金子達仁

スポーツライター

生死懸けた熱戦の同時開催はもったいない

 優勝争いはもちろん興味深い。だが、個人的には優勝争い以上に楽しみにしているのが、昇格、降格を争う戦いである。Jに限ったことではない。たまたま滞在している国で入れ替え戦やプレーオフが行われているとなれば、たとえそれが3部、4部の試合であってもつい足を運びたくなってしまうほどだ。

更迭要求する声と続投決断の難しさ

 更迭を要求する声がいつも正しいとは限らない。  6年前の今頃、シーズン途中から指揮をとった外国人監督の解任、更迭を要求する広島ファンの声は決して珍しいものではなかった。続投を決定したフロントに対する批判もかなり手厳しいものがあった。もし、あの時点で更迭という決断がくだされていたら、Jリーグの現在はまたずいぶんと違ったものになっていた可能性がある。少なくとも、ペトロヴィッチ監督がレッズの指揮官になっていることはなかっただろう。

守備固めに逃げた日本はまだ本物ではない

 大迫が生んだ勝利だった。オランダ戦における彼のゴールがなければ、チームは完全に自信を喪失していただろうし、監督の更迭以外に再生の道はなくなっていた。壊れかけたチームを踏みとどまらせた薩摩隼人の一撃があったがゆえの、この日、ベルギー戦での勝利だった。多くの選手、ファンは、再び世界への希望を見いだしたことだろう。

本気のベルギーから味わいたい刺激的な敗戦

 勝ったことのある人間は、勝利によって得られる喜びを現実のものとして思い起こすことができる。もう一度味わいたいという思いが、苦境を乗り切るための力になってくれる。かつてドゥンガが「勝ったことのあるやつしか勝てない」と断言し、ベンゲルをはじめとする欧州の監督が「勝者のメンタリティー」という言葉をよく使ったのも、結局は同じことである。

岡崎2得点の報道に見た日本人の精神的成長

 古くからのファン、特に日本代表を応援していたファンにとって、10月は哀しい思い出が詰まった月でもある。  木村和司が伝説的なFKを決めながら、韓国に地力の差を見せつけられたのは85年10月26日だった。2年後の10月26日には、雨の国立でほぼ手中にしかけていたソウル五輪への切符を失った。そして、あまりにも有名な“ドーハの悲劇”は10月28日の出来事だった。

世界に衝撃“バルサ型”U17日本の行方

 ここに来て急速に変質しつつあるが、近年のバルセロナほど、共通した哲学に貫かれたチームはなかった。ボールポゼッションを、状況によってはリスクと考える人間が多い中、彼らはあくまでも勝利への最短距離であるとした。すべての選手が、信じられないほどの精度で同じ方向を目指した――それが成功した最大の要因だった。

続投なら協会は強く「ザック支持」を伝えるべき

 わたしは、事ここに至ったからにはザッケローニ監督を解任するのが一番手っとり早い修正案だと思う。コンフェデ杯イタリア戦での日本には、まだ自分たちのサッカーに対するプライドや夢があった。守備はズタズタにやられたが、それは相手も同じことだった。何より、あの時の日本には、日本人以外にも愛される魅力があった。

クラシコより熱いバイエルンVSドルト

 古くは70年代初頭のアヤックス、最近ではバルセロナ。サッカーの世界には、時折、全世界のサッカー観に影響を与えるようなチームの出現がある。  だが、同じ時代の同じリーグに複数の革命的存在が同居したことは、かつてなかった。グアルディオラのバルサがとてつもないサッカーを披露し始めた時、レアル・マドリードは“銀河系軍団”ではなくなっていた。逆に、ジダンたちが我が世の春を謳歌していた時、バルサのサッカーに見るべきところは多くなかった。

バルサに対抗 ドルトの獰猛カウンター

 ここ数年、世界のサッカーの中心にあったのはバルセロナだった。「ポゼッション」という概念がかくも広大に、またかくも急速に広まったのは、グアルディオラに率いられたチームの展開するサッカーが、素晴らしく革新的で魅力的だったからに他ならない。日本においても、トップクラスのチームのみならず、名もないアマチュアのクラブでさえ目指すサッカーの方向性を聞かれれば「ポゼッション」と返すようになった。ちょっと重圧を受けただけで安全第一のサッカーをやってしまうチームでさえも、理想はあくまでもバルサだった。

2ステージ制は断じて“劇薬”ではない

 このままではいけない? 何か手を打つ必要がある? まったくの同感だ。あまり賛成はできないが、大会方式を変えてみるのもいいだろう。このやり方ならば、1ステージ制では到底優勝など望めないチームにも可能性は出てくる。  だが、考えるべきは、もっと本質的な部分ではないのか?

灼熱のカタールの“代わり”は日本でいいのか

 スポニチが比較的大きく取り上げていた一方、ほとんど無視した新聞もあった。どれほど重要性、信憑性のある発言なのか、社によって判断がわかれたのだろう。FIFAのブラッター会長がカタールでのW杯開催について極めて異例のコメントをしたという“事件”である。

守備陣への「信頼」はザック監督の危機感

 おや、と思った。 「国内、海外も平等に扱いたいと思っている。海外に移籍すれば代表に入れるわけではない。それぞれのクラブ、リーグで活躍することが(代表入りへの)一番の近道と考えてほしい」  8月29日、グアテマラ戦、ガーナ戦に臨む日本代表メンバーを発表する際、ザッケローニ監督はそう言ったという。至極もっともな言葉なのだが、これまでの選手選考の傾向を考えると、ほとんど自己否定ともとれる発言である。

日本も短くなってきた変化のサイクル

 今年の夏はいったい何度「観測史上初」という言葉を見たり聞いたりしただろう。とてつもない暑さ。破壊的な豪雨。いままでにはなかったことも、起こり続ければ日常になる。いまはどこかに引っかかっている違和感も、あと何年かすると感じなくなっているのかもしれない。

マレーシア選手の意外な高給……Jに漂う危機感

 リーガの開幕を1週間後に控えた8月10日、バルセロナはクアラルンプールでマレーシア代表と親善試合を行った。試合直前になってバルサ側からのクレームにより会場が変更になるという信じられないような“事件”があったものの、バルサ、マレーシア、どちらのファンにとってもまずまず満足のいく試合だったのではないか。結果はバルサの3−1だったが、マレーシアも一度は同点に追いつくゴールを奪っていたからである。

ユースのマナー向上 あとは起爆剤待ち

 先週末、日本クラブユース選手権の準決勝、決勝があったので、ちょっとのぞきに行ってきた。エスパルスのFW北川、ガンバのMF井手口、サンフレッチェのMF野口、そして優勝したマリノスのDF福田、尾身、MF早坂、田崎……名前を挙げていったらキリがないぐらい、楽しみな選手がたくさんいた。

日本も見て見ぬふりをしていないか

 正直なところ、彼らがどんな意図でああいった行為に出たのかは、まったく理解に苦しむ。  私が外国人に何かを訴えようとするならば、相手の母国語か、せめて英語で伝えようとする。それとも、ターゲットは自国民だったのか。自分たちはかくも愛国的な集団であると訴えるために、巨大なハングルでの横断幕を作成し、誇示したのか。

地域密着と企業マネー プロ野球から学べ

 創成期のJリーグにとって、チーム名から企業名を外すというルールは、絶対に譲れないものだった。  それまでの日本のスポーツが、プロ野球を含めてことごとく企業主導で動いてきたことを考えれば、この判断はまさに大英断だったといえる。日本のスポーツ界は、企業以外にもバックボーンにできるものがあることを初めて知った。

セリエA再興こそ使命 本田の今夏移籍を願う

 欧州サッカーリーグの歴史は、栄枯盛衰の歴史でもある。  まずは発祥の地でもあるイングランドがリードし、70年代あたりからブンデスリーガが頭角を現してくる。80年代中期から後期に入るとセリエAが“世界最高峰”としての呼び名をほしいままとするようになるが、20世紀をまたごうかという時期になると、スペインのサッカーが俄然注目を集めるようになる。

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