第548回 「選択と集中」よりも日本の底力を

 JOCはロンドン五輪での目標を「世界5位以内」と定めた。何を持って5位以内とするのか。言うまでもなく、それは「金メダル数」である。  本紙の国別メダル表を見ても分かるように金メダルの数が順位を決定する。大会4日目が終了した時点で日本は金1、銀4、銅6の計11個のメダルを獲得しているが、順位では金2、銀2、銅2の韓国、さらには金2のカザフスタンにも及ばない。この時点では9位だ。

第546回 センターの方がおいしい!? カープ・堂林

 自虐的なプロモーションが逆に受けているらしい。広島に行くたびに目にするのが「おしい! 広島県」のタイトル入りポスター。地元出身の毒舌タレント有吉弘行をメインキャラクターに起用している。  レモンの生産量は日本一。カキやお好み焼きなど、おいしいものがたくさんありながら、いまいち浸透し切れていない。そこで「おしい」から「おいしい」へとのコンセプトの下、広島県を売り込もうとの戦略だが、ポスターを見ていて不意に頭に浮かんだのが売り出し中のカープ堂林翔太だ。3年前の甲子園では中京の「4番・エース」として全国制覇に貢献。ドラフト2位でプロ入りした。広島ではプリンスと呼ばれている。

第544回 70歳 難病と闘うアリの心中は

 右手の人さし指で鼻を押しつぶし、左手で耳をねじる。そして、しわがれ声で話す。「フレイジャーが番組に出たら(こんな感じだ)」。次の瞬間、スタジオは嘲笑に包まれた。  番組の主役はムハマド・アリ。対戦相手のジョー・フレイジャーを揶揄しているのだ。アリの挑発は続く。「(フレイジャーは)リズム感もフットワークもなく、まともに話もできない。歌がうまいなんてウソだろ」

第543回 「夢の球宴」、野村克也が背負っていた名誉

 オールスターゲームのことをメジャーリーグでは「ミッドサマー・クラシック」(真夏の祭典)と呼ぶ。ピッツバーグとアーリントンで2度ほど取材したことがあるが、その盛り上がりぶりは「フォール・クラシック」(秋の祭典)と呼ばれるワールドシリーズに勝るとも劣らないものがあった。

第542回 「力士ムラ」の名跡管理に不安あり

 困ったことにかくして「原子力ムラ」の利権は守られましたというオチになるのだろうか。この9月までに原子力の安全規制を担当する新組織が誕生する。原子力規制委員会と事務局の原子力規制庁だ。独立性が高く、原発推進側に著しくシフトしていたこれまでの組織とは違うと聞いていたが、これから選定する規制委の5人のメンバーについては明らかになっていない。つまり人選によっては原発の監視役を担う機関として中立性、公平性が揺らぐリスクも生じるわけで、国民のひとりとして非常に心配である。

第541回 マンU合意・香川は夢の劇場で何を思うか

 スティーブ・エヴェッツ演じるエリック・ビショップはマンチェスター市内に暮らす梲(うだつ)が上がらない中年の郵便配達員だ。2度の結婚はいずれも破綻。連れ子は非行に走った。仕事にも精彩を欠き、抜け殻のような日々。部屋の壁に貼った自らのアイドル――等身大の“エリック・ザ・キング・カントナ”のポスターが唯一の心の拠り所だ。そう、彼はマンチェスター・ユナイテッドの熱狂的サポーターなのだ。

第539回 クローザーの誇り軽視、「ふりむけばヨコハマ」

 クローザーとは誇り高き生き物である。“江夏の21球”で知られる1979年の広島対近鉄の日本シリーズ第7戦。4対3と1点リードで迎えた9回裏、広島の守護神・江夏豊は無死1、3塁の場面で心をかき乱される。「なにしとんかい!」。池谷公二郎がブルペンに走り、北別府学も続いたのだ。「オレを信用しとらんのか……」

第538回 一振りに賭ける「天才」前田智の執念

 寡黙な男が珍しく素直に喜びを表現した。20日のファイターズ戦、1対0の8回裏、1死一、二塁のチャンスで代打に起用されたカープの前田智徳は、植村祐介のフォークを三塁線に弾き返した。打球はサード小谷野栄一を襲って外野へ転がり、二塁走者を迎え入れた。興奮気味に一塁ベースを回ったところで手を叩く。感情を露にした40歳の姿に一振りに賭ける執念を見る思いがした。

第537回 教え子とメダルに挑む現代版“柔道の父”

 2000年に柔道部が創設されたばかりの頃だ。了徳寺学園と聞いて、仏教系の宗教法人が運営する学校だとばかり思っていた。実際、京都市には大根焚(だいこだき)の行事で知られる法輪山了徳寺という真宗大谷派の寺院がある。そこに縁(ゆかり)のある学校かと……。  程なくして了徳寺健二理事長の苗字に由来するものだと知る。これほど柔道に情熱を傾ける教育者とは、いかなる人物なのか。

第536回 野球は今も台湾との絆のシンボル

 宮本慎也が2000本安打を達成した翌日、元東京ヤクルトの後輩・鎌田祐哉がリーグ最多となる7勝目をあげた。防御率も1.75でリーグトップである。  海の向こうの話だ。海の向こうといっても、もちろん米メジャーリーグではない。中華職業棒球大連盟(職棒)。要するに台湾プロ野球リーグである。鎌田は今年2月に台湾でテストを受け統一セブンイレブン・ライオンズに入団した。

第535回 稲葉育てた「中京の立ち襟」復活を

「これが中京の4番なら、僕はもっと(上に)行けると思った」  祝福の言葉にはイチローらしいウイットが含まれていた。さる4月28日、北海道日本ハムの稲葉篤紀がプロ野球史上39人目の通算2000安打を達成した。周知のように稲葉とイチローはともに少年時代、愛知県豊山町にあるバッティングセンター「空港バッティング」に通い詰めていた。

第534回 ペニー、汚名返上のチャンスまだある

 ひと山いくらの舶来品ではない。06年には16勝をあげて最多勝に輝いている正真正銘のメジャーリーガーだ。マーリンズ時代の03年にはワールドシリーズで2勝を挙げ、世界一の立役者にもなっている。MLB通算119勝は、来日したピッチャーの中ではトップクラスの実績だ。福岡ソフトバンクの新外国人投手ブラッド・ペニーが原因不明の右肩痛に悩まされ、戦列を離脱している。入団前のフィジカルチェックはどうなっていたのか.

第532回 ノーヒッター3度、外木場に正当な評価を

「7回くらいから、その兆しはありましたよ。相手が打てそうな気がしませんでしたから。それにシーズンが始まったばかりの4月はピッチャーが有利。実は僕の3回目(のノーヒット・ノーラン)も4月なんです」。感慨深げにそう語ったのはカープの元エース外木場義郎だ。後輩のマエケンこと前田健太のノーヒット・ノーラン(6日の横浜DeNA戦)はテレビで観ていた。「彼は昨年の10月にも“あわや”という試合がありましたが、今回の方が安定感がありましたね」

第531回 「日常で修行」射撃・松田は平成の鹿之助

「我に艱難辛苦(かんなんしんく)を与えたまえ」。戦国時代の武将・山中鹿之助の至言だが、まさにこの御仁こそは“平成の鹿之助”だろう。  ロンドン五輪のピストルで金メダルを目指す松田知幸である。一昨年8月に行われたミュンヘンでの世界選手権では2つの五輪種目を制した。

第526回 「小型左腕」福岡ソフトバンク・嘉弥真は“必殺仕事人”になれるか

 とにかく投げっぷりがいい。マウンドに立つと5尺7寸程度(172センチ)の体が一回りも二回りも大きく見える。25日の広島とのオープン戦でも、危険球で初回退場となった「大型左腕」川原弘之の後を受けて緊急登板し、涼しい顔で2回を1安打無失点に封じた。福岡ソフトバンクの「小型左腕」嘉弥真新也のことだ。昨年のドラフトで5位指名を受け、社会人野球のJX-ENEOSから入団した。マウンド度胸もいい。スリークォーターとサイドハンドを使い分け、多彩な変化球で打者を手玉に取る。

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