素人に毛の生えた程度といったら叱られるかもしれないが、その所作はお世辞にもプロのレベルに達しているとはいえなかった。開幕2軍スタートが決まった怪物ルーキー中田翔(北海道日本ハム)の内野守備である。
「マラソンって、沿道にこれだけ(大勢の)人がいるんですね」。あっけらかんとした口調だった。初マラソン初優勝。大方の予想どおり、北京行きの最後の搭乗チケットは激戦の名古屋を制した中村友梨香の元に届けられた。
「自分たちには戻るべき場所があった」。ラグビー・トップリーグのMS杯を制したサントリー清宮克幸監督のコメントだ。「流れが悪くなったら、そこに戻るというゲームプラン。まずチャレンジする。うまくいかない。ならば戻ればいい。ラグビーは必然の競技。たまたまDFがズレたというのではなく、相手にとって“どうしようもないな”という状態をつくり出す。それをやり続ける。スクラム、モール、ラインアウト…。全てにおいて我々には“戻るべき場所”があったということです」
原油価格の高騰によりガソリンは昨年の同時期に比べ16.4%も値上がりした。4月からは輸入小麦の価格が30%引き上げられる。小麦が原料として使われているのはパンや麺だけではない。食品に加えビールなどもいっせいに小売価格に転嫁される。そうなれば、ますます家計は「生活防衛」の色を強め、レジャー関連支出を抑えるようになる。さてプロ野球は大丈夫か? と不安に思うのは私だけではあるまい。
「私の履歴書」といえば日本経済新聞の名物連載だが、川上哲治、西本幸雄、鶴岡一人(故人)、稲尾和久(故人)4氏の自伝を一冊にまとめるにあたり、解説を依頼された。「神様」に「闘将」に「親分」に「鉄腕」――。コピーライターなどいない時代、誰が名付けたか知らないが、どれも名ニックネームである。4氏の人物像が、この2文字に全て凝縮されているといっても過言ではない。
いつから、こんな詭弁がまかり通るようになったのか。「相撲の世界は各部屋が個人商店、協会が商工会議所のような関係。ひとつの部屋で不祥事が起きたからといって、いちいち理事長が責任を取る必要はない」。元力士やタレントから、しばしばこのような発言を耳にする。本当にそうだろうか。
07年の世界主要企業の時価総額ランキング(野村証券調べ、日本経済新聞1月13日付)を見て驚いた。首位は前年6位の中国石油天然気(ペトロチャイナ)、2位エクソンモービル(米)、3位GE(米)、4位中国移動(チャイナモバイル)、5位中国工商銀行とベスト5のうち3社までが中国・香港勢によって占められていた。日本勢はトヨタ自動車の21位が最高である。
「王道」か「覇道」か――。東西両横綱の相星決戦となった初場所の千秋楽をテレビで観ていて、不意にそんなフレーズが脳裡をよぎった。 言うまでもなく「王道」は3場所連続優勝を果たした東の横綱・白鵬である。伝家の宝刀・左上手投げで西の横綱・朝青龍をひっくり返した瞬間、隣で観ていた知人が「正義が勝った!」と言って手を叩いて立ち上がった。何が正義で何が邪悪なのかは不明だが、一連の騒動を通じて知人は朝青龍に対し、嫌悪に近い感情を抱いたようだ。
「もう一度世界チャンピオンにはなれなかったけど心から感謝しています。生きてきてよかった。本当にありがとう」。涙とともに引退を宣言した川嶋勝重(元WBC世界スーパーフライ級王者)だが、本当に悔いはないのか。
「何の仕事でもそうですけど、就職が決まったら、まずそこの会社の社長が出している本を読むのが普通ですよね?」。そう水を向けると、古田敦也は即座にこう返した。「(プロ野球界は)普通じゃないんですよ(笑)。社会が違うんです。僕は試合に出たかった。そのためには監督の目指す野球を理解するしかなかったんです」
「とにかくケガせず、頑張りたい」。ロイヤルズとマイナー契約を結んだ野茂英雄は自身のHP上でこう抱負を述べた。「ケガさえしなかったら、まだやれる自信はある」。これが彼の本音だろう。
モンゴルへ帰るのか、帰らないのか。横綱・朝青龍の年末帰国騒動は、高砂親方の説得もあり、どうやら「国内年越し」の線で落ち着きそうだ。 初場所は1月13日から始まる。その5日前には横審による稽古総見がある。約5カ月ものブランクを考えれば、正月返上で体づくりに励むのが筋だ。
日本人選手がMLBの球団と目のくらむような高額契約を結んだからといって、もう誰も驚かない。ドジャース入団が決まった黒田博樹も、カブス入りが内定している福留孝介も、故障さえなければ、ほぼ報酬に見合うだけの成績を残すだろう。
ハラハラ、ドキドキ、ワクワク――。これがスポーツ中継が高視聴率をマークするための必要条件である。先の北京五輪野球アジア予選にはこの3つの要素が全て含まれていた。その結果が日本対韓国戦23.7%(関東地区)、28.9%(関西地区)、日本対台湾戦27.4%(関東地区)、33.3%(関西地区)――(「ビデオリサーチ」)。きょう負けてもあすがあるレギュラーシーズンでのゲームと違い、国際大会は基本的に「あすなき戦い」である。見る側も緊張を強いられる。日常生活では味わえない狂熱や絶望がそこにはある。
交渉人の条件は�誠意をきちんと言葉にできること�約束を実行できる能力があること�精神的、肉体的にタフであること――そう語ったのはニクソン政権を支えた元大統領特別補佐官のヘンリー・キッシンジャーだったと記憶している。
この8月、横綱・朝青龍が夏巡業をスッポかしてモンゴルで“草サッカー”に興じていた科(とが)で2場所出場停止などの重い処分を受けた時、真っ先に頭に浮かんだのが東京ヴェルディ1969監督・ラモス瑠偉の顔だった。
世に「怪腕」や「剛腕」と呼ばれたピッチャーは数多(あまた)いるが、「鉄腕」とうたわれたのは、後にも先にも稲尾和久さんただひとりだ。 稲尾さんと最後にお会いしたのは今年2月。金沢市で行われた食のイベントでご一緒させてもらった。ひとつ頼みごとをした。開幕前の「北信越BCリーグ」に気になる投手がいた。
アンディ・シビーロという身長2メートル1の大男が巨人の入団テストを受けるため宮崎にやってきた。シビーロの来日で一躍、脚光を浴びているのが巨人OBでプロレスラーとして大活躍したジャイアント馬場(本名・馬場正平=故人)さんである。
「その話は墓場まで持っていこうと思っているんですよ」。真夏の広島市民球場の放送ブース。クールな表情が少しだけくもった。そこまで聞けばもう十分だった。それ以上、追及する気にはなれなかった。また追及したとしても何の意味もない。あえて言えばそれが勝負のあやというものだろう。
中日・落合博満監督の“悪運”には恐れ入る。クライマックスシリーズ負けなしの5連勝で日本シリーズ出場を決めた。リーグ優勝を逃したチームが日本シリーズに出場するのは長いプロ野球の歴史の中で初めてのことだ。
雨上がりに大きな石をひっくり返すと、底にべっとりとヒルがこびりついていることがある。多くの観衆や視聴者はあんな気分を味わったのではないか。 もし、反則を指示する声を集音マイクが拾っていなかったら、亀田陣営の悪事は見過ごされていた可能性が高い。そうなれば、サミングや頭突き、抱え投げといった反則技も「闘志の表れ」(父・史郎氏)で処理されていたのである。
新弟子の「リンチ死」疑惑の渦中にある前時津風親方(元小結・双津竜)の解雇理由は「相撲協会の信用、名誉を著しく失墜させた」というものだった。わかったようなわからないような説明だが、それを言うなら、北の湖理事長ら執行部の面々にも同様の処分が下されるべきではないか。新弟子の死因に疑念がもたれた時、協会あげて真相究明に乗り出していれば、文科省から指導を受けることもなかったし、世間からこれだけ批判を浴びることもなかっただろう。理事長以下執行部の不作為が「協会の信用、名誉を失墜させた」ことは明々白々である。
ある時はジキルで、ある時はハイド。いったい、どちらが、このご仁の本当の姿なのか。それとも、どちらも本当の姿なのか……。
東京ヤクルトの古田敦也選手兼任監督に続き広島の佐々岡真司も今季限りでの引退を発表した。古田と佐々岡は89年のドラフトで指名された同期生である。
権力の座に固執するとロクなことはない。人間、引き際が大切である。反面教師として、そのことを如実に示したのが、現在「機能性胃腸障害」で入院中の安倍晋三首相である。