金子達仁

常識打ち破ってきたなでしこを見守ろう

 なでしこらしからぬ、というか、はっきり言えば相当に退屈な試合だったが、彼女たちが置かれた状況を考えれば納得もできる。グループ1位になってしまえば8時間の移動と強敵との対決。2位であれば移動はなく、相手は数カ月前に圧勝したブラジル。こんな状況ではスペクタルなサッカーを期待する方が無理というものだろう。

女王は「うまくいかなくて当たり前」

 82年W杯のアルゼンチンがそうだった。ケンペス、パサレラといった前回大会のスターにマラドーナが加わったチームは、優勝候補として一目置かれる存在だった。02年のフランスもそうだった。ジダンのスケールアップは著しく、前線のアンリも大きく成長していた。  だが、彼らは惨敗した。

移動の座席クラス、男女平等に

 新聞を読んだヨメが朝からご立腹である。  「男子がビジネスなのになでしこがエコノミーってどういうことなのよ!」  原因をつくったのは17日付のスポニチだった。  「日本サッカー協会の規定により、羽田空港からシャルル・ドゴール空港まで同便だった男子代表はビジネスクラスで、なでしこジャパンはプレミアムエコノミークラス――」

かつてないほど戦力を持った五輪チーム

 ここ数年、男子の五輪代表に関しては不満が募ることの方が多かった。4年前、北京五輪の際には「女子には沢がいた。男子には誰もいなかった」と書いた記憶もある。  今回は、違うかもしれない。なでしこと比較しても、物足りなさを覚えずにすむチームができるかもしれない。そんな期待を抱かせてくれる戦いだった。終了直前に許した痛恨のゴールでさえ、最高の良薬だと思えてしまう。

男女で正反対の五輪代表選出

「決勝での敗北は人生最悪の経験のひとつだ」と言ったのは、74年W杯を終えた直後のクライフだったか。栄光に手が届きかけていた分、届かなかった時に襲いかかってくる衝撃は大きい。五輪に行けるか、行けないか。その当落線上をさまよい、結果的に落選した選手たちの衝撃もまた、相当なものがあるだろう。そして、衝撃を与える側に立たなければならない監督の苦悩も、恐ろしく深いものだったに違いない。  ただ、なでしこの佐々木監督と男子の関塚監督、両者のたどりついた結論は、見事なまでに正反対だった。そして、個人的にはいささか予想外の部分もあった。

ザックジャパンの真価問われる敵地オマーン戦

 ブリスベーンでの激闘が終わってから数時間後、ドーハではイラクがオマーンと引き分けた。これでB組では、勝ち点7の日本と勝ち点1のヨルダンをのぞくチームが勝ち点2で並んだことになる。日本との勝ち点差は5。得失点差でも大きな開きがある。追う側からすれば、気が遠くなるような差にも感じられるだろう。すでにイラクでは、「もはやグループ1位のチャンスはない」といった声も上がっているようだ。

香川も乗り越えねばならない英語の壁

 そもそも、ドルトムントはマンチェスターUと比較してもさほど遜色のないチームだった。スタジアムの熱狂度はむしろ上。チームのレベルにしても、若干マンUの方が上だったのは事実としても、十分勝負にはなる程度の差でしかなかった。従って、ドルトムントで活躍した香川が、同じようにマンチェスターで活躍するのは決して不可能なことではない。

日本のプレーオフも間違いなく面白い

 先週末のこと。ロンドンはピカデリー・サーカスあたりを歩いていると、見たことのない、しかし明らかにサッカーのものと思われるユニホームを着た集団に出くわした。柄は水色と白の縦縞。胸にスポンサーのロゴは入っているものの、これまた見たことのないタイプのもの。いったい、彼らは何者なの。何より、極東からやってきた旅行者の目にもわかるぐらいに“おのぼりさん”な彼らは、なんのためにロンドンの目抜き通りに集っているのか。  プレーオフのため、だった。

香川を大切にしたいマンUの配慮

 昨今の今頃、わたしにとっての年間最優秀監督はデンマークのFCコペンハーゲンを率いていたノルウェー人監督、ストール・ソルバッケンだった。これといったスター選手がいないチームでありながら、欧州CLでバルセロナを苦しめ抜いたのは彼の手腕があればこそ。シーズン終了後にブンデスリーガのケルンへと引き抜かれたのも当然のことのように思われた。

才能を“安売り”しすぎている日本

 昨年の全国リーディング・ジョッキー、福永祐一は中学時代サッカー部に所属していた。本人いわく「あんまり才能はなかった」とのことだが、彼にとってサッカーはいまも大好きなスポーツであり続けている。 「それにしても――」  先日、ダービーについての取材をしている際も、ふとしたことからサッカーの話になった。 「最近の日本代表って、海外でプレーしてる選手ばっかになりましたね」

メッシの哲学に新生バルサは応えられるのか

 バルセロナのグアルディオラ監督が退任を発表した。「ああ、やっぱり」というのがわたしの感想である。  先週の本欄でも書いた通り、歯車の一つ、ただし飛び抜けて傑出したメッシが、歯車に収まり切らないスケールに成長したことで、バルセロナのバランスは崩れてしまった。

私ならやらない松波、山口両監督の途中起用

 ちょっと前、沈没しかけた豪華客船から我先にと逃げ出してしまったイタリア人船長に国際的な批判が集まった事件があった。本人は弁明に努めることしきりだったが、見捨てられた形になった乗客やスタッフの怒りが収まるはずもない。いずれは法廷での裁きを受けることになろう。  ただ、幸いなことに、最高責任者たる船長が姿を消してしまったにもかかわらず、無事に脱出することができた乗客がいたのは、船の構造を熟知する残ったスタッフが見事に船長の穴を埋めたからでもある。

大量得点の「意思」がないJリーグ

 そもそも、日本においてサッカーが長くマイナー・スポーツに甘んじてきた理由のひとつに「サッカーは点が入らない。だから面白くない」という偏見があった。だからこそ、初期のJリーグは、確実にボールがゴールネットを揺らすシーンを提供できる、PK戦での決着を導入していたのだろうとわたしは認識している。  幸い、サッカーという競技が染みていくに連れ、リーグ戦に於ける決着の手段としては明らかな邪道であるPK戦はその役割を終えていった。サッカーには、点が入らなくても楽しい試合がある――そのことを多くの日本人が理解したということなのだろう。

足踏み感否めないJのフロント陣

 桜の開花宣言が東日本に届くより早く、Jリーグでは2人の監督が更迭された。開幕からまだ1カ月も経っていないことを考えると、異例の早さだと言っていい。  発足当時のJリーグは、欧米に比べると監督に対するプレッシャーの少ないリーグだった。マスコミが公然と批判をすることはほとんどなく、ファンの中にも“監督批判=タブー”的な空気があった。親会社から出向してきただけのフロントには、監督の善し悪しを判断する基準もなかった。シーズンを全うする監督の割合は、間違いなく欧米よりも高かったように思う。

今の戦い方では「なでしこ」にはなれない

 まずはロンドンへの出場権を獲得した選手、スタッフに祝福の言葉を贈ろう。シリアは本当に強かった。バーレーンには危険なカウンターがあり、マレーシアもここ最近では最も魅力的なアタッカーを揃えていた。今回の予選は、勝ち抜くことによって世界で戦う自信を獲得することができるレベルにあった。おそらく、選手たちの顔つきは、予選が始まる前とは確実にどこかが違ってきているはずである。

昇格と消滅危機…今季、J2が面白い

 今週末に開幕するJ1はもちろんだが、今年はJ2が空前の盛り上がりを見せることになるはずだ。  ご存知の方も多いだろうが、今年から原則、J1は土曜日、J2は日曜日に開催されることになった。これにより、日曜日のニュース、月曜日の新聞で、従来とは比較にならないほどのボリュームでJ2が取り上げられることになる。間違いなく、日本のスポーツ界の中ではNo.1の、世界でも屈指の「メジャーな2部リーグ」となるかもしれない。

“左寄り”日本の弱み

 決勝点の場面、3人でカウンターを開始したウズベキスタンに対し、日本は4人の選手を自陣に残していた。だが、ボールがペナルティエリアに進入しようかという段階で、ウズベキスタンは2人増えて5人になっていたが、日本は4人のままだった。数的不利を引っくり返すため エネルギーを振り絞ったウズベキスタンと、それを傍観してしまった日本。0−1というスコアは、妥当なものだといわざるをえない。

市場開拓本気なら、Jリーグはアジア人を獲れ

 ブルガリア・リーグのスラビア・ソフィアに、シンガポール・リーグでプレーしていた日本人選手、秋吉泰佑の入団が決まった。契約は2年半。G大阪やC大阪からのオファーを断った上での入団だったという。ブルガリア・リーグでプレーする初めての日本人選手となる秋吉には、ぜひとも頑張ってもらいたいと思う。

バルサに忍び寄る盛者必衰の影

 どれほど偉大なタレントを揃え、優秀なコーチングスタッフに支えられたチームであっても、避けて通ることのできない道がある。  不調という名の茨道である。  好調時と同じように練習し、コンディションを保っていても、なぜか結果が、内容が伴わなくなってしまう。表面上は何一つ変わったところはないのに、試合になると違ったチームになってしまう。なぜそうなるのか。そのメカニズムを解明した者はいない。

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