第597回 NPBコミッショナーを公選制に

 重要なのは誰を選ぶか、ではない。どう選ぶか、だ。ここをきちんと議論しない限り、永遠に球界のリーダー問題は解決しないだろう。  統一球の仕様変更問題で統治能力の無さを露呈した加藤良三コミッショナーに対し、さる19日、労組・日本プロ野球選手会が「不信任」を突き付けた。

第596回 澤村栄治の快投、西日説は本当か!?

 この6月に全面改装された静岡・草薙球場の正面にあるモニュメントには「澤村 ベーブ・ルース Memorial Stadium」との文字が刻まれている。今から79年前の1934年11月20日、「全日本」のエース澤村栄治は「米国大野球団」の強打者たちを切り切り舞いさせ、監督のコニー・マックをして「サワムラをアメリカに連れて帰りたい」と言わしめたことは、よく知られている。

第595回 名工・三村仁司のミリ単位に懸ける覚悟

 競技用シューズづくりの腕と知見と経験において、厚生労働省が認定する「現代の名工」にも選ばれた三村仁司(ミムラボ主宰者)の右に出る者はいない。現役時代、あの瀬古利彦(現DeNAランニング・クラブ総監督)が「ランナーにとってシューズは命の次に大切なもの。それを教えてくれたのが三村さん」と語っていたことを思い出す。

第594回 世界に「NO」と言える全柔連であれ

 石原慎太郎と盛田昭夫が共著という体裁で出版した『「NO」と言える日本』がベストセラーになったのはもう四半世紀近く前のことだ。主に米国企業の欠点や技術立国ニッポンの優位性を論じたものだが、話は両国の国民性や文明論にまで及び、タイトルの刺激さも相まって多くの日本人が溜飲を下げた。後になって事実関係の誤りが指摘され、著書の価値は下げに転じたが、戦後の日本を貫いていた従米主義に一石を投じたことは間違いあるまい。

第593回 全柔連には煙たい“家臣”の登用を

 堀秀政という武将がいる。11月に公開予定の三谷幸喜監督の映画「清州会議」では人気俳優の松山ケンイチが演じることが決まっている。地味な武将に注目が集まるのではないか。  美濃で生まれた秀政は13歳で織田信長に仕え、やがて羽柴秀吉の家臣となる。本能寺の変で主君・信長に弓を引いた明智光秀を討った山崎の戦いや九州征伐、小田原征伐などで武功をあげ、戦国時代の名将のひとりに数えられている。

第592回 尾崎、記録より記憶、記憶より衝撃の剛球

「ボールが消えた……」。三振を喫した直後、神宮球場の通路で大毎の主砲・山内一弘は、うつろな表情を浮かべて、つぶやいたという。当時、パ・リーグ事務局にいたパンチョこと伊東一雄から後年、聞いた話。  1961年の夏、浪商高を全国制覇に導き、17歳で同校を中退して東映に入団した尾崎行雄は巨人とのオープン戦で長嶋茂雄を切り切り舞いさせるなどして脚光を浴びていた。

第591回 五輪招致に影響? トルコ首相の失言

 死者5人、逮捕者2千数百人。五輪開催予定都市から全土へと広がったデモは、鎮静化するまでに1週間を要した。  これは2020年夏季オリンピック・パラリンピック招致活動を行っているイスタンブールのことではない。12年夏季大会を成功させたロンドンのことだ。

第590回 顔色窺いのルール改正、IOCに慈愛の精神は?

 オリンピックの実施競技に非ざるものはスポーツに非ず――。このところ、そんな空気が蔓延してはいまいか。  2020年夏季五輪実施競技の最終候補として8競技の中からレスリング、野球・ソフトボール、スカッシュの3つが生き残った。スポーツの大会にたとえれば、やっとの思いで準決勝を勝ち上がったようなもの。決勝の舞台は9月8日、ブエノスアイレスで開かれるIOC総会だ。ここで28競技が正式決定する。

第589回 五輪招致の切り札に「世界の三浦雄一郎」を

 成熟した大会として高い評価を得た2012年ロンドン五輪・パラリンピック。招致委員会会長を務めたのは、陸上の男子1500メートルで80年モスクワ、84年ロス大会を連覇した世界的な中距離走者セバスチャン・コーだった。旧ソ連のアフガン侵攻に抗議し、西側諸国の多くが背を向けたモスクワ大会にも「政治とスポーツは別」との信念を貫き通した。

第588回 「競争」で成長すべき、今後のJリーグ

 Jリーグ初代チェアマンの川淵三郎(現日本サッカー協会最高顧問)には、リーグ誕生前から折に触れてインタビューを行ってきた。1年目のシーズンが終わった直後だから93年の冬だ。「20年後、Jリーグはどうなっているでしょう?」と問うた。川淵は「20年後? フッフッフッ」と含み笑いを浮かべ、遠くに視線を投げるようにしてこう答えた。「まぁ日本における選手の供給源の実情を考えるとトップが16で2部が16、合計32チーム。これが望ましい姿かな」

第586回 ゴルフ界にも残る根本陸夫の“資産”

「これは僕の人生観なんだけどな」。根本陸夫はギロッと目をむき、未熟なインタビュアーの表情が強張っていると見るや、一転、険しい視線を解いて諭すように言った。「人間、墓場には何も持っていくことができない。だったら次々と高い次元を目指して挑戦していった方が、どれだけ楽しいか。死ぬ前に“オレの人生も悪くなかった”と思えれば、もうそれで十分だよ」

第584回 野球五輪復帰へ、7回制は短絡的

 清原和博が西武からFA宣言した時のことだ。当時、阪神の監督だった吉田義男は、交渉の席で「縦じまのユニホームを横じまに変えるぐらいの意気込みで来ている」と力説して、虎党の一部からヒンシュクを買った。  吉田にすれば、巨人入りを阻止するための“殺し文句”だったわけだが、少々、言葉が過ぎた。縦じまはタイガースのアイデンティティーそのもの。もし清原が「じゃあ、横じまでお願いします」と返したら、球団は、いったいどうしていたのだろう。シマウマのようなユニホームでは、戦闘意欲も湧くまい。

第583回 直視すべき現実、「パニック・オン・ロード」

 チャールトン・ヘストン主演の「パニック・イン・スタジアム」はスポーツ愛好家にとっては“白昼の悪夢”とでも呼ぶべき後味のよろしくない映画である。  とある日曜日。場所はロサンゼルスのメモリアル・コロシアム。10万人の大観衆をのみ込んだNFLのラムズ対コルツの試合中にひとりのテロリストが侵入する。ライフルを乱射するテロリスト。パニックと化すスタジアム。無慈悲な銃口の前に、人々は為す術がない。阿鼻叫喚の地獄絵図とは、このことだ。

第582回 巨人、58年ぶりの勝率7割台への期待と懸念

 プロ野球公式戦のスケジュールは同一球団との3連戦をベースに成立している。3つのうち2つを勝てば勝率6割6分7厘。かなりのハイアベレージだ。  昨季の巨人は3・4月、9勝13敗2分けと出遅れながら、終わってみれば86勝43敗15分け、勝率6割6分7厘という好成績でリーグ優勝を果たした。2位中日に10・5ゲーム差をつける圧勝だった。

第580回 世界王者の価値下落に歯止め策必要

 金融緩和ならぬタイトル緩和である。長い間、WBA(世界ボクシング協会)とWBC(世界ボクシング評議会)の2団体しか認めてこなかったJBC(日本ボクシングコミッション)がWBO(世界ボクシング機構)、IBF(国際ボクシング連盟)を相次いで承認し、加盟した。

第577回 内川、審判に左右されない野球観

 WBC1次ラウンド初戦のブラジル戦が7安打5得点。2戦目の中国戦が6安打5得点。予想されたこととはいえ、国際試合は甘くない。打線の爆発は、まず期待しない方がいい。この先、ピンと張ったタイトロープを渡り切るには、少ないチャンスを確実にモノにするしかないのだろう。

第576回 牽制名人が語る究極のフォーム

 キャンプ地を巡っていると、思わぬところで思わぬ人に遭遇することがある。沖縄・具志川野球場。韓国プロ野球とWBC韓国代表の情報を収集しようとSK対ハンファ戦を見に行くと、見覚えのある顔があった。近鉄やヤクルトなどで活躍した神部年男。13年間の現役生活で90勝をあげ、引退後はヤクルト、近鉄、オリックスなどで投手コーチを歴任した。

第575回 レスリング界に必要な小倉流ロビー活動

 誇りと驕りは紙一重である。レスリングが20年五輪の「中核競技」から除外された問題はIOC理事会による国際レスリング連盟(FILA)への不意打ちととるべきか、それとも伝統にあぐらをかいていたFILAの油断ととるべきか。客観的に見ると、きっと、そのどちらも間違いではないのだろう。

第574回 理事26人全て男性、全柔連「ガラスの天井」

「ガラスの天井」(glass ceiling)なる言葉を初めて目にしたのは、ヒラリー・クリントンが米国史上初の女性大統領を目指した時のことだ。米国社会で女性がトップリーダーを目指すには、目に見えない障壁や偏見との戦いがあり、残念ながらヒラリーはそれを突き破ることができなかった。

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