プロ野球

西山秀二「捕手は打ってナンボ!」

 広島などで20年間にわたってマスクを被った西山秀二の解説の評判がいい。キャッチャー出身ということで読みが深く、ベンチの意図を察知する能力にも長けているからだ。広島時代にはベストナイン、ゴールデングラブ賞にそれぞれ2度(いずれも94年、96年)輝いた。引退後は巨人の2軍バッテリーコーチに就任し、08年からの3年間は1軍のバッテリー部門を担当した。講談社『本』では、その西山に二宮清純がインタビュー。“マスク越しの視点”の一部を紹介する。

第77回 復帰後は新たな“松坂伝説”を!

 今月3日、海の向こうから残念なニュースが届きました。5月17日に右ヒジの張りを訴えて故障者リスト入りした松坂大輔投手(レッドソックス)が、腱移植手術を受けることが正式に発表されたのです。今季はもう彼のピッチングを見られないというのは、本当に残念でなりません。このニュースを聞いた時、私は「悪い予感が当たってしまった」と思いました。実は、シーズン始めに松坂投手のピッチングを見た時、「大きなケガをしなければいいけど……」と一抹の不安を覚えていたのです。というのも、下半身が使えておらず、体幹のバランスが崩れているように見えたからです。

即戦力ルーキーの伊志嶺、榎田に注目!

 18勝4敗2分、勝率8割1分8厘と福岡ソフトバンクの圧勝で7年目の交流戦が幕を閉じたプロ野球は、24日から再びセ・パにわかれてのペナントレースが始まる。今季は例年以上にルーキーの活躍ぶりが目立っている。昨秋のドラフトで注目されたのは“早大トリオ”の斎藤佑樹(北海道日本ハム)、大石達也(埼玉西武)、福井優也(広島)、そして大学球界最速を誇った沢村拓一(巨人)だ。そのうち福井、沢村は既に先発ローテーション入りを果たし、チームに貢献している。二軍で調整していた斎藤の一軍復帰も間近だ。しかし、注目すべき“ドラ1ルーキー”は彼らだけではない。パ・リーグでは伊志嶺翔大(千葉ロッテ)、セ・リーグでは榎田大樹(阪神)が実力を発揮している。現在、ロッテは5位、阪神は4位。伊志嶺、榎田がチーム浮上のカギを握りそうだ。

若松勉「スイッチで打たせたい横浜・筒香」

 小さな大打者といえば、元ヤクルト監督の若松勉である。実際には166センチしかなかった体を最大限に生かし、卓越したスイングスピードとバットコントロールで.319の生涯打率を残した。これは4000打数以上では日本人トップの成績である。引退後もヤクルトでコーチ、監督として、岩村明憲(現東北楽天)、青木宣親、アレックス・ラミレス(現巨人)など、強打者の育成に力を注いだ。まさに打撃の職人とも言える若松に、監督時代の思い出と今後の希望を二宮清純が訊いた。

ヤクルト・畠山和洋「問題児が燕の4番になるまで」(後編)

 畠山の人並みはずれた長打力に目をつけたのが前監督の高田繁である。 「その頃、外国人のアダム・リグスもアーロン・ガイエルも不調で4番がいなかったんです。まぁ仕方なく使ったというのが真相ですよ。問題は守備。どんなに打っても守りのミスで試合を落とすことがある。使う側はどれだけ我慢できるかということでしょうね」  首脳陣の話を総合するとファーストはぎりぎり合格。サードは、ベンチがどれだけ目をつぶれるか。レフトは不適格――。これが守備の相場観だ。

ヤクルト・畠山和洋「問題児が燕の4番になるまで」(前編)

 セ・リーグの首位を走る東京ヤクルトの勢いがなかなか衰えない。投手陣では石川雅規、館山昌平と左右の2本柱を揃え、最後は林昌勇が締める。野手陣では新外国人のウラディミール・バレンティンが打率、本塁打でトップに立ち、ベテランの宮本慎也も元気だ。そして、何といっても4番に定着した畠山和洋の充実ぶりが光る。入団時から和製大砲と期待されながら伸び悩んでいた男が、飛躍を遂げた背景には何があったのか。二宮清純が取材した。

内川聖一「打率4割への挑戦」(後編)

 素質が一気に開花したのはプロ入り8年目、08年のシーズンである。  実はこのシーズンで納得のいく結果が残せなかった場合、内川はユニフォームを脱ぐ覚悟を決めていた。04年には17本塁打を放つなど、それなりの活躍を演じていた内川だが守備面の不安もあり、レギュラー定着には至らなかった。

第443回 深刻な貧打の一因の「高い買い物」 広島・チャッド・トレーシー外野手

“身の丈経営”をモットーとする広島カープが総額約1億円(推定)を投じて獲得した“大物助っ人”チャッド・トレーシーが出場選手登録から外れ、帰国した。 「股関節に痛みがあるようだ。状態もよくないし、本人と相談して決めた」と野村謙二郎監督。球団は「鼠径(そけい)部痛症候群」と発表したが、復帰の時期は未定だ。

内川聖一「打率4割への挑戦」(前編)

 13勝1敗2分。この交流戦、福岡ソフトバンクはセ・リーグ相手に圧倒的な強さをみせている。リーグでも首位を快走し、連覇に向けて視界は良好だ。その原動力となっているのが12球団一の打率.273を誇る強力打線。アレックス・カブレラ、小久保裕樹、多村仁志ら一発のある打者が並ぶ中、今季、横浜からFA移籍した内川聖一がしっかりクリーンアップの一角を占めている。ここまで打率.356はもちろんリーグトップ。史上2人目の両リーグ首位打者、日本人右打者では初のシーズン200安打、そして夢の4割……。新天地で打ちまくるヒットマシンに二宮清純が取材を試みた。

第442回 闘将の黒衣

 今季から東北楽天の指揮を執る星野仙一には、かつて黒衣がいた。  その男の名前は島野育夫。中日、阪神で星野を支えた鬼軍曹的な名参謀だ。  現役時代は俊足、強肩の外野手として活躍し、ゴールデングラブ賞に3度、輝いている。73年には全試合出場を果たし、南海のリーグ優勝に貢献した。  07年12月、胃ガンのため世を去った。63歳だった。

武田勝とマエケン

 北海道日本ハムは、なかなか魅力的なチームである。なんたって、日本一の大エース、ダルビッシュ有がいる。ストレートが常時150キロを超える変化球投手。投手の理想形でしょう。見ているだけで、十分に幸せになれる。  打者には、ようやく開花し始めた“怪物”中田翔。ド派手に打ったりド派手にスランプに陥ったり、見る者を飽きさせない。糸井嘉男も稲葉篤紀も、実に味のある好打者である。故障して調整中だが、投手陣にはあの斎藤佑樹もいる。クローザーは武田久。1番セカンド田中賢介も逸することはできない……。とまぁ、多士済々なのだが、序盤戦、例年以上に注目を浴びた投手がいる。武田勝である。  先発登板試合で、味方が5試合連続完封負け。1失点か2失点の好投を続けたのに連敗して、そんな変わった記録で話題となったのだ。

千葉ロッテ・小池翔大「肌で感じた一軍選手との差を糧に」 〜ファーム・レポート〜

 千葉ロッテの捕手といえば、言わずと知れた里崎智也だ。2006年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日本の初優勝に大きく貢献するなど、今や日本を代表する捕手である。その里崎に続けとばかりに、今、2軍では若い捕手たちが凌ぎを削っている。なかでも最も将来を嘱望されているのが、青山学院大からドラフト4位で入団したルーキー小池翔大だ。1月の新人合同自主トレーニングから約半年が経ち、2軍の正捕手となりつつある小池を直撃した。

楽天、新・勝利の方程式は? 〜佐藤投手コーチインタビュー〜

「がんばろう! 東北」をスローガンに被災地球団として勝ち星を重ねてきた東北楽天も、ここにきて失速気味だ。その原因には打線の不調に加え、勝利の方程式が確立されていない点が挙げられるだろう。球団は新守護神として豪速球右腕のロムロ・サンチェスを獲得したが、このところ3試合連続で抑えに失敗し、最終回を安心して任せられる状況ではない。投手陣を預かる佐藤義則コーチは、阪神時代の2003年には、ジェフ・ウィリアムスを抑えにしてリーグ優勝を果たし、北海道日本ハム時代にはMICHEAL中村をクローザーにしてリーグ連覇を達成した。この楽天では抑えに対してどんなプランを持っているのか。開幕前の二宮清純のインタビューから紐解きたい。

第76回 ロッテ唐川、好投の要因は下半身にあり!

 17日から交流戦が開幕しました。今年で7年目を迎えましたが、過去6年間はパ・リーグの球団が優勝しています。昨年はなんと1位から6位をパ・リーグが占めるという結果となりました。24日現在、福岡ソフトバンクが1位、0ゲーム差で中日が追っているという展開を見せています。果たして今年はどんな結果となるのでしょうか。そして、この交流戦での戦いが、各球団にどんな影響を及ぼすのかにも注目したいですね。

第440回 最も日本プロ野球に影響を与えた外国人選手、ダリル・スペンサー

 プロ野球において、近年、外国人選手は1チーム4人まで一軍登録することができる。  しかしルール上、野手のみ4人、ピッチャーのみ4人というのは許されない。つまり、4人を同時に使おうと思えば野手3人とピッチャー1人、あるいは野手、ピッチャーとも2人といった具合にうまく振り分けなければならない。  外国人選手でも、FA権を取得すると外国人枠からはずれる。たとえば巨人のアレックス・ラミレスがそうだ。何だか変な話ではあるが……。

第25回 常勝パに挑むセのキーマンは? 〜プロ野球交流戦〜

 今季で7年目を迎えるプロ野球の交流戦がスタートした。この交流戦、スタート当初から“パ高セ低”の傾向が強かったが、昨季は優勝したオリックスから上位6チームをすべてパ・リーグの球団が占めた。全体の勝敗もパが81勝59敗4分と大きく勝ち越した。過去6年間、交流戦はすべてパの球団が制している。

古葉竹識、32年目の“江夏の21球”秘話

 日本プロ野球史上最高の名シーンといえば、1979年日本シリーズ、広島−近鉄の第7戦、9回裏の攻防をあげる人は少なくない。9回表を終わって4−3と広島1点のリード。あとアウト3つで初の日本一に輝く広島のマウンドにはリリーフエースの江夏豊が上がっていた。しかし、近鉄は無死満塁と一打逆転サヨナラの大チャンスをつくる。ここで江夏は代打の佐々木恭介を空振りの三振に仕留めると、続く石渡茂のスクイズを見破る。三塁走者はあえなくタッチアウト。最後は石渡のバットに空を切らせ、大ピンチを切り抜けた――。この絵に描いたようなドラマは“江夏の21球”と呼ばれ、多くのライターや評論家が題材にしている。あれから32年。当時、広島を率いていた古葉竹識監督に改めてシリーズを振り返ってもらった。

第438回 「魔球」操る男 北海道日本ハム・武田勝投手

「一度ヒューンと外に飛んでいって途中でガンと内側に食い込んでくるんです」  北海道日本ハムファイターズのサウスポー武田勝のスライダーを評して、目を丸くしながらそう語ったのは、巨人の坂本勇人である。今から3年前の話だ。まるで獲物に襲い掛かる猛禽のようなボールである。

スラッガーの条件

 その男の練習なら見たことがある。  荒涼とした河川敷のような草原が広がるところ。野の果ては川につらなるのだっただろうか。  コーチが上げるトスを、目いっぱいひっぱたく。いや、打撃する。打球は、はるか野の果て、水平線を目指して飛んでいくかのようだ。  いわゆるロングティーと呼ばれる練習である。秋を迎え、シーズンもそろそろ終わりに近づこうかという夕暮時。2軍の試合終了後のことである。

第436回 「持っているユウちゃん」は一人じゃない 広島・福井優也投手

 デビュー戦の内容は早大の同級生・斎藤佑樹(北海道日本ハム)を上回っていた。  去る4月17日、地元での巨人戦で広島のドラフト1位ルーキー福井優也がプロ初登板を初勝利で飾った。同じ日、斎藤もプロ初勝利を挙げた。斎藤が5回4失点だったのに対し、福井は7回2失点。7三振を奪う力投だった。

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