第131回「上手く負ける難しさ」

 今年も4年に一度の熱い夏が終わった。僕のようなスポーツジャンキーはもちろんだが、普段はスポーツに興味をもたない人でも、この時ばかりは眠い目をこすって見る機会を設けるのが素晴らしい。どんな作りものより、人間が真剣に取り組む姿、そして人類の頂点を目指す姿に心を奪われるのだろう。これはスポーツでなくともできるものではあるが、やはりスポーツはそれが最も分かりやすい形で見せてくれるものであり、スポーツの持つ力を再認識した夏でもあった。

第71回 五輪から見えた日本サッカーの課題

 五輪を戦った男女の代表選手とスタッフのみなさん、お疲れ様でした。なでしこは決勝で米国に惜敗し、金メダルとはなりませんでしたが、日本女子初のメダルを獲得。男子もメダルには届かなかったものの、世界4位です。大会を通じて、日本サッカーのレベルの高さを世界に示せたのではないでしょうか。

第59回 ジーコ、かく語りきVol.2 〜なぜ、イラクなのか〜

 1995年1月、初めてジーコに取材をした時、ぼくはその場にいたものの、透明人間のような存在だった。  ブラジルで取材を手伝ってくれたのは、セルソ・ウンゼルチという、優しい顔つきの痩せた白人ジャーナリストだった。南米最大の出版社「アブリウ」の社員で、ブラジルで唯一のサッカー専門誌『プラカール』で働いていたが、車雑誌に異動になったとぼやいていた。セルソは、プラカールを創刊号から所持している程、サッカーを愛していた。話してみると、ぼくと同じ年で誕生日も近かった。

苦い敗北を払拭する機会は残されている

 同点ゴールを許した瞬間、魔法は切れた。  特に大きなミスがあったわけではない。しかし、ニアサイドで競り負けたのは永井と吉田だった。得点者をマークしていたのは徳永だった。チームを支えてきたオーバーエージの2人と、ケガを押して出場した攻撃の核が、失点の瞬間に居合わせてしまった。日本人ですら半信半疑だったチームを準決勝に導き、ブックメーカーからブラジルに次ぐ優勝候補の2番手、との評価を受けるまで引き上げてくれた魔法は、この瞬間、切れた。白亜の馬車は、かぼちゃに戻ってしまった。

第225回 イチローは「雇われのガンマン」か

 7月23日の電撃的なトレード以降、ニューヨークではイチローへの歓迎ムードが途切れることなく続いている。  ヤンキースがシーズン中に戦力補強を試みることは珍しくないが、10年連続オールスターにも選ばれた近代最高のヒットマシンを手に入れたインパクトは、ニューヨーカーにとっても大きかったのだろう。選手紹介の際などには、チーム内最大級と思えるほどの歓声を浴びることも多い。

ダルビッシュ時代の投手たち

 柔道男子73キロ級で銀メダルを獲った中矢力選手が印象に残る。もちろん、ロンドン五輪の話である。  相手を見据える目がいい。上から目線で相手を見下ろすのではない。かといって、挑みかかる猛禽類のような視線でもない。相手に対して、上からでも下からでもなく、どこか静かに、しかししたたかな自信を帯びて、相手を見る。これが世界と戦う目だよなぁ。

常識打ち破ってきたなでしこを見守ろう

 なでしこらしからぬ、というか、はっきり言えば相当に退屈な試合だったが、彼女たちが置かれた状況を考えれば納得もできる。グループ1位になってしまえば8時間の移動と強敵との対決。2位であれば移動はなく、相手は数カ月前に圧勝したブラジル。こんな状況ではスペクタルなサッカーを期待する方が無理というものだろう。

第150回 「ジュリー制度」について思うこと 〜五輪・柔道を観た後で〜

「ジュリー制度」が批判を浴びている。  7月28日に始まったロンドン五輪・柔道競技の話である。  この「ジュリー制度」とは、誤審を避けるために設けられたもの。主審、副審以外に畳の外に審判委員(ジュリー)を配置、時にビデオも用いて試合のチェックを行うのである。

第70回 エジプト戦はセットプレーに気をつけろ!

 ロンドン五輪でU-23日本代表が見事、ベスト8進出を果たしました。戦前はグループリーグ(GL)突破も厳しいとの声もある中、2勝1分で首位通過。なぜ、ここまで快調な戦いができているのか。それは、初戦のスペイン戦勝利に尽きると思います。優勝候補相手との一戦でチームがひとつになり、結果も出したことで選手たちは大きな自信を手にし、波に乗りました。

第186回「準備時間」 〜ニンジニアスタジアムでのホームゲーム同日の別イベント〜

「次節(19時試合開始)の応援横断幕事前搬入時間は、キックオフの2時間40分前の16時20分から17時までの40分間です」  7月15日(日)に愛媛FCのホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われたJ2第24節における応援横断幕の事前搬入時間が、クラブ事務局より試合日の2日前に発表された。

第22回 国枝慎吾に見るスーパースターのあるべき姿

 パラリンピック連覇に向けて、いよいよこの選手が本領を発揮し始めました。4年前の北京パラリンピック、シングルスで悲願の金メダルに輝いた車いすテニスプレーヤー・国枝慎吾選手です。国枝選手は昨年9月の全米オープンで4連覇を果たして以降、ヒジの故障に悩まされ続けてきました。今年2月には手術に踏み切り、リハビリを経て、ようやく5月のジャパンオープンで実戦復帰を果たしたばかり。ロンドンに間に合うかどうか、不安の声もあがっていましたが、今月には3大会連続優勝を達成し、本番に向けてどんどん調子を上げてきています。ロンドンで再び、センターポールに日の丸を掲げてくれることでしょう。 (写真:竹見脩吾)

女王は「うまくいかなくて当たり前」

 82年W杯のアルゼンチンがそうだった。ケンペス、パサレラといった前回大会のスターにマラドーナが加わったチームは、優勝候補として一目置かれる存在だった。02年のフランスもそうだった。ジダンのスケールアップは著しく、前線のアンリも大きく成長していた。  だが、彼らは惨敗した。

第90回 新人王候補の4投手に注目!

 3日間のオールスターも終了し、プロ野球は25日からいよいよ後半戦がスタートしました。果たして、優勝争いの行方はどうなるのでしょうか。前半戦では新人投手の活躍が目立ちました。特に野村祐輔(広島)、釜田佳直(東北楽天)、武田翔太(福岡ソフトバンク)、益田直也(千葉ロッテ)の4投手の活躍は目を見張るものがありました。今後は、彼らを中心に各リーグでの新人王争いも激しさを増すことでしょう。

第224回 ロンドン五輪アメリカ代表は、元祖“ドリームチーム”より上か

 2008年の北京五輪に続く金メダル獲得を目指し、バスケットボールのアメリカ代表が間近に迫ったロンドン五輪に向けて調整を続けている。  レブロン・ジェームス、コービー・ブライアント、ケビン・デュラント、カーメロ・アンソニーといったスーパースターたちが名を連ねた代表チームは今回も魅力たっぷり。名実を兼ね備えたスター軍団は、ロンドンでもダントツの優勝候補筆頭に挙げられている。  しかし、そんな2012年版チームの中でも最年長のコービーが、7月上旬にこんなコメントを残して物議を醸すことになった。

移動の座席クラス、男女平等に

 新聞を読んだヨメが朝からご立腹である。  「男子がビジネスなのになでしこがエコノミーってどういうことなのよ!」  原因をつくったのは17日付のスポニチだった。  「日本サッカー協会の規定により、羽田空港からシャルル・ドゴール空港まで同便だった男子代表はビジネスクラスで、なでしこジャパンはプレミアムエコノミークラス――」

第130回「フランスで見る夏の夢」

 ヨーロッパで人々を熱狂させるサッカー。この夏も欧州選手権(EURO)で皆が盛り上がった。もちろんオリンピックも盛り上がるが、4年に1度の祭典ならワールドカップの方が、人々を熱狂させるのも事実である。どこまで行ってもヨーロッパにおいては、やはり「サッカー」なのである。そんなヨーロッパにおいても、毎年開催されるスポーツイベントとして、もっとも盛り上がるのは「ツール・ド・フランス」である。3週間もの間、フランスを中心に総距離約4000?を連日走り続けるサイクルロードレースだ。かけている予算も、集まる観客も、他のスポーツイベントと比較すると群を抜いて多く、バカンスシーズンに入ったヨーロッパ中の注目を集める。またヨーロッパだけでなく、約190カ国、100チャンネルを超える放送局で放映されているというから驚きだ。

第58回 ジーコ、かく語りきVol.1 〜イラク代表監督就任のワケ〜

 人はなかなか本音を話さないものだ。特に多くの人間から取材を受けてきた、“取材慣れ”した人間に話を聞く時は注意が必要である。過去にどこかで話した内容をただ繰り返すことも少なくないからだ。彼らには、きちんと向き合い、繰り返し会い、しつこく話を聞かなければならない。

かつてないほど戦力を持った五輪チーム

 ここ数年、男子の五輪代表に関しては不満が募ることの方が多かった。4年前、北京五輪の際には「女子には沢がいた。男子には誰もいなかった」と書いた記憶もある。  今回は、違うかもしれない。なでしこと比較しても、物足りなさを覚えずにすむチームができるかもしれない。そんな期待を抱かせてくれる戦いだった。終了直前に許した痛恨のゴールでさえ、最高の良薬だと思えてしまう。

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