第418回 星一徹ばり名コーチだった桑田氏の父

「小学校2、3年生の頃かな。初めて父親にグラブを買ってもらった。僕はもう、うれしくて寝られないわけです。で、学校から一目散に帰ってグラブを手にすると、なんと綿が全部抜いてある。もう何ちゅう親かと思いましたよ」。桑田真澄が苦笑まじりに、そんな昔話を披露してくれたのは、彼が巨人のエースと呼ばれるようになった頃だ。

松井秀喜とイチロー――海を渡ったライバル物語<後編>

 メディアの視線は松井にばかり集まっているが、どちらが全米を席巻するような活躍をするかとなれば、それは3年目を迎えるイチローだろう。ルーキーの年、イチローは打率3割5分、56盗塁、127得点で二冠に輝き、116勝というメジャーリーグ最多タイ記録に貢献してMVPまで獲得した。今季はそれを上回るパフォーマンスを披露しそうな予感が漂っている。

第417回 一門離脱・貴乃花親方は真の改革者

 田中角栄の元秘書で政治評論家の早坂茂三さん(故人)と今はなき「諸君!」という月刊誌で対談したことがある。タイトルは「司令塔の条件」。いきおい話は「加藤の乱」に及んだ。加藤紘一氏が盟友の山崎拓氏と組み、“森(喜朗)おろし”をはかった例のクーデター未遂事件だ。

第368回 投手としてのハンデを逆手に取った「遅球王」

 プロ野球のピッチャーにとってボールの遅さは致命的である。  たとえばルーキーがキャンプ地のブルペンに初めて入ったとしよう。両脇で150キロの剛速球をビュンビュン投げている先輩がいる。  翻って自分のストレートは130キロそこそこ。もうそれだけで「オレはこの世界では喰っていくのはムリ」と自信を喪失してしまう。

松井秀喜とイチロー――海を渡ったライバル物語<中編>

 エキシビジョンゲームでの松井のバッティングを見ていて気になったことがもうひとつあった。それは三振がきわめて少ないことだ。3月18日現在、41打席で松井はわずか2つしか三振を喫していない。空振り三振にいたっては、わずかに16日のアストロズ戦での1度だけ。これもハーフスイングを空振りにとられたもので、豪快な空振り三振というイメージには程遠かった。

松井秀喜とイチロー――海を渡ったライバル物語<前編>

 マリナーズのイチローが「天才」と呼ばれるのは、こうした芸当をいとも簡単にやってのけるからだろう。  3月7日(現地時間)のジャイアンツ戦、イチローはサウスポーのスコット・エアーから右中間スタンドに特大アーチを架けた。打球はきれいな放物線を描き、ピオリアの青空に溶けていった。打ったのは3打席目、カウント0−1からのストレートだった。

第412回 プラスにならない“やましきリップサービス”

 やましき沈黙――。聞いていて背筋が凍るほど衝撃的な証言だった。  NHKがこの8月に放送した「日本海軍 400時間の証言」の一場面。誰もが太平洋戦争は無謀だと知りつつ、止められなかった。「自分の意見を持ちながら、それをわきにおいて流されていった」。ある海軍大佐は海軍の体質をそのように分析した。

第364回 準硬式から育成という「隠れたエリート」 巨人育成ドラフト5位・神田直輝投手

 今秋のプロ野球ドラフト会議では83人の選手が指名を受けた。最後に名前を呼ばれたのが、ジャイアンツ育成5位の神田直輝である。  彼が異色なのは国立大学の教育学部出身というだけではない。準硬式の野球部員なのだ。

川口和久vs.西武ライオンズ――「最高のボールとは何か」<後編>

 いくつか疑問が残る。ワンポイントではあったにしろ、なぜあの場面で疲れの残っていた川口をリリーフに起用したのか。ライオンズの森監督は「これで最終戦に川口は使えない」と判断し、「広島が勝ちに来てくれたので助かった」と本音を漏らしている。  果たして川口を使うべきだったか、最終戦に温存しておくべきだったか。どっちが正しい選択だったかは誰にもわからない。勢いに乗るカープとしては自軍に傾いた流れを止めたくなかっただろうし、当初から「7戦勝負」を打ち出していたライオンズとしては、カープの切り札である川口を最終戦前に引きずり出し、叩いておきたかったに違いない。先にも述べたが、川口の投入はまさに賭けであり、リトマス試験紙に落とした1滴の雫だったのだ。

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