人の一撃があったがゆえの、この日、ベルギー戦での勝利だった。多くの選手、ファンは、再び世界への希望を見いだしたことだろう。

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